
ピアノはもともと、ホールや家など 建物の中で演奏される“閉じた楽器”でした。
静寂の中で、一音一音に耳を澄ませる。 咳払いさえ憚られる空間で、 演奏者と聴衆が向き合う── それが、クラシックピアノの原風景です。
でも、ストリートピアノは違います。
そのルーツは19世紀の欧米に遡ると言われています。
公共の場に置かれたピアノは、当初は宣伝や慈善活動の一環でした。
しかし、2008年にイギリスのアーティスト、ルーク・ジェラムが始めた
「Play Me, I'm Yours」
というアートプロジェクトをきっかけに、ストリートピアノは
「誰もが自由に弾けるアート」
として世界中に広がっていきました。
人が行き交う場所で、誰もがふと足を止め、 知らない人同士が同じ音を聴き、 笑顔を交わすことができる。
そこには、完成された演奏ではなく、
“その瞬間の気持ち”
が響いています。
静けさではなく、温かさでつながる音。
もしこのピアノが、滋賀県内の商業施設を巡り、 それぞれの街で、人々の生活に寄り添うことができたなら──。
そして、そのデザインが、 未来を描こうとする若者の手によって生まれるとしたら。
きっとそれは、音だけでなく“希望”を運ぶピアノになる。 誰かが奏でた音が、次の誰かの勇気になる。
そんな風景を夢見ながら、 今日もまた、一歩ずつ準備を進めています。






