「少年院に入って、はじめて一冊の本を最後まで読んだ。本って面白いんですね」
ある少年はこう語ってくれました。
その後、彼は感想を日記に書き、担当職員に自分の気持ちを話すようになりました。

少年院での生活を終え、退院の日を迎えると更生と自立に向けて歩み始めます。しかしながら、およそ3割の少年は実父母が引受人として現れないという経験をします。家庭環境や人間関係、教育の機会に恵まれず、25%以上が中卒、高校中退を含めると60%を超えています。学校を通じて将来像を描くことができなかったケースが多いのです。
このプロジェクトは、退院後、厳しい環境に置かれる少年たちに、まだ手厚い保護下にあるうちに「社会の中には、あなたを応援している人がたくさんいる」というメッセージを本の寄贈を通じて伝えます。
あなたのご支援が、一冊の本となって少年たちの手元に届き、心を動かし、未来を照らす光になります。どうか、このプロジェクトにあなたの力を貸してください。
育て上げネットについて
私たちは「育て上げネット」という認定NPO法人です。主に「ひきこもり」や「ニート」と呼ばれる、社会とのつながりを失った若者の「生き方」と「働き方」を支えることで、再び社会的所属を獲得できるように支援活動を行っています。活動は若者自身への支援のほか、その保護者を対象とした相談支援、無業化リスク予防のための教育・学習支援など多岐にわたります。
その活動の中で、少年院との連携、少年院に在院する少年、退院した少年の更生自立に2015年から取り組み始めました。
少年院は矯正教育の場所。厳しくも暖かく見守る法務教官、法務技官のもとで「立ち直り」の機会を得ますが、実際に退院して新たに社会の中で生きてみると、賃貸や携帯電話の契約、就職活動、クレジットカードの発行など、”自立”のさまざまな場面で「社会の目」が不利に働き、貧困状態に陥ったり、入院前の人間関係に戻ってしまうなどのケースがあることを知りました。入院前の状態に戻れば必然、再犯リスクも高まります。新たな被害者も、新たな加害者も生まないためにも、少年たちを支える志ある大人の質量を増やしていかなければなりません。
私たちは志をともにする方とチームを組み、直接的に彼らを支えるとともに、少年たちが「ひとりぼっち」で社会に出るのではなく、「志のある個人」だけで支えるのでもなく、「みんなで」再チャレンジを応援できる社会をつくるために活動を続けています。
【主な活動内容】
✅ 少年院の「中」と「外」をつなぐ
📚 院内支援
少年院の「中」に入り、複数の少年院・女子少年院で「学習支援」「キャリア形成支援」「金銭基礎教育」「就労セミナー」などを実施しています。
🍚 院外支援・食糧支援
食糧支援が必要と判断した若者に対し、毎月食糧を送付しています。
また、仕事を辞めてしまったなどの理由により生活費が苦しい状況の若者に緊急での食糧送付も行っています。
💼 就労・つなぎ支援
出院した若者からの就労相談や各種相談をオンラインと対面で行っています。
育て上げネットだけでは支援が難しい若者に対しては、他団体や行政等の制度へ繋げる支援も行っています。
✅ 少年に「選ばれる」努力をする
出院後に再犯せずに生活してもらうため、夜間帯の居場所提供や交通費支援、PC・Wi-Fi貸与、就労支援や職業体験などの企業とのつなぎを実施しています。
このプロジェクトで実現したいこと
本プロジェクトでは、古本の買取・販売を事業として運営されている(株)バリューブックスに協力いただき、少年院に本を寄贈します。
私たちは本を通じて新たな世界との出会いや新しい知識の習得、多様な価値観の理解を得られると考えており、少年院への本の寄贈を通じて、新たな世界や知見を得て、出院後の世界に豊かな選択肢があることを知ってもらいたいと考えています。
また、クラウドファンディングを通じて、私たちだけでなく、たくさんの支援者とともにこのプロジェクトを行うことで、少年院の外に多くの応援者がいることも感じてもらいたいと思います。
プロジェクト立ち上げの背景
私たちはこれまで、少年院の「中」と「外」での活動、少年院の「中」と社会の「外」をつなぐ活動を2015年から10年継続して行ってきました。
その活動の一環で少年院でのスタディーツアーを実施してきましたが、スタディーツアーを行う中で、「もっと院内での矯正教育を豊かにするために、外の視点から応援できないか」という参加者の声を聞きました。
応援の方法を模索している中、少年院の教官の方たちとお話しする中で、今回の取り組みに繋がる印象深い話を教えていただきました。
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少年院で過ごす若者たちの中には、これまで一度も本に親しんでこなかった子もいます。
「少年院に入って、はじめて一冊の本を最後まで読んだ。本って面白いんですね」
ある少年はこう語ってくれました。
その後、彼は感想を日記に書き、担当職員に自分の気持ちを話すようになりました。
また他の少年は新聞の広告欄や新聞に書かれた記事で興味を持った本をメモしていて次の購入タイミングでその本を購入しようとしていたんです。
少年たちにハリーポッターが人気なんです。理由は、厚みがありながらも、テキストにルビがふってあり読みやすく、没入感があるからということらしいんです。
