民泊から広がった“仲間づくり” ― 農の現場に寄り添って
和歌山県・紀の川市。果物や野菜の宝庫ともいえるこの地でも、高齢化と人手不足の波は深刻さを増しています。
「うちら、55歳で“若手”って言われるんですよ。」(桃農家さん)「90歳になっても脚立にのって作業してる方もいる。いつまで働けばいいのか…」(茄子農家さん)「後継者もいないし、俺らで終わり。身体がもつまでかな…」(柿農家さん)
農作業を支えてきた親戚や知人も高齢化し、必要な作業の半分以上が手つかずになる状況。それでも農家は「人様に迷惑はかけられない」と声をあげられないまま、厳しい現実に向き合っています。このままでは地域の農業が衰退し、日本の食を支える土台そのものが揺らぎかねません。
民泊から農業支援へ
私たちは当初、古民家を改修して民泊を始めました。地域に滞在し、暮らしを体験してもらう場をつくることが目的でした。しかし運営を続ける中で、農家の方々の切実な声に触れ、「宿泊の場を提供するだけでは、この地域の課題は解決できない」と痛感しました。
そこで、民泊を拠点としながら農業支援を組み合わせた滞在プログラムを立ち上げました。
農業支援を支える仕組み
農業支援は参加者を増やすと同時に、参加後も地域や農家の“ファン”になっていただき、コミュニティの一員として関わり続けてもらうことを目指しています。実際にリピーター参加や、援農後も農家を訪れる動きが生まれ始めています。
この仕組みを続けていくためには、参加者数とコミュニティ参加者数を段階的に増やしていく必要があります。その際のコーディネーター料、送迎、支援者のケアなどについては一切費用をいただいていません。
現在は、宿泊代お一人6,000円(2食付き)のみで農業支援者を受け入れています。これは民泊の一般販売と農業支援プログラムの両輪で運営することで、ようやく成り立っている現実があります。
クラウドファンディングの目的
私たちが取り組んでいるのは、一時的な労働力の補完ではなく、農家と参加者が“仲間”として長く関わり合う新しい地域支援のモデルです。
しかし、拠点となる民泊の老朽化した水回りや建物修繕、庭の維持管理といった課題を解決しなければ、参加者をさらに増やし、コミュニティを広げていくことが難しいのが現状です。
このクラウドファンディングを通じて、環境を整え、「参加 → ファン化 → コミュニティ化」のサイクルを持続可能な仕組みとして育てていきたいと考えています。
私たちが目指すのは、一時的な「助け合い」ではなく、農業の未来を共に創る“仲間づくり”です。どうか、この挑戦を共に支えていただければ幸いです。


私たちは和歌山県紀の川市・藤井地区を拠点に、地域の空き家を活用した「農泊」と、農家さんをお手伝いする「援農プログラム」を運営しています。
紀の川市は、農業が暮らしの中心にあるまち。
日本一の生産量を誇る八朔やイチジク、全国に知られるブランド桃「あらかわの桃」など、四季折々の果物や野菜が実る“実りの土地”です。

大阪から車で約1.5時間とアクセスも良く、都市部からの参加者にとっても訪れやすい立地です。



私たちの活動は、一人の農家さんの切実な言葉から始まりました。
「柿とスイカときゅうりを作っています。
夫と二人でやっていた農業も、今は私一人になってしまいました。
来年も続けられるかどうか…本当に分からないんです。」
夫を亡くし、一人で畑に立つ奥様が口にした言葉に、私たちは大きな衝撃を受けました。
でも、これは決して特別なケースではありません。

私たちが活動する藤井地区では、全農家の約42%が70代以上を占めていて、かつて援農の担い手だった親戚や知人も高齢化し、必要な農作業の半分以上が人手不足で手が回らない状況です。
農家さんたちは、「休めるのは雨の日だけ」という過酷な状況に置かれています。
それでも多くの農家さんはこう言います。
「人様に迷惑はかけられないから...」
長年、地域の中で支え合ってきた歴史があるからこそ、外部の力を頼るという発想が生まれにくいのです。
しかし、もう彼らの努力だけでは限界があります。
そこで私たちは、この現状を変えるため新たな一歩を踏み出すことを決意しました。


