
本書を読むと、「自分たちの関係は、いったい何に影響されてきたのだろう」と、立ち止まる瞬間があります。
先行してイントロダクションを読んでくださった方から、ご自身の夫婦関係を深く見つめ直すご感想をいただきました。そして同時に、「では、ここからどうすればいいのか?」という問いも、そこには含まれています。
本書では、その答えが、科学的研究に基づいて示されています。
まずは、その率直なご感想をご紹介します。
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最初のエピソードを読んでまず思ったことは、勝手に犬を買うことを決断した彼女は良くないし、私ならそんなことはしないということ。
彼女は甘えてるように見えるし、それで許されると思っている態度が不快だった。
でもよくよく考えてみるとそれはよくある話で、私も聞いたことがあるし、それで上手くいった例も聞いたことがあることに気がついた。
そして私も実家の父母に対してならそれができたかもしれない。
きっと彼らはそれほど怒らないし、決定的な決別の条件にはならない。
では誰が許さないのか?
夫だ。
そしてこれらは夫の価値観だ。
いつの間にかインストールされていることに気がついてびっくりした。
これがもし(私にとって)良い価値観なら、夫から良い影響をもらっていると思えるが、これは私の尊厳を踏み躙るような価値観だ。
そして私を縛っている。
このエピソードと同じ事象が私たち夫婦間に起こった訳ではないが、いつの間にか私が学習していることなのだと思う。
こういう影響が恐らく夫にもあるのだろうし、私の何かしらの価値観が夫を縛ってしまっていることもあるのだろう。
ただそれは早とちりや誤解がある可能性があるし、それがお互いのストレスにもなっている状態。
絡まりすぎていて、解決の糸口がわからない。
「何かを譲りすぎたような気持ちにならずに、折り合いをつけることができない」
「ただこの喧嘩を終わらせたい一心で、あまりに早く謝ってしまう」
これらは心当たりがありすぎる。
「だって…ケンカしたくなかったんだ」この気持ち。
ケンカや対立はやってはいけないことだと思っていた。
これをやってしまうともう終わりだと思っていた。
だから私は極力夫に合わせて、波風を立てないように頑張ってしまった。
幸い私は体力も能力もあったので(笑)かなり間これをできてしまった。
そして皺寄せは子ども達にいってしまった。
本当に申し訳ないことをしたと思う。
今はその偏った価値観を少しでも修正したいと思って、子ども達と接している。
「私たちの内側には、地下のように広がる世界があります」
これは私が夫との関係が悪くなり始めて考えたことと同じだ。
夫がなぜあんな言い方をするのか、なぜあんな態度になるのか、夫の家族構成や生い立ちを考えていると少し見えてきた。
本人の口から直接聞いたわけではないので、違うところはあるかもしれないが、そこそこの正確性はあるのではないかと思う。
以前「あなたの過去ってこういうことだよね?」と聞いたことがあるのだが、それが当たっていたからだ。
こういう話をしてるうちに私がダンナに何を求めていたのかも少しわかってきた。
私は夫に「私にとっての優しいお父さん」を求めていた。
色んなことを大目に見てくれて、優しく接してくれ、ハグをして褒めてくれる「優しいお父さん」。
そしてそれを持っている人だと思っていた。
そして恐らくダンナは私に「優しいお母さん」を求めていた。
色んなことを大目に見てくれて、優しく接してくれ、ハグをして褒めてくれる「優しいお母さん」。
ただ、夫は私に優しい母親を求めると同時に私を下に見ていたので、それはできないことだとも思っていた。
私の考えは配慮がなく浅はかで社会性もなく取るに足らないものだと夫は思っていたし、実際にそれを何度か言われたこともある。
確かにそういう部分があったことは否めない。
でもそれらの大半は、夫の生育環境における呪いだったのだろうと思う。
私のように浅はかで社会性のない人間が何の苦労もなく楽しそうに生きていることに理不尽さを感じていたようだ。
夫の母親はとても苦労をして仕事と家事と子育てを一手に引き受けて自分たちを育ててくれたと夫は考えていて、正反対に見える私のことを憎んでいた。
と同時に、負い目を感じなくていい私のことを一緒にいて楽な存在だと安心もしていたのだと思う。
そして私も不器用な夫のことを馬鹿にしていた部分もあった。
私の実家では器用で機転が効くことが最上で、勉強だけできる愚鈍は馬鹿にしていい対象だった。
それは私の父親が高卒で学がないことのコンプレックスから来ていたのだと思う。
勉強を最上とする夫の実家との相性は最悪だった。
私と夫の対立は、私達の生育環境に起因していたことに気がついた。
ただそれをどうやって夫に伝え、一緒に関係を修復していっていいのかわからない。
一時、夫の心の傷について話したことがあり、その一瞬は上手くいった。
でも夫はそれ以上深追及することを拒否した。怖いそうだ。
別の日、些細な会話でダンナが激高した。
「それってどういう意味?」と私が聞いたことをキッカケに怒り出した。
私には本当に他意はなく「どういう意味?」と聞いただけなのに、夫の心の何かに触れたらしい。
「私は理解しようとして聞いただけなんだけど」と静かに伝えても「オレの会話はその場を和やかにするためだけのものなので、理解を深めようとしなくていい」と。
恐らく私の言葉を勝手に「売り言葉」だと思い「買い言葉」を返してきたんだとは思う。
これを聞いて私は「もう夫と話すのは止めよう」と完全に思ってしまった。
私がやり方を間違ったのかもしれない。
もう一度話し方を変えてじっくり夫と向き合えばよかったのか?
夫は拒否の姿勢を取っているが、私のアプローチ次第では心を開いてくれるのか?
彼の心の根底にたどり着ければ、非常に多くの思いやりと理解があるのか?
夫に対する恨みがすごいので、夫と素直に向き合う自信があまりないのだが、この夫婦の対立を解消する方法が「科学的に解明」されているなら、好奇心からぜひそれを知りたいと思う。
(いちのさん 50代 講師)
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今回いただいたご感想を通して、あらためて感じたのは、夫婦やパートナーとの対立は、目の前の出来事だけで起きているのではない、ということです。
その奥には、それぞれが長い時間をかけて身につけてきた価値観や傷つき方、守り方があり、気合いや我慢だけではほどけない複雑さがあります。
本書『夫婦・カップルの正しいケンカの仕方』は、そうした関係のもつれに対して、50年にわたる研究に基づいた理解と実践の道筋を示してくれる本です。
大切な人との関係を見つめ直したい方へ、この本を一人でも多く届けるために、ぜひ本プロジェクトを応援していただけたら嬉しいです。



