ごあいさつ
はじめまして。神奈川県相模原市にある藤野という中山間地域で、地産地消のエネルギー供給モデルを作る活動をしている高濱宏至と申します。2014 年にフィリピンで大規模な停電を経験した後、藤野電力と出会いオフグリッド電源を作る面白さに目覚め、2016 年に藤野に移住して10年になります。NPO 法人Class forEveryoneの代表理事として、アフリカの非電化地域の学校でオフグリッド電源の導入や電気を作るワークショップなどを実施してきました。
現在は地産地消のエネルギー供給モデルを作るべく、中山間地域で「木炭蓄電」作りをやっています。地域の広葉樹を伐採して炭焼きし、出来上がった木炭を賦活処理という方法で活性炭にします。この活性炭を加工して蓄電器を作り、ソーラーシステムと組み合わせて照明や電気柵として使うというのが、目指しているエネルギーの地産地消になります。
私たちはこれを「クラフトエネルギー」と呼称して、似たような環境に住んでいる他地域の皆さんに広めていきたいと思っています。4年前には木炭蓄電器について何も知らないも同然でしたが、特許を持つ松江工業高等専門学校の先生方の協力を得て自分達で木炭蓄電器を作れるようになりました。その一端を皆さんにも共有し、同じようなエネルギーの地産地消を実現できる地域を増やしていきたいと思っています。
ぜひ一緒にエネルギーの地産地消を始めてみませんか。応援よろしくお願いします!

木炭から蓄電器をつくる?
みなさんは、蓄電と聞いてどんなものが頭に浮かびますか。
乾電池やリチウムイオン電池など、私たちは毎日の生活で電気が貯まったモノを使っています。私たちが使う「電池」というのは、基本的には化学電池という種類のものなのですが、化学反応を起こさず電気を貯めるモノとしてキャパシタというものがあります。
木炭蓄電器は正式には電気二重層キャパシタ(EDLC)と呼ばれるもので、温度変化に強く60度からマイナス30度にも対応可能で、充電のサイクル寿命が長く何十年と使い続けられる可能性があり、原料が木炭なのでゴミにもならないというメリットがあります。(電池ではなく電器という言い方をしているのは、化学電池との違いがあるためです)
一方で、エネルギー密度がリチウムイオン電池の100分の1程度しかない、つまり必然的に蓄電装置が大きくて重くなるという側面もあります。持ち運びには向いておらず、大きな電力を使用することにも向いていないので、据え置きのLED照明装置や電気柵など、小さな電力で動くものに使うのが向いていると言えます。

きっかけとしての「ナラ枯れ」、最初はアフリカへ
この活動を始めるきっかけとして、神奈川県相模原市で「ナラ枯れ」と呼ばれる被害が広がったことがありました。2019年度に62本だったナラ枯れ被害が、2020年度には1,122本と大幅に増加しました。ナラ枯れの予防に加えて、ナラ枯れ材を有効に活用する取り組みとして木炭蓄電器にしたいと思い、島根県の松江工業高等専門学校に相談しました。
自分達が最初にできることとして、木炭蓄電器をアフリカの非電化地域で活用するという形で連携がスタートし、2022年より相模原市において製造実験をさせてもらう共同研究が始まり今に至ります。3年間の活動で、小規模ながらも地域の広葉樹から木炭蓄電器を作れるようになり、この技術を全国で私たちと似たような暮らしをする人々に届けたいと思い、本プロジェクトを立ち上げました。

ワークショップとして啓蒙活動
2025年より、市内の子ども達向けに木炭蓄電器を作るワークショップを展開してきました。木炭蓄電という技術を広く知ってもらい、自然エネルギーの普及に不可欠な蓄電について興味を持ってもらえるよう、小学生の夏休みの自由研究の題材として設計しスタートしました。身近に使われている乾電池、鉛蓄電池やリチウムイオン電池など様々な蓄電技術がある中で、自分でも作ることができるという面白さを体感してもらうことで、エネルギーのDIYについて考えてもらえるきっかけ作りになると感じています。

この1年間の実践をもとに、大人向けのワークショップも併せて開発をしているところです。同じ地域に、電気の作り方を全国の人々に教える活動を展開してきた藤野電力という団体もあり、炭焼きの活動などと協働しながら里山で行うエネルギーのDIYを「クラフトエネルギー」と呼称して広めていくための準備をしています。 https://craft-energy.jp

リターンについて
私が木炭蓄電器について調べたいと思っていた当時、喉から手が出るほど欲しかったのが木炭蓄電器の実物を触る機会と作り方に関する実践的な知識でした。松江高専の先生方が発行している論文は読めましたが、理系でない自分にとっては分からないことだらけで、自分で調べて実験するのも限界がありました。
ニッチではあると思ってますが、自分達と同じように日本のどこかで木炭蓄電に興味を持っている人がいたら、「自分もやってみたい! 自分もやれそうだ!」と思ってもらえるモノをリターンにしたいと思い用意しました。
・小学生向けに作った「木炭蓄電の教科書」
・ナラ枯れ、炭焼き、賦活処理などを1冊にまとめた「里山クラフトエネルギー」
・各種ワークショップと現場の視察
どれもゼロから木炭蓄電の取り組みを始めるうえで、役に立つ情報だと思います。このプロジェクトを応援してくれる人は全員が同志だと思いますので、ぜひこれから一緒に地産地消のエネルギー供給モデルを各地域で作っていきましょう。
応援していただいたお金でやりたいこと
応援いただいたお金で実現したいことが、「ビニールハウス栽培で必要な電力を、木炭蓄電器とポータブル電源の組み合わせによるオフグリッド電源で賄う」という挑戦です。
冒頭に書いたように、木炭蓄電器を単体で使おうとするとLED電球の点灯や電気柵など使用電力量が少ないものに限られてしまうのですが、その制約を打ち破る1つのアイデアとして、持ち運び可能なポータブル電源と組み合わせるという研究が松江高専で行われています。この研究をもとに、藤野の中山間地域の畑でビニールハウスの実験を行いたいと思っています。
ビニールハウスの換気装置、温度センサー、自動潅水システムなど、日常的に使われる電力を地域由来の木炭蓄電でまかなうことに成功したら、このシステムも他地域に広げていきたいと考えています。

