子どもたちが「何もしなくてもいい場所」を、佐世保に残したい
佐世保市の中心部で、子どもや学生が無料で利用できる場所「かのん[奏音]」を運営しています。
勉強してもいい。
本を読んでもいい。
ピアノを弾いてもいい。
誰かと話してもいい。
そして、何もしなくてもかまいません。
学校や家庭とは少し離れて、評価されたり、何かを求められたりすることなく、自分の時間を過ごせる場所。
かのん[奏音]は、そんな場所でありたいと思っています。
何かをするためだけの場所ではありません
子どもたちは、毎日いろいろな場所で頑張っています。
学校では勉強や部活動があり、家庭では家族との生活があります。
友人との関係の中にも、それぞれの役割があります。
もちろん、それらは大切なものです。
でも、ときには、何かを頑張ることから少し離れ、自分のペースで過ごせる時間があってもいいのではないか。
誰かと話したければ話し、ひとりでいたければひとりでいる。
何かに挑戦する日があってもいいし、何もしない日があってもいい。
そんな余白のような場所をつくりたいと思ったことが、かのん[奏音]の始まりでした。
閉めようとして、初めてわかったこと
これまで、運営が難しくなり、かのん[奏音]を閉めることを決めたことがあります。
そのことをお知らせしたとき、
「なくなったら困る」
「残念です」
「続けてほしい」
という声を、子どもたちやご家族からいただきました。
卒業して佐世保を離れていく人や、そのご家族から、あとになって感謝の言葉をいただくこともあります。
普段、利用している子どもたちが「この場所が必要です」と口にすることは、ほとんどありません。
ただ来て、好きなように時間を過ごして、帰っていきます。
それでいいと思っていました。
だからこそ、閉所を決めたときの反応は意外なものでした。
私たちが思っていた以上に、この場所を大切に思ってくださっている人がいることを知りました。
こんなふうに使われています
かのん[奏音]には、本を読んだり勉強したりできる場所があり、ピアノもあります。
ひとりで本を読む人、勉強する人、ピアノを弾く人、友達と過ごす人。それぞれが思い思いに時間を過ごしています。
コンサートや読書会などが開かれることもあり、最近では学生ボランティアが開所を手伝ってくれるようになりました。
利用する人、活動する人、支える人。少しずつ、いろいろな人が関わる場所になっています。
子どもの利用を無料にしてきました
経済的な事情によって利用できる人とできない人が分かれないよう、子どもや学生の利用は無料にしています。
その一方で、場所を維持するためには、毎月、家賃や光熱費などの固定費が必要です。
これまでは、コンサートや楽器練習、教室、イベントなどで場所を利用していただいた収入を運営費に充て、不足する分を補いながら続けてきました。
しかし、利用料収入だけで維持していくことは難しく、現在の形をこのまま続けることには限界があります。
子どもたちに無料で開いている場所だからこそ、その費用を「その場所を必要としている子どもたち」だけに負担してもらうこともできません。
では、どうすれば続けられるのか。
考えた末に、この場所を大切だと思ってくださる方々に、少しずつ支えていただく仕組みをつくりたいと思うようになりました。

グランドピアノの売却を、12月まで延期しました
かのん[奏音]の象徴のような存在だったグランドピアノを、運営資金を確保するために売却することを決めていました。
音楽を大切にしてきた場所ですので、簡単な決断ではありませんでした。
それでも、
「ピアノがなくても、かのん[奏音]という場所を残すことの方が大切だ」
そう考えていました。
ところが、ピアノの売却を知った学生たちから、「ピアノにありがとうを伝えるコンサートをしたい」という声が上がりました。
学生たちは自分たちでチームをつくり、何度も話し合い、9月13日に「ありがとうコンサート」を開催しました。
学生たちの活動や、コンサート後に届いた写真や報告、そしてピアノを惜しむ多くの声に触れ、私自身ももう一度考えるようになりました。
本当に、このピアノを手放すしかないのだろうか。
そもそも、ピアノを売ろうとしたのは、ピアノが必要なくなったからではありません。
かのん[奏音]を続けるための運営資金が必要だったからです。
ということは、別の形で運営資金を確保することができれば、ピアノを売却しなくても済みます。
そこで、これから数か月の支援状況や今後の運営の見通しを見ながら、グランドピアノを売却するかどうかの判断を、2026年12月まで延期することにしました。
もちろん、今の段階で「ピアノを残せます」とお約束することはできません。
何よりも優先したいのは、かのん[奏音]という場所を続けていくことです。
そのうえで、支援によって運営に見通しを持つことができれば、
場所と一緒に、このグランドピアノも残したい。
今はそう思っています。
100万円をお願いする理由
今回のクラウドファンディングでは、100万円を目標にしています。
いただいた支援金は、かのん[奏音]を維持するための家賃や光熱費、施設や設備の維持、消耗品などの日常的な運営費、活動を知らせるための費用、クラウドファンディングに必要な手数料などに充てます。
今回の支援によって当面の運営資金を確保できれば、運営資金を得るために予定していたグランドピアノを、売却せずに残せる可能性があります。
この100万円で、かのん[奏音]がずっと続けられるわけではありません。
だからこそ、このクラウドファンディングを単なる一時的な資金集めにはしたくないと思っています。
支援によって当面の運営を安定させながら、その間に、イベントや場所の利用を増やすこと。
継続して応援してくださる方を増やすこと。
学生ボランティアをはじめ、運営に関わる人を少しずつ増やすこと。
そうした取り組みを進め、個人の負担だけに頼らない運営に近づけていきたいと考えています。
大きくするためではなく、続けるために
