──1990年11月、草津アル・プラザから始まった挑戦 (未来を奏でるピアノ実行委員会)
少し長いお話になります。
今から35年前のこと。 私は音楽教室のスタッフとして、上司からこんな指示を受けました。
「草津のアル・プラザでピアノとエレクトーンの展示会をやる。 そこで子どもたちのコンサートを企画するので、出演者を集ってほしい。」
突然の話に、頭が真っ白になりました。 「子どもをひとりでステージに立たせるなんて、無理じゃないですか?」 そう思いながらも、仕事としてやらなければなりません。
半信半疑のまま、私は保護者の方々に電話をかけ始めました。
「今度、アル・プラザでコンサートをやるんですが、 お子さん、出演してみませんか?」
するとほとんどのお母さんが、 「うちの子には無理です」と首を横に振ります。 そうですよね……。 私自身、人前で演奏するなんて考えただけで緊張しますから。
「一応、子どもに尋ねてみますね。」 電話口からいったん離れるお母さん。
諦めかけたその時、 電話の向こうからお母さんの驚いた声が聞こえました。
「え!? 出るの? 本当に?」
そしてこうおっしゃったのです。
「お願いします。うちの子、出たいそうです!」
その瞬間、胸の奥で“何か”が変わりました。
「ひとりで人前で弾けない!って、決めつけた私が 間違ってたんだ!」
そう気づいた私は、次々と電話をかけ、 気づけば13人の子どもたちが集まりました。
そして迎えた本番当日。 草津アル・プラザの広場は、買い物客であふれています。 最初の1曲が鳴り始めた瞬間、人が立ち止まり、 演奏が進むにつれて、どんどん輪が広がっていきました。
最後の音が響き終わると同時に、拍手喝采。 その光景を見た私は、全身が震えました。 子どもたちは誇らしげに笑い、 お母さんたちは涙ぐみながら「出てよかった」と言ってくれました。
あの日の体験が、私の人生を変えました。 それ以来、「チャレンジコンサート」は私のライフワークになりました。 “人前で弾くのは怖い”と感じていた子どもが、 “弾いてみたら楽しかった!”に変わる。 そんな瞬間を見届けるたびに、 この活動を続けてきて本当によかったと思います。

あれから35年が経ち、 これまでに3,500人以上の子どもたちがこのステージに立ちました。 最初の一歩を踏み出したあの日の気持ちは、今も変わりません。
そして今、私はその“挑戦の舞台”をさらに広げようとしています。 それが今回のクラウドファンディング、 **「未来を奏でるピアノ実行委員会」**です。

若者たちがデザインし、 街に置かれたピアノが人々をつなぐ。 あの頃、草津のアル・プラザで生まれた「子どもの挑戦」を、 今度は“街角のラッピングピアノ”として、 子どもや若者、そして皆さんの力をお借りして、 街全体に広げていく取り組みです。
もし次の街にも、 若者がデザインし、子どもたちが演奏するラッピングピアノが生まれたなら、 それは、あなたの支援が“未来の挑戦”を生んだ証です。
拍手が響くたび、 また新しい誰かが勇気をもらう。 そんな“音の種まき”を、 どうかこれからも一緒に続けてください。