私たちは、改修した古民家を拠点に、「農業支援を目的とした滞在プログラム」をスタートさせました。
快適にリノベーションされた民泊でお過ごしいただきながら、滞在中は、地元の食材をふんだんに使ったケータリングをご用意。
農作業を手伝いながら、地域の暮らしにも触れていただけるプログラムです。





第1回、柑橘の援農募集には34名が参加。
第2回の桃の援農募集では、18名が参加しました。
その中にはリピーターとして再び参加してくれた方も。
また、今回の滞在プログラムは、地方創生マッチングプラットフォーム「Smout(スマウト)」でプロジェクトランキングで1位を獲得! 全国から大きな注目を集めることができました。

中には、毎月民泊に滞在しながら農作業をしてくれる方もいるなど、SNSの発信、生産者への手紙、地域の行事への参加といった日々の交流を通じて、単なる“作業者”ではない、単なる“作業者”ではない、共に汗を流し、共に笑い合える“地域の仲間”、つまり「関係人口」が確実に育っています。
「忙しい時に駆けつけてくれる存在がいるって、ほんまに助かるんよ。まるで親戚ができたみたいや。」
生産者の方々からいただく、この温かい言葉を聞くたび、私たちはこのプログラムを始めてよかったと心から感じています。



私たちは、この「農泊」と「援農プログラム」を、より多くの方に長く、気持ちよく継続してご参加いただき、地域に貢献できる仕組みとするため、新たに「援農マッチング名簿」を導入しました。
この名簿によって、参加者一人ひとりの想いやスキルに応じた“関わり方”を選べるようになり、農家さんにとっても、「必要な時に、必要な人」を安心して頼める仕組みが実現します。

受け入れの多様性
学生、社会人、子育て世代、シニア層、外国人など、背景の異なる多様な方を受け入れることで、農業に触れる入口を広げます。
誰でもできる作業内容
特別な技術や経験がなくても取り組める作業(収穫、選別、運搬補助など)を中心にお願いし、安心して参加できる環境を整えます。
労働者ではなく「仲間」として迎える
労働賃金による関わりではなく、宿泊や食事の提供を通じて支援者=仲間として迎え入れます。
ファンづくりを目的とした関係性
農家さんにとっては単なる労働力確保ではなく、自分の**農業や地域を応援してくれる「ファン」**との関係づくりを目指します。
繁農期を支える仕組み
収穫や繁忙期にファンが自発的に来てくれる関係を築くことで、持続的な農業支援につなげます。
参加後のファンコミュニティ化
援農プログラムに一度ご参加いただいた方には、その後も「援農コミュニティ」の一員としてつながっていただいています。
コミュニティの運営には LINEのオープンチャット を活用しており、季節ごとの援農情報や地域の近況を、気軽にやりとりできる場になっています。
実際に、第一回目にご参加いただいた3名の方が、すでに2回目のプログラムに参加してくださり、終了後にも農家さんに会いに現地を訪れるようになりました。「ファン化」による継続的な訪問が、確かな形として動き始めています。
また、参加者名簿を活用することで、季節や作業の内容に応じて「必要な時に、必要な人が来てくれる」仕組みも整いつつあります。参加する方にとっても「自分のペースで関われる」安心感と、再び地域に戻ってこられる喜びを感じていただけます。
これからも、LINEオープンチャットを通じて交流を深めながら、コミュニティの輪を広げ、すでに参加してくださった方々とのつながりを大切にしていきたいと考えています。



この「農泊」と「援農プログラム」をさらに発展させるため、皆様からの温かいご支援を募らせていただきます。
目標金額は100万円です。
いただいた支援金は、以下の活動に大切に活用させていただきます。
・ 民泊施設の修繕・維持管理
古くなった水回りの改善/老朽化した箇所の修繕/定期的な庭の剪定や整備
・ 農園までの移動環境整備
参加者が快適に移動できるよう、自転車を複数台購入
・ 募集・マッチングの円滑化
参加者募集や日程調整をスムーズに行うためのアプリ開発
・ コミュニティ運営
訪れる人と地域をつなぎ続けるための交流イベントやオンライン運営費/継続的な関係性を築くための仕組みづくり
地域の人々の温かな思いや、訪れる方々の小さな一歩が重なって、この活動は育まれています。その輪をさらに大きく、持続可能なものにしていくために、皆さまのお力添えをぜひお願いいたします。

