
活動報告 Vol.17
「なぜ、最強のビジネスロジックも、
医療現場では止まってしまうのか。」
最近、ひとつの大きな気づきがありました。
外資系コンサルや経営のプロフェッショナルの方々は、
おそらく “自分が扱っている変数の世界” を基準にして
医療を語っているのだと思います。
ビジネスの世界を支配する変数は、とても明確です。
・単価(Price)
・コスト(Cost)
・規模(Scale)
・効率(Efficiency)
これらを調整すれば答えが出る。
それがビジネスの勝利の方程式です。
でも、医療はこの方程式だけでは解けません。
なぜか。
医療の方程式に含まれる「変数」の数が、桁違いに多いからです。
患者さんの人生
家族の背景
心理的安全性
多職種の関係性
教育のジレンマ
学生の孤立
若手の不安
離職の痛み
社会保障制度
地域性
倫理観将来のキャリア
信頼関係
その日、その時の“温度”
……
ビジネスの世界では ノイズ(雑音) と扱われがちなこれらが、
医療現場ではすべて “決定的な変数” になります。
だから、外資のフレームワークをそのまま当てはめても、
必ずどこかで エラー が起きてしまう。
これは、
外資系の方々の能力の問題ではありません。
医療が非効率なわけでもありません。
ただ単に、
解こうとしている「数式」が違うだけなんです。
──そしてここに、医療が抱える「見えにくい孤立」があります。
現場の先生方は、
臨床と研究と教育の三つを同時に抱え、
誰よりも多くの“変数”を毎日背負っている。
若者は、情報が不足したまま実習に出て、
失敗を自分の価値と結びつけてしまう。
事業所は、採用難と教育負担の間で疲れ切っている。
この世界では、
正論だけでは動けない局面が必ず生まれます。
だからこそ、
医療の構造改革は「ビジネスの正論」だけでは完結しません。
必要なのは、
見えない変数までを含めて計算できる“現場の解像度” です。
■ なぜ僕は、義肢装具士から始めたのか。
最初から大市場を狙ったわけではありません。
医療の複雑な方程式を理解するためには、
現場でしか拾えない変数があまりに多かったからです。
義肢装具士は、
・現場との距離が近く
・空白地帯の影響が分かりやすく
・介入による変化が可視化しやすく
・信頼形成がしやすい
“最初のモデル職種”として最適でした。
ここで拾った変数は、
歯科技工士にも、臨床工学技士にも、放射線技師にも、必ず波及します。
医療は多職種連携の産業。
小さな入口から、構造全体が変わっていく世界です。
■ 医療は、市場原理だけでは動かない。
医療が動くときはいつも、
複雑な変数が 信頼 でつながったときです。
だから僕は、
「外から大きな正論を押し付ける改革」ではなく、
“現場で変数を拾いながら、一緒に積み上げていく改革”
を選びました。
学生が孤立しないように。
若手が潰れないように。
先生方の教育負担が少しでも軽くなるように。
事業所の方々が“自分たちは間違っていない”と思えるように。
そのために、小さな仕組みとして始めたのが
ジョブハッピー です。
医療の数式は複雑で、すぐに解けるものではありません。
でも、
変数を正しく捉え、信頼を土台に積み上げていけば、
確実に変わっていきます。
その一歩を、これからも現場と一緒に踏み出していきます。



