前回の活動報告では、「要介護状態にならないための〈介護予防〉には、実は“椅子”がとても大切である」というお話をお伝えしました。
ところが現在、一般家庭や施設で広く使われている家具椅子、特に食事の際に使われるダイニングチェアは、虚弱な高齢者の方にとって 安楽に座れる設計になっていないことが多い のが現実です。
その大きな理由は、「椅子の背もたれが、高齢者の背中に合っていない」 ことにあります。
虚弱な高齢者の方が座ると、
中壮年の方と比べて
・骨盤が後方に倒れやすく
・背中が丸まり
・背中全体が後ろへ突出しやすい
という姿勢になりがちです。
しかし一般的なダイニングチェアの背もたれは、こうした丸まった背中の形状を想定していません。そのため背中にフィットせず、結果として身体全体を前方へ押し出してしまいます。
するとどうなるか。
座っている身体が
・前に潰れる
・横へ傾く
といった不安定な姿勢になり、「座っているだけなのにつらい」状態が生まれてしまうのです。
trone の背もたれが目指したこと
troneチェアの背もたれは、そのような虚弱な高齢者の背中そのものに合わせて設計されています。
・骨盤が後傾してしまうことを無理に矯正せず、受け止める
・丸まった背中を後方へ“逃がしながら”支える
・そのうえで、少しでも背中が伸びる方向へ導く
――そんな考え方で、背もたれの形状と支点を作り込みました。
「姿勢を正させる椅子」ではなく、「今の身体を受け止め、支える椅子」。
それが、“背中で座る椅子” troneチェアです。