地方の農業は、今まさに岐路に立たされています。
高齢化、後継者不足、孤独な現場。
——それでも畑に立つ農家さんたちは、今日も土に触れ、作物に声をかけています。
そんな姿に、私たちは何度も胸を打たれました。
私たちは、“助ける・助けられる”という関係ではなく、「関わりたい」「応援したい」と思ってくれる人たちと農業をつなぐ場所をつくりたいと考えています。
畑で一緒に汗をかき、夕食を囲み、夜は星を見上げる。
ただの作業ではない、忘れられない時間を共に過ごすことで、
「また来たい」「この人の力になりたい」——
そんな想いが、自然と芽生えていきます。
そしてその想いこそが、農家さんにとって何よりの支えになる。
私たちは、その瞬間を何度も目の当たりにしてきました。
この活動で、私たちが本当に目指しているのは、単に「人手を集めること」ではありません。
地域に関わる“仲間”を増やすこと。
農業をきっかけに、地域のファンを育てていくことです。
少しずつリピーターが増え、仲間が仲間を呼び、つながりが広がってきました。 それはまるで、小さな種から芽が出て、静かに育っていくような感覚です。
「農業が好き」でも、「地方に住みたい」でもなくて構いません。
「この人たちの力になりたい」
——その気持ちこそが、未来を変えていく力と信じています。
このプロジェクトが、 農業と人、都市と地域をつなぐ「新しい希望のかたち」として根づいていけるように。どうか、あなたの気持ちを少しだけ、この活動に向けていただけたら嬉しいです。
何卒ご支援をお願い致します。

