
第4回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』
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「で、いったいどこに連れてこうっていうんだよ」
バスを降りるやいなやタバコに火をつけた涼介が言った。
「レストランだよ。ガキの頃、よく来てたんだ」
つられるように俺もタバコを咥える。
「レストランだあ?」
「美味い店だったぜ、マカロニグラタンが特に」
「それ何年前の話だよ」とボン。
「何年前って、そうだな、中学、いや、もしかしたら小学生の頃かな」
俺が言うと涼介が大げさに体をのけぞらせる。
「はああ? そんなの三十年以上も前じゃねえか。よく覚えてんなお前」
確かに親父の異動で実家が引っ越して以降、この町に来ることはほとんどなかった。ここで過ごした記憶自体が曖昧なのに、どうして俺はレストランなんかを覚えていたんだろう。
覚えがあるようなないような、そういう道路や建物の中を歩くのは、変な気分だった。ほろ酔いだからかもしれねえけど、なんか妙に感傷的になってくるっつうか、ふと涙ぐんでしまいそうになる。これがオッサンになるってことかもな。歳くうと涙腺が緩くなるって言うし。
でも、そんな俺のナイーブな精神状態をぶち壊すように、ボンがあっさりと「何もねえな」とか言いやがる。
「ああ、何もねえ」とタカも同調する。
「お前、つまんねえとこ住んでたんだな」涼介はもっと露骨だ。
だがよく見てみれば、なんてこった、こいつらの言う通りだった。センチメンタルフィルターを外して見れば、全くもって何もない、つまんねえ街なのだ。
〜第5回に続く〜
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本日はここまでです。
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それでは、また明日。
児玉ロウ



