
Desig-win 2026のカードデザインを担当されている方の、制作秘話、制作中のエピソードをインタビュー形式で随時ご紹介しております!
今回は、「サマーフレッシャー」というカードのデザイン制作を担当している、楓乃ちゃん(以下敬称略)にインタビューしました。

「サマーフレッシャー」を担当するまで
―――まず、普段のお仕事について教えてください。
楓乃:
現在は、株式会社NASUで週3日アルバイトをしています。それ以外の時間は、別の会社から業務委託で継続的にデザインのお仕事をいただいています。個人でも、ライブのフライヤーなどを少しずつ制作しています。
―――デザインの道に進んだきっかけは何だったのでしょうか?
楓乃:
もともと音楽を続けていて、吹奏楽やジャズをやっていました。大学でも音楽活動をするなかで、ライブのフライヤーをたくさん作っていたんです。そこからデザインが楽しくなり、前に出て演奏するよりも、裏方として見せ方を企てるほうが自分に合っていると感じるようになりました。
独学に加えて、前田さんのセミナーなども見ながら、デザインの道へ進みました。
―――Desig-win 2026では、どのように担当カードが決まったのですか?
楓乃:
「何かしら参加したい」という気持ちでマエデ。のZoomに入り、空いているカードがあるか聞きました。いくつか候補を教えていただき、その流れで「サマーフレッシャー」を担当することになりました。
「このカードを絶対にやりたい」と選んだわけではなく、「空いているならやります」という始まりでした。
青春感から「爽やかさ」へ方向転換
―――サマーフレッシャーは、どのような技なのでしょうか?
楓乃:
黄色と水色をメインの配色として使用し、爽やかでフレッシュな雰囲気を作る技です。
―――最初のラフは、どのように考えましたか?
楓乃:
最初は某有名なスポーツドリンクのCMが頭に浮かびました。水色と黄色で爽やかさを表すカードというより、「青春感を表すカード」だと思っていたんです。学校や恋愛、海などをモチーフにラフを作りました。
ところが、アートディレクターの白旗さんに方向性を確認すると、青春感よりも爽やかさを前面に出したいカードだとわかりました。そこから、あらためて方向性を考えることになりました。
―――どのような案を試したのでしょうか?
楓乃:
海と黄色いものを組み合わせた案や、黄色い料理の物撮りのような案など、いろいろ試しました。最終的に残ったのが、かき氷と海の案です。チーフデザイナーのぽてとさんにも見ていただき、最後は白旗さんにかき氷を選んでもらいました。
ラフの段階では、参考画像をベクター化して色を変えるなど、方向性が伝わる最低限の形で案を出していました。最初から作り込むのではなく、手戻りを減らすために、まず方向性を確認することを意識していたからです。
▲初期の青春感を軸にしたラフ
かき氷を食べて、感じたことを全部書き出す
―――モチーフがかき氷に決まった後、実際にお店へ食べに行ったそうですね。
楓乃:
はい。白旗さんから冗談で「かき氷30個食べてください」と言われて笑
30個は無理でも実際に食べに行くことで見えることもあるかもしれないと思い、実際にかき氷を食べに行き、食べながら感じたことをすべて書き出しました。
▲実際にお店で食べたかき氷の写真
楓乃:
最初から内容を選別せず、関係がなさそうなことも含めて書きました。取りこぼしたらもったいないし、どこかで役立つかもしれないと思ったからです。
▲実際に書き出した言葉のリスト
―――その体験から、どんな発見がありましたか?
楓乃:
常温なら水であるはずのものが、食べている間だけ氷でいてくれる。そのうち溶けて消えてしまうものだからこそ、儚さや“幻感”があると感じました。
実際に向き合った後は、「溶ける」「消えそう」「幻のよう」といった感覚をデザインに入れたいと思うようになりました。この体験がなければ、最後の着地点も変わっていたと思います。
―――体験から得た要素を、そのままデザインへ落とし込めたのでしょうか?
楓乃:
最初は、もやもやした感じや消えそうな雰囲気を全体に入れました。ただ、すべてをぼかしたことで、グラフィックとしては映えなくなってしまったんです。表現したい感覚は見つかりましたが、どう見せるかは別に考える必要がありました。
▲かき氷体験後のぼかしや“幻感”を試したラフ案
自分の得意なグラフィック表現へ
―――制作の方向を大きく変えたフィードバックがあったそうですね。
楓乃:
写実的なイラストを作ろうとしていたとき、チーフデザイナーのアフさんから「イラストより、グラフィック表現として着地させたほうが正解に近づけるのでは」とアドバイスをいただきました。そのときに言っていただいた、「自分が持っている、一番切れる刀で切る」という趣旨の言葉が、とても心に残りました。
細かいイラストへの憧れはありました。でも、今の自分がゴールへたどり着くには、自分にできる方法を選ぶ必要がある。その現実と向き合い、グラフィック寄りの表現へ切り替えました。
―――切り替えた後は、すぐに形になりましたか?