最新の活動報告
もっと見る
『援農×民泊』が生む“関係人口”の輪を、もっと大きくしたい。
2025/11/15 14:39紀の川で、思いもよらない繋がりが次々と生まれています。毎回、援農に応募してくれる方。仕事の合間に、1泊2日で毎月来て、農業を手伝って、ご飯をつくって、また帰っていく方。そして、テニス仲間を連れて紀の川に来て、テニスして泊まって、翌日はみんなで農作業をして帰るグループまで。もうね、この流れが本当に“美しすぎる”んです。来てくれた人が、それぞれの言葉で援農の魅力を語り、次の人へとバトンを渡していく。「関わる人が次の“関わり”を連れてくる」——そんな循環が確実に広がっています。■ でも、いま紀の川で起きている議論は…ちょうど市議会議員選の真っ只中。「既存の観光地にもっと人を呼ぼう」「名産品をもっとPRしよう」そんな声が飛び交っています。けれど、どうして農業そのものを“コンテンツ”にしないんだろう?なぜ消費の先ばかり見て、“関わる機会” をつくらないんだろう?紀の川は、食べ物が生まれる場所。そして、農家さんの人手不足は年々深刻になっています。でも――ここには、農業に関わりたい人がたくさん来てくれています。交通費を自腹で払って、休日にわざわざ足を運び、汗を流し、また帰ってくる。その事実に、もっと大きな可能性があると感じています。■ 「関係人口」の本当の姿が、ここにあります私たちが目指すのは、ただの“消費”ではありません。足を止めること。農家と顔を合わせて、一緒に働くこと。その人がまた紀の川に戻ってきて、農作物を買い、必要なときに手を差しのべてくれること。これこそが、本当の意味での“関係人口”。移住でも、就農でもない。もっと手前にある、ハードルの低い「関わりの入り口」。ここには、誰でもできる作業がたくさんあります。だからこそ、人は関わりやすく、関わった人は広げてくれる。この小さな民泊から始まった取り組みが、いま想像をこえる広がりを見せています。■ 私たちがクラファンに挑戦する理由この「援農×民泊」を、もっと持続可能に、もっと多くの人が参加できる形にしたい。・受け皿としての民泊を増やすこと・農家さんの繁忙期のサポート体制を強化すること・参加者の体験価値をもっと高めることそのための一歩として、今回クラウドファンディングに挑戦します。紀の川で育つ農作物に、人が関わり、つながり、また戻ってくる。その循環が地域を確実に強くします。どうか、この広がりの一部になっていただけませんか?あなたの応援が、紀の川に新しい風を運びます。 もっと見る
農村の課題に、国境を越えて仲間が集まる。 “援農×民泊”が生み出す新しいコミュニティの形
2025/11/13 22:28農村では年々、人手不足が深刻になっています。そんな中、私たちの「援農×民泊」の取り組みに、国境を越えて参加してくれる仲間が現れ始めました。ある海外参加者は、作業の流れを事前に調べ、作業着まで準備して4日間の滞在に参加してくれました。「観光ではなく、農家さんの力になりたい」。その言葉のとおり、収穫から選果、運搬まで、地元の方々と同じように汗を流してくれました。その真剣な姿に、農家さんたちは驚きと喜びを隠せませんでした。このプロジェクトに来てくれる人たちは、「体験してみたい」ではなく「役に立ちたい」と言って来てくれます。日本人だけでなく、海外からも「何か手伝わせてほしい」という声が増えています。一方で、受け入れに不安を感じる農家さんが多いのも事実です。そんな中、今回の柿農家さんは積極的に受け入れてくれました。「やる気と体力があれば誰でもできる。日本人でも外国人でも、助けてもらえるならありがたい。また来てほしい。」そう言っていただき、言葉は片言でも動作を見れば理解でき、吸収も早いと、とても良い評価をいただきました。思いがしっかり伝わるとき、言葉の壁は大きな問題にならないことを改めて実感しました。私たちは、年間を通して農作物がとれるこの地域だからこそ、農家の人手不足を「地域の力」と「外からの力」で補える未来を信じています。そのためにも、受け入れ体制を広げ、地域内外の人がつながる仕組みをさらに進化させていきたいと考えています。この挑戦に、どうか力を貸してください。農村を支える新しいコミュニティを、共に育てていきませんか。 もっと見る
徐々に広がりつつあります… 八朔農家さんより収穫依頼がありました!
2025/11/11 08:10昨年11月から、地域の内と外をどう結び、持続的に関わる人を増やせるかを模索してきました。その答えとしてたどり着いたのが、**「民泊を活用したファン化型の労働力確保モデル」**です。単なる「農業バイト」ではありません。農家さんと直接つながり、作業を通じて新しい出会いが生まれ、参加者同士が交流し、合間には地域観光を楽しむ。そんな “循環する関係づくり” が、すでに形になり始めています。■ 数字が示す、この取り組みの成果スマートマッチングサイト「SMOUT」上半期 全国6位参加者のリピート率 15%(延べ54名)農家と直接つながり、毎月のように通って作業を手伝う参加者が誕生「一度きり」ではなく、関係が続く仕組みが生まれています。最近は農家側での認知も広がり、昨日は八朔農家さんから1月の収穫支援依頼をいただきました。例年、70代の女性3名のみで収穫を乗り越えてきたそうですが、ケガや体力の不安もあり、限界を感じていたとのこと。最初は「参加者の温度感や年齢層」に不安を抱いていました。しかし、これまでの参加者の姿勢や雰囲気、年齢層をお伝えすると、「ぜひ来年1月、お願いしたい。良かったら毎年頼みたい」と前向きなお返事をいただきました。■ なぜ“民泊 × 援農”が機能するのか?農家にとって繁忙期に人手を集めるのは、非常にハードルが高いのが現状です。頼れるのは親族や近所の人のみで、外部の人には頼みにくい──ずっとそんな状況でした。しかし、この仕組みでは以下が可能になります。・滞在日数を確保できる・面談を通じて参加者の質を担保できる・送迎で現場の負担を軽減できる農家さんは 本業の農作業に集中できる環境 が整う一方、参加者にとっては「地方の日常が、自分にとっての特別な非日常」となり、農家さんの想いや食、文化に触れることで ファン化しやすい設計になっています。このプロジェクトのKEYは、“人と人の関係性づくり”。農作業をきっかけに、地域に「また帰りたい」と思う仲間が増えることです。 もっと見る




わあ、御社のプロジェクトは本当に素晴らしいですね! 正直に申し上げると、そのアイデアにはとても興味を引かれましたし、非常に大きな可能性を秘めていると感じます。もっと詳しくお話を伺えたら嬉しいです。拝見したところ、集められた資金は実現に向けた主要なステップに充てられるご予定とのことでしたが、このプロジェクトが完全に実現した際、人々の生活にどのような変化をもたらすとお考えでしょうか?ぜひ詳細についてお話しできる機会を楽しみにしています!もしよろしければ、私のプロフィールに記載しているメールアドレス、または個別メッセージでご連絡いただけると幸いです。追加のサポートが必要であれば、資金面でお力になれるかもしれません。