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こうした体験は、自己理解を深め、他者と気持ちを共有する力を育てます。本は単なる知識の源ではなく、感情を整理し、表現するきっかけにもなるのです。
少年たちが希望する本を希望通り読めるようにできればよいのですが、年間約6万冊という多くの書籍が販売されており、さらに少年院に入院している少年たちは年齢や学力もバラバラなので全員の望む形を実現することは現実的ではありません。
今回の寄贈にあたっては、書籍の専門家であり、少年院での図書整備に協力した経験を持つバリューブックス社と連携し、少年たちの心に届く本を厳選して寄贈したいと考えています。
2025年7月 スタディーツアーにて
担当:高崎よりメッセージ
先日、仮退院直前の少年と院内で面談を行いました。社会へ戻ることについて不安がないか尋ねると、「期待半分、不安半分です。とにかく仕事をがんばって貯金したい」と話してくれました。
彼は、保護者からサポートが受けられず、雇用主さんが引受人となり、社宅で初めての一人暮らし、仕事も未経験の業種に就くとのことでした。自炊をしたことがなく、お米を炊くのもままならない状態でした。出院後の大変さを心配した少年院の先生が私たちにつないでくださいました。正直、まだ本人も何に困りそうか、何が壁となるのか分からないと言います。私は、社会には応援してくださる方がいること、生活が落ち着くまでの間は食糧を定期的に送るので心配しなくていい、というメッセージを伝えました。
私たちが伴走支援を行う少年たちの中には、仕事で体調を崩して退職し、同時に社宅を退去しなければならず、途端に生活に困窮するケースがありました。
困っている状況下で、知人から怪しげなアルバイトに誘われていました。そんな時、たまたま連絡をした私たちに状況を話してくれました。
「それ危ないんじゃない?」と聞くと、「やっぱそうですよね…、でも断りづらくて」と。
遠方だったため地元の公的機関の相談窓口にもつなぎました。結果的に何も起こりませんでしたが、サポーターに囲まれた彼は心強かったと話していました。
私たちに出来ることは限られていますが、これからも少年たちの応援団の一人として、伴走を続けたいと思っています。
集めた寄付の使い道
今回みなさまからいただいたご支援は以下の用途で使用予定です。
・少年院へ寄贈する本の購入費および納品にかかる送料
・人件費、納品時の交通費
※なお、目標金額を超過した場合は食糧支援等の更生支援事業での活動費に充てさせていただきます。
スケジュール
9月30日 クラウドファンディング終了
10月中旬〜11月下旬 寄贈本の選定
12月 少年院へ寄贈
寄付控除について
育て上げネットは東京都から認定を受けたNPO法人です。毎年1月末から2月上旬を目途に前年(1月から12月)にご支援いただいた金額分の「寄付金受領証明書」を発行しています。同書類を用いて確定申告を行っていただくことで控除を受けることができます。
個人の場合は所得税などから控除を受けることができます。法人の場合は特別損金として算入することができます。控除できる割合は収入の状況や資本金・売上によって異なりますので、ご不安な方はご相談ください。
<寄付活動のイメージ>

※上記例の場合、寄付金受領証は12,000円を発行します。
寄付金受領証明書について
「寄付金受領証明書」の発行に関しては、下記をご確認ください。
・証明書名義(個人):CAMPFIREにご登録の氏名を宛名として作成します。
・証明書名義(法人):法人名でご寄付いただいた場合は、法人名で作成します。
・証明書発行先:CAMPFIREにご登録の住所にお送りします。
・寄付の受領日(証明日):CAMPFIREから育て上げネットへの入金を確認できた日となるため、決済日の翌月末日 (※土日祝の場合は前営業日)の日付となります。
・証明書の発行日:基本的に1月中旬から月末に前年分をまとめてお送りします。
本件に関するお問い合わせ
育て上げネットFR担当
メールアドレス:fr@sodateage.net
(月~金曜日 10:00~17:00※祝祭日除く)
最新の活動報告
もっと見る【御礼】クラウドファンディング期間が終了しました
2025/10/01 11:40『再犯を生まない社会をあなたが贈る1冊から』プロジェクト、担当の高崎です。この度はプロジェクトへご寄付をいただき、ありがとうございました。おかげさまで、目標を超える187人の方から、1,418,500円のご寄付を預かることができました。9/1の開始早々、多くの応援メッセージをいただきました。更生支援は、なかなか共感を得られにくい分野だと感じておりましたので、今回の反響の大きさは本当に嬉しかったです。今後のスケジュールですが、これからご寄付いただいたみなさまに寄贈本のジャンルアンケートを実施し、バリューブックス社と連携して本の選定に入ります。書籍の寄贈は12月頃を予定しています。アンケートの実施についても近日中にご連絡させていただきますので、ぜひ、ご回答くださいますと幸いです。改めて、みなさまからのご支援に心から感謝申し上げます。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。育て上げネット(更生支援担当)高崎 大介 もっと見る
毎日新聞記者 小国綾子様より応援メッセージをいただきました!