楓乃:
方向性が変わり、しばらくは造形が決まりませんでした。構図を変えたり、ぼかしたり、さまざまな案を試しました。
そこでぽてとさんが参考事例を共有してくださり、透明感や幻感を出す方法を一緒に考えました。全部をぼかすのではなく、硬い部分を残したうえで一部をぼかす。ぼけていないところがあるからこそ、ぼけた部分が生きるという考え方です。
表現したいのは、幻、溶ける、儚いといった感覚です。それを保ちながら、グラフィックとして映える形にする方法を検討しました。
▲表現したいことを保ちながら、グラフィックとして映える形を模索している様子
こだわりを手放して見えた「サマーフレッシャー」の完成形
―――最終案へたどり着いたきっかけは何でしたか?
楓乃:
事例をもとに色を変えたり、かき氷の柄や器の形を試したりしていました。ただ、徹夜しても決まらず、締め切りが近づいていました。
突然アイデアが降ってきたというより、捨てられなかったこだわりを、追い詰められたことで手放せたのだと思います。「グラフィックとして作るなら、こうすればよいのでは」と考えられるようになり、方向性が見えてきました。
氷のテーブル、葉のテクスチャー、レモンの形など、細部も検証しました。私が作った最終案をもとに、最後はぽてとさんがかき氷の形や色味を調整してくださり、完成形に落ち着きました。
器の下部には、実際に食べたかき氷に入っていた、皮付きのリンゴを取り入れています。透明な部分に何か入れたほうが表現として伝わりやすいという、ぽてとさんとの会話から生まれた要素です。
▲楓乃さんの最終案(左)と、フィニッシュワーク後の完成版(右)
制作を通じて得た2つの学び
―――今回の制作で、特に大変だったことは何ですか?
楓乃:
デザインの技術よりも、時間管理です。追い詰められてから取り組むことが多かったので、もっと計画的に進める必要があると感じました。
たとえば「今日はレモンだけ作る」と細かく区切り、取り組むハードルを下げれば、もう少し進めやすかったかもしれません。
―――制作を通じて得た学びも教えてください。
楓乃:
1つ目は、自分が得意な方法で作ることの大切さです。憧れている表現があっても、よいものを作るためには、今の自分が一番扱える方法を選ぶ必要があると気づきました。
もう1つは、仕事ではないものづくりで、自分が表現したいものを楽しむことです。仕事では「どうすれば結果が出るか」を考えることが多いのですが、今回は自分が表現したい“幻感”をどう作るか考える時間そのものを楽しめました。
忙しさのなかで、デザインを楽しいと思えない時期もありました。でも、今回の制作を通じて「作ることは楽しい」とあらためて感じられました。
繰り返し遊んでデザインの表現を身につけたい
―――Desig-win 2026を手に取る方へ、おすすめしたい使い方はありますか?
楓乃:
私も今回初めて手にするので、おすすめというより理想なのですが、必要なときだけ作例を見るより、カルタのように繰り返し遊びたいです。
遊びながら何度もカードを見ることで、作り手としてではなく、ユーザーとして客観的に見られるのではないかと思っています。みんなで定期的に遊ぶ機会があれば、楽しみながらカードに触れ続けられそうです。
―――楓乃さんの試行錯誤と、知恵が詰まったDesig-win 2026。カードを眺めるだけでなく、繰り返し遊びながらデザインの表現を身につけられる一作です。みなさんのお手元に届く日を、ぜひ楽しみにしていてください!
※制作途中の画像を含むため、カードデザイン等は一部変更になる場合がございます。
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プロフィール
マエデ。ネーム:
楓乃
プロフィール:
立命館大学総合心理学部卒業後、事業会社に入社しデザインチームに配属される。退社後フリーランスとして活動しつつ、2025年12月からNASUでアルバイトを始める。音楽に最高の色をつけることが夢。自分の企てで他人の心が動く瞬間が好き。「違和感」に惹かれがち。
SNSアカウント:
・X:@kano_d___
・Instagram:https://www.instagram.com/kano.d___
担当カード:
サマーフレッシャー



