
1.はじめに
こんにちは。
このクラウドファンディングの活動報告では、11月28日(金)のコンサートで演奏するバッハとヴィヴァルディの作品にちなんで、これから週に数回の頻度で、音楽の背景や魅力を少しずつご紹介していきます。
演奏家のコメントや練習のエピソードも交えながら、音楽を「読むように楽しむ」時間をお届けできればと思っています。
第1回は、まずこのコンサートの柱となる作曲家、ヨハン・セバスティアン・バッハ。“音楽の父”と呼ばれる彼はいったいどんな人だったのか──。少しだけ時代を遡ってみましょう。
2."難しそう"な音楽の向こうにいるバッハ
バッハと聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?厳かな響き、複雑な旋律、音符がぎっしり詰まった譜面……。たしかに彼の音楽は精緻で、知的な構造に満ちています。けれど実際に弾いたり聴いたりしていると、その音楽の奥からとても人間らしい感情や会話のようなやりとりが、ふっと立ち上がってくる瞬間があります。
バッハの作品には、「理屈」だけでは動かせない何かがあります。私たちはそこに、彼の音楽が何百年も愛され続けてきた理由を感じています。
3.対話のような音楽──《2つのヴァイオリンのための協奏曲》
この作品では、2人のヴァイオリンがまるで言葉を交わすように旋律を受け渡し、時に重なり合いながら進んでいきます。つまり、この曲の魅力は"自分だけで弾く"のではなく、"相手の音を聴きながら弾く"ことにあります。
バッハは、音で対話ができる人だったのだと思います。楽譜を通して、今を生きる私たちにまで会話をしかけてくるような、不思議な感覚があります。
4.南紫音のコメント
バッハは、バロック時代の作曲家の中でも構造が緻密な音楽を書く人で、モティーフでの“言葉遊び”が特に巧みだなと感じています。
この曲でもその特徴は顕著で、2つのバイオリン独奏パートのどちらかがずっとメロディーで、どちらかが伴奏、というわけではなく、どちらがどちらのパートを弾いているかわからなくなってしまうほどお互いが美しく調和しているのです。まさに音と音で双子が会話しているような、そんな音楽だと思います。
5.小池彩夏のコメント
バッハは、音楽に祈りと哲学を込めた人だと思います。一音一音の中に生命の息づかいがあり、弾くたびに心が洗われるようです。形式の美しさの中に、人間の感情が静かに流れていて、演奏するほどに彼の深い愛と誠実さを感じます。時を超えて、今も私たちの心に響き続ける音楽です。
6.次回予告
次回は、《2つのヴァイオリンのための協奏曲》の中で、どのように音楽が"掛け合い"のように展開していくのか。旋律の受け渡しや、主導権の変化といった視点から、もう少し深くご紹介してみたいと思います。






