先日、実際に山に入る猟師さんたちを訪ね、今の熊の状況についてお話を伺ってきました。結論から言うと——「熊は増えている。でも山は豊かではない」という、複雑で深刻な現実がありました。■ 熊のリアル現在の山では、熊の状態が大きく二極化しています。・大きなオスは脂がのり、非常に状態が良い・一方で、子連れのメスは痩せている個体が多いこれは山の中での縄張りによるものです。体の大きいオスは“キング”として良いエリアを確保できるため、十分な食料を得られます。逆に、メスや子どもは限られた環境で生きるため、栄養状態が悪くなってしまいます。猟師さんの言葉が印象的でした。「10年前は1頭獲れたら“わっしょい”だった」それが今は、明らかに熊の数は増えています。しかしそれは、自然が豊かになった結果ではありません。■ 山で起きていること本来、熊が食べる山の恵み(山葡萄など)は・気候変動による不作・人による過剰採取によって減少しています。さらに深刻なのが、鹿の増加です。鹿が増えすぎたことで草木が食べ尽くされ、森の再生が止まり、山が“ハゲ山化”しています。その結果、熊の食べ物も減り、山全体のバランスが崩れています。■ 崩れている食物連鎖本来の自然界では・日本狼(すでに絶滅)・人間による適切な狩猟がバランスを保っていました。しかし現在は・猟師の高齢化と減少・林業の衰退・森林管理の不足によって、食物連鎖のピラミッドが崩れています。■ 人に慣れてしまった熊もう一つの問題は、熊が人に慣れ始めていることです。人里に出る経験をした熊、そしてその子どもたち。その経験が世代を越えて引き継がれています。「人間は怖い存在」という認識が薄れ、怖がりながらも距離が近い熊が増えています。これが、今の獣害の背景です。■ 熊は増え、猟師は減っている・猟師の高齢化・担い手不足・熊の行動変化による捕獲の難しさ結果として、“捕る力”が足りていない状態になっています。■ 里山の崩壊・里山の管理ができない(高齢化)・森林の手入れ不足・林業が成り立たないその結果、野生動物は人里へと降りてきます。これは「熊の問題」ではなく、人と自然の関係が崩れている問題です。■ 私たちの次の一歩再生エリアをつくります今回の話から見えたのは“熊が増えた”のではなく、“山の受け皿が壊れている”という現実でした。だからこそ私たちは捕るだけではなく、山を再生する側へ回ります。■ 具体的な取り組み私たちは山の一部に**「再生エリア」**をつくります。そこに・熊の食べ物となる果樹・山の循環を取り戻す植物を植えていきます。■ ポイントはディアライン以上重要なのは鹿の食害ライン(ディアライン)より上に植えること。今の山では、低い位置の植物は鹿に食べ尽くされてしまいます。つまり、植えるだけでは意味がありません。鹿が届かない高さ・環境に植えることで、確実に育つエリアをつくります。■ 2〜3年で実る山へこの再生エリアは**2〜3年で実がなる状態(豊作)**を目指します。短期間で変化をつくることで・熊の食料を確保する・人里への出没を減らす・森の循環を取り戻すという実際の効果につなげていきます。■ 食べるから、育てるへこれまで私たちは「いのちをいただくこと」に向き合ってきました。そしてこれからは「いのちを育てること」まで責任を持ちます。■ 支援がつくる未来この再生エリアは、皆さまの支援によって実現します。支援は木を植え実をならせ熊を支え森を守るそんな循環を生み出します。■ 最後に山は今、静かにバランスを崩しています。だからこそ私たちは“食べて終わり”ではなく、“食べて、育てて、森を戻す”「おいしいが森を救う」この引き続きこの挑戦を進めていきます。