今回のクラウドファンディングは、かのん[奏音]を大きくするためのものではありません。
新しい施設をつくったり、大きな設備を導入したりすることは考えていません。
むしろ、今あるものをできるだけ大切にしながら、無理なく続けられる場所にしたいと思っています。
かのん[奏音]に来る子どもたちに、何か特別な成果を求めているわけでもありません。
友達ができなくてもいい。
何かに挑戦しなくてもいい。
前向きになれない日があってもいい。
本を一冊読んで帰る人もいます。
机で勉強する人もいます。
音楽を聴く人もいます。
誰とも話さずに帰る人もいます。
そういう時間も、その人にとって大切な時間なのだと思います。
この場所を、地域の中に残すために
子どもの居場所について考えるとき、私たちはつい、「そこで何をしてあげられるだろう」と考えます。
けれど、何かをしてあげようとしすぎない場所も必要なのかもしれません。
必要なときに行くことができて、そこにいてもいい。
何かを求められることなく、自分の時間を過ごすことができる。
かのん[奏音]が、そんな小さな選択肢のひとつとして佐世保に残っていけたらと思っています。
この場所を利用している人だけで支えるのではなく、
「自分は利用しないけれど、こういう場所が街にあってもいい」
と思ってくださる方にも、支えていただけたら嬉しく思います。
ご支援の金額にかかわらず、「この場所があってもいい」と思ってくださる方が一人増えることを、とてもありがたく思います。
かのん[奏音]を、必要な人が必要なときに訪れることのできる場所として残していくために。
そして、できることなら、この場所と一緒にグランドピアノも残していくために。
どうぞ力を貸してください。
最新の活動報告
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余白と自由帳
2026/10/09 09:53かのん[奏音]を作るとき、私が作りたかったのは、「余白」です。ずいぶん前に、こんなことを書いたことがあります。人が成長していくために必要なのは、「安全な場」「必要なケア」「人との関わり」だけではない。枝や茎を伸ばし、葉を茂らせるための「スペース」も必要なのではないか。植物を育てるとき、いくら水や肥料を与えても、伸びていくための空間がなければ、自由に枝を広げることはできません。人も、少し似ているのではないかと思います。何かを教えられる時間。誰かに支えてもらう時間。人と関わる時間。それらは大切です。でも、それとは別に、何をするかを決められていない時間や場所も必要なのではないか。そのことは、かのん[奏音]のウェブサイトにも書きました。かのん[奏音]では、本を読んでもいい。勉強してもいい。ピアノを弾いてもいい。誰かと話してもいい。そして、何もしなくてもいい。何かを身につけるための場所でもなく、何かの成果を出すための場所でもない。「余白」であり続けること。それは、かのん[奏音]が存在する意味のひとつなのだと思います。けれど、クラウドファンディングを始めてから、少し難しさも感じています。「余白を残したいので、支援してください」そう言っても、なかなか伝わりにくい。何が起こる場所なのか。何の役に立つのか。支援すると、何が生まれるのか。そう尋ねられたとき、「何もしなくてもいい場所です」と答えるだけでは、支援をお願いするには弱いのかもしれません。そんなことを考えていると、学生ボランティアの一人が、「かのん[奏音]は自由帳みたいなもの」と表現してくれました。なるほど、と思いました。自由帳には、何を書いてもいい。絵を描いてもいい。文字を書いてもいい。落書きをしてもいい。何も書かないページがあってもいい。最初から、「ここにはこれを書きなさい」と決められてはいません。かのん[奏音]も、そういう場所です。何もしなくてもいい。でも、何かやってみたくなったときには、それを始めてもいい。今回の学生たちのコンサートも、そうでした。大人が用意した活動ではありませんでした。何かを目的につくった場所ではないのに、そこから何かが生まれた。そう考えると、わくわくしてきます。この自由帳には、これから何が描かれるのだろう。もちろん、何も描かれないページがあってもいい。でも、場所が残っていれば、いつか誰かが何かを描き始めるかもしれない。かのん[奏音]を残したい理由は、そこにもあるのだと思います。余白を残すこと。自由帳を、白いページのまま置いておくこと。その先に何が生まれるのかは、わかりません。わからないからこそ、この場所をもう少し残してみたいと思っています。 もっと見るコンサートの様子
2026/10/08 15:56こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
何もない日のかのん[奏音]
2026/10/06 18:55コンサートのような特別な日ばかりではありません。むしろ、かのん[奏音]のほとんどの日には、特別なことは何も起こりません。本を読む学生がいる。勉強している人がいる。友達と話している人がいる。ピアノを少し弾いて帰る人がいる。何もせずに過ごしている人もいる。SNSに載せるようなできごとがない日です。でも、かのん[奏音]が残したいのは、もしかすると、こういう日の方なのかもしれません。イベントがある日だけ場所を開けるのであれば、もっと効率のよい運営方法があると思います。けれど、「今日は何もないけれど、行けば開いている」という場所には、それとは違う意味があります。クラウドファンディングでお願いしている家賃や光熱費は、コンサートのような特別な一日だけではなく、こうした何もない日を続けるための費用でもあります。何もしなくてもいい場所には、何も起きない時間がたくさんあります。その時間も含めて、この場所を残したいと思っています。 もっと見る






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