スケジュール
4月: 畑の耕作とビニールハウスの設置などをスタート
5月: リターンとしての木炭蓄電器を作るワークショップをスタート
6月: ビニールハウスと「木炭蓄電器×ポータブル電源のオフグリッド装置」設置完了、スイカ栽培スタート
9月: スイカの収穫を完了
10月~2027年3月: リターンとして、木炭蓄電器の製造および活用現場を紹介するツアー、活性炭を作る賦活処理体験ワークショップを定期的に開催
最後に
日本では電気やガスをはじめ、自分達が使うエネルギーの90%を輸入に頼っており、世界情勢に大きく左右される不安的さが改めて露見しているのが現状です。しかし、一方で私たちの身の回りには雄大な自然があり、使われなくなってしまった昔ながらの生活の知恵も溢れています。大規模なエネルギーを化石燃料を燃やしたり原子力を使ったりして作るのではなく、自分の生活に必要なエネルギーを理解しながら、身の回りのものを活用して自分達で作って使うという、新しいエネルギーの地産地消を一緒に始める仲間が増えたらとても嬉しいです。ワークショップは基本的に藤野地域で開催しますので、ぜひ全国からたくさんの人々にお越しいただけると嬉しいです。そして、ぜひ皆さんの地域でも共に実践していきましょう!

最新の活動報告
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850℃をどうやって確認するのか
2026/03/26 14:52「水蒸気を満たした状態で850℃以上の温度を維持し90分焼き続ける」水蒸気賦活処理。この温度帯をちゃんと維持できているかを確認する方法として、陶芸家の方々が使うゼーゲルコーンというものを使っています。(上の写真の物体です)ドイツのゼーゲルさんという方が150年ほど前に考案したもので、アルミナ質、粘土質、けい石質、マグネシア質、けい酸マグネシウム質、クロム質、ジルコン質などの原料を調合して、何度になったら倒れるというのを設定する三角錐のものになります。茶色い土台は1回目の賦活処理に使ったもので、それぞれ835℃と855℃になります。この温度を超えると倒れるのですが、855℃が倒れていないので比較的温度帯が低かったことを示しています。(結果的に、出来上がった活性炭の性能はイマイチでした)もう1つは2回目の賦活処理のもので、見事に両方とも倒れています。(こちらは良い性能の活性炭が作れました)このようなものを使って、なるべく質の良い活性炭を作るようにしています。もちろん陶芸家さんに出会えたからこそ知ったもので、40年の人生でゼーゲルコーンの名前を聞くのも初めてでした。まだまだ新しい賦活の方法もあるかもしれませんので、色々な実験をしていきたいです! もっと見る
撹拌させたい賦活処理
2026/03/25 19:12陶芸用電気炉を使っての賦活処理、性能としては申し分ないものが製造できたのですが、更に工夫をこらせるとしたら撹拌させるということだと感じました。ステンレス缶に木炭と水酸化カリウムを混ぜたものを入れて、これを熱しながら上から水滴を垂らして水蒸気賦活をした時の完成品が上記の写真になります。表面の白いものは水に含まれる不純物の塊であり、その下に活性炭が出来上がっています。これをさらに細かく砕くと、内部に行くほど熱が伝わっていない様子が分かります。据え置きでやるならば、そりゃそうなるかという結果でした。これを改善するためには、内部を撹拌して熱が均等に伝わるようにしなければなりません。第2、第3の電気釜をもらってこれから試したいのが、まさにこの撹拌機能を設置することになります。もし良いアイデアがありましたら、ぜひ教えてくだしさい :) もっと見る
籾殻くん炭とトリポーラス
2026/03/24 19:57皆さんは、籾殻くん炭(もみがらくん炭)というものをご存じでしょうか。毎日のように食べているお米から出る稲の籾殻を蒸し焼きにして炭化させたもので、農業資材として広く活用されています。収穫後に残る茎、葉、根などの農業残渣(ざんさ)と呼ばれる有機物の一つですが、実はソニーが籾殻から作った「トリポーラス」という活性炭を開発しており、偶然の出会いからこの一部をいただくことができました。(写真の奥が籾殻くん炭で、手前がトリポーラスです。)これを使って木炭蓄電器を作ってみたのですが、ナラ材から作った活性炭よりも性能が良い可能性があるかもしれません。(性能調査はまだなのですが、LED点灯時間がナラ材で作ったものより長いのです)クラウドファンディングをやってみて、もみ殻活性炭の研究をされているような人々ともつながることができました。まだまだ木炭蓄電は様々な可能性を秘めていると思いますので、ぜひ多くの方々とつながり、今後の活動を一緒にやっていけると嬉しいです。引き続きよろしくお願いいたします。 もっと見る






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