
活動報告 vol.23「障害福祉にあるから問題なのではない。
本当の“構造的な空白”は、適合調整を評価する回路がないこと。」
義肢装具士の仕事には、
長く続いてきたひとつの“違和感”があります。
それは、
「現場が大切にしていることが、制度の言葉にならない」
という構造的なギャップです。
最近、義肢装具の現場や制度に詳しい方々と対話する中で、
私はひとつの大切な視点に気づきました。
■ 障害福祉に置かれていること自体は、問題ではない。
補装具は医療費ではなく、
障害福祉(補装具費) の枠に置かれています。
一部ではこのことを“問題視”する声もありますが、
私は少し違う角度から見ています。
この領域は、
・専門性が高く
・他職種との利害対立が少なく
・小さな改善でも現場に大きく響く
という特徴があり、
きめ細かな評価基準を設計しやすい領域 だからです。
つまり、
制度の“箱”を変える必要はない。
必要なのは、箱の中に「評価の回路」をつくること。
■ では、何が欠けているのか?
現場の願いはいつも同じです。
・痛みを減らしたい
・歩ける距離を伸ばしたい
・どんな地域でも同じ質を届けたい
・義足や装具と丁寧に向き合いたい
しかし、この願いの中心にある
「適合調整(フォローアップ)」 は、
・対価がつかない
・時間をかけるほど赤字
・小規模事業所(8〜9割)が先に疲弊する
という “制度設計上の空白” のまま数十年が過ぎてきました。
これは、
誰が悪いわけでもありません。
評価をつくる「翻訳回路」が存在しなかっただけです。
■ 構造を動かすために必要な3つの論点
① 適合調整の価値を“エビデンス”で言語化すること
歩行改善は、
・医療費の抑制
・介護負担の軽減
・就労継続
に直結します。
感情ではなく、社会保障の言語(データ) で語るべき領域です。
② 若手不足は“制度疲労”の結果
告示価格
労働構造
原価の上昇
こうした構造的なギャップが重なり、
「続けたくても続けられない」状況を生んでいます。
③ 現場 → データ → 政策
この“翻訳回路”がまだ存在していない**
行政に届く声は、
大声
感情
ではありません。
届くのは、
・ 根拠(データ)
・ 構造(整理)
・ 傾向(エビデンス)
この3つだけです。
■ ここを強調したい。
行政も、財政を預かる方々も、
現場の願いを否定したいわけではありません。
「前例のない支出」には慎重ですが、
エビデンスがあれば必ず耳を傾けてくれる組織です。
なぜなら、そこにいる方々も、
・義足や装具を使った家族を持つ人 かもしれない
・介護を支えた経験を持つ人 かもしれない
からです。
彼らは“敵”ではありません。
同じ社会を支える、パートナーです。
厚生労働省も同じです。
制度を守りながら、現場の声をどう形にできるか模索しています。
だからこそ、
「現場 → データ → 政策」
この回路がつながれば、制度は必ず動く。
私はそう信じています。
■ では、ジョブハッピーは何をするのか?
私は義肢装具士の “翻訳者” として、
・全国の求人票・離職率・働き方を可視化する
・若手・学校・企業の傾向データを集める
・適合調整の価値を“社会保障の言語”へ変換する
・若手が続けられる職業構造(定着支援)をつくる
現場の願いを制度の中心へ届ける回路をつくる。
これこそが、民間でできる最大の価値です。
■ 怒りではなく、構造で。
騒ぎではなく、データで。
制度を動かすのは、
声の大きさではなく、根拠の強さです。
義肢装具士の「適合調整」の仕事が
きちんと評価される未来のために。
若手が胸を張って選び、続けられる職業のために。
私はこれからも、
・データを積み重ね
・現場の声を構造に翻訳し
・制度へ届け続けます
読んでくださり、ありがとうございました。
武内佑介ジョブハッピー / 義肢装具士