2025/09/30 12:00認定NPO法人育て上げネットの東北少年院見学ツアーにこの夏参加しました。少年院に図書コーナーを見つけ、並んでいる本を見渡して、強く、切実に思ったことは「もっと新しい、良い本をたくさんここに並べてみたい!」でした。というのも、その図書コーナーにはなんと、私が四半世紀前に書いた本『薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族』が並んでいたのです。当時、精いっぱい取材して書いた本ですが、いかんせん古い!薬物依存に関する知識や理論はどんどんアップデートされています。もっと新しい本を、と思わずにいられなかったのです。少年院になぜ本なのか。私は数年前、『戦場の秘密図書館 シリアに残された希望』という児童書の編訳をしました。原著は英国のジャーナリスト、マイク・トムソンさんのノンフィクション。シリア政府軍に封鎖され、空爆の止まない街で、若者たちは命の危険をかえりみず、がれきの中から書物を救い出し、地下に「秘密図書館」を作ります。シリアの若者たちはそこで本を読み、国の未来を語り合い、絶望的な暮らしの中に小さな希望を見出そうとしたのです。図書館づくりに関わった若者たちはこう語りました。「本は雨のようにすべての人に降りそそぐ」「雨が植物や花を育てるように、本は人を育ててくれる」「体に食べ物が必要なように、魂には本が必要なんだ」私自身もたくさんの本に育てられ、支えられてきました。だから今度は、本を届ける側に立ちたいと思います。1冊の本と出会うことをきっかけに、少年たちが再び罪を犯さずに将来を歩んでくれたら……と願ってやみません。そのことが被害者支援にもつながると信じています。小国綾子(おぐに・あやこ) 毎日新聞記者 もっと見る
少年院支援に関わる職員からのメッセージをご紹介します!Vol.7:阿部 渉
2025/09/29 18:002014年に初めて多摩少年院を訪問し、出院前の若者と出会いました。それまで私の中には、引きこもりや無業の若者との接点しかなく、「元気が有り余っていてやんちゃ」、あるいは「怖さがある」若者像を漠然と描いていました。しかし、実際に会ってみると、彼らは「キラキラした目」をしていて、礼儀正しくしっかりと挨拶をしてくれ、私が投げかける言葉にも真摯に耳を傾けてくれる素直さがありました。それ以来、私は各地の少年院の見学・訪問を重ね、東京西法務少年支援センターで毎月の就活セミナーを担当するなど、少年院出院後の若者たちと接点を持つ機会をつくってきました。中には、5〜6年にわたって継続して関わっている若者もいます。始めの頃は、大人を頼ることすら難しかった彼らとどうやって信頼関係を築くか、また細く長くつながり続ける関係性をどう保つか、とても苦労しました。彼らが発するサインを見逃さないこと、そして信頼される大人として選んでもらえるよう、頻繁に連絡を取り、関心を示すことを意識してきたと思います。現在では、安定した就労がかなった若者もおり、不安の大きさもずいぶんと小さくなってきました。ただ、それでも「常に気にかけている」というメッセージを送り続けることは大切だと感じています。彼らのような若者たちを、個人としてだけでなく社会全体で応援できるような仕組みや風土が広まっていくことを、心から望んでいます。阿部 渉育て上げネット ジョブトレ/夜のユースセンター ユースコーディネーター(現場リーダー) もっと見る








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