
本プロジェクトでは、「島に愛のある関係人口プラス100万人」を掲げています。
では、具体的に「島に愛のある関係人口」や「未来のシマ共創会議」が、島で生きる当事者に何をもたらすことができるか。
417島の有人離島のうち、山口県の瀬戸内海側に位置する人口5人の佐合島(さごうじま)の当事者であり、リトケイの活動コミュニティ「うみねこ組」の一員でもある梅本将輝さんのメッセージを紹介します。
***

私の活動拠点は、瀬戸内海に浮かぶ佐合島。
人口はわずか5人。島好きの方でさえ、その名を耳にしたことはないかもしれません。
この島と深く関わるようになったきっかけは、今年1月、島で多くの土地を持っている祖父から持ちかけられた相続の話でした。
「瀬戸内の島を継ぐ」。友人たちからは面白がられますが、当事者として向き合えば、課題が山積する現実も見えてきます。相続を放棄するという選択肢も、当然頭をよぎりました。事実、多くの関係者が島を離れ、家々が静かにその役目を終えていく光景も目の当たりにしてきました。
それでも私がこの島の再生に取り組もうと決めたのは、島という場所が持つ、都市とは異なる可能性を感じたからです。
97歳の祖父は、島にいる時はまるで若返ったかのように生き生きと、草を刈り、家を直し、農機具を修理します。

定年後、社会的な役割を失いがちになる都会の暮らしとは対照的に、この島では誰もが大切な「担い手」です。そこには、互いを尊重し、支え合う、顔の見えるコミュニティが確かに息づいています。
最近では、30代の方が地域おこし協力隊を経て移住してくれるという嬉しい出来事もありました。私の周りでも、島を魅力に感じてくれる人は少なくありません。しかし、魅力があるのに人が離れていく。この矛盾に、私たちはどう向き合うべきなのでしょうか。
私が目指しているのは、短期的な「島おこし」ではありません。祖父から孫の私へ託されたからこそ、長期的な視点でこの島と向き合いたいのです。
都市への一極集中が進む世の中ですが、本当にそれだけが唯一の正解ではないはずです。小さい島だからこそ肌で感じられる、人と人との繋がりや資源の循環。それは、これからの社会が求める「新しい豊かさ」の一つのかたちだと信じています。

この度の共創会議では、佐合島のような小さな島の現状と可能性にも目を向けていただき、これからの時代に適したコミュニティのあり方について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
もし、この島の活動に少しでも興味を持ってくださいましたら、ぜひお声がけください。
共に、未来につながる島のあり方を探していければ幸いです。
佐合島
梅本将輝






