
一旦完成しても数日寝かせると足りない部分が際立ってくる。そこを手直しするプロセスで作品は突如変貌を遂げる。
最後の一枚だと言う覚悟で向き合ってこそ、一線を越えられる。
作品説明
作品名:『予期せぬ再会』
作:貴則(30×40cm / アクリル・石膏パテ・キャンバス)
【作品コンセプト:混迷の奥からこちらを見つめる「もう一人の自分」】
人生の旅路において、私たちは時に立ち止まり、忘れていた記憶や感情、あるいは見失っていた「本当の自分」と対面することがあります。
激しく燃え盛るような色彩とマチエール(質感)の嵐の中から、突如として浮かび上がる一人の人物。その力強い眼差しは、静かに、しかし真っ直ぐに、見る者の心の奥底を射抜きます。
独学だからこそ到達できた無垢な初期衝動で、運命的な邂逅の瞬間をキャンバスに定着させた、劇的なドラマを感じさせる意欲作です。
【アートとしての見どころ(論評)】
- 感情の地層を描き出す「圧倒的なマチエール」
石膏パテを幾重にも塗り重ね、削り、執拗に刻み込まれたような画面は、まさに積み重なった時間や記憶のひずみそのもの。うねるような絵の具の物質感が、作品に凄まじい立体感と彫刻的な重厚感を与えています。 - 暗闇を照らす「光と色彩のエネルギー」
画面全体を包む鮮烈なイエローや赤の色彩と、人物を包み込むように流れる漆黒のコントラストが秀逸です。カオスな闇の中から浮き上がる、鋭く澄んだ両眼の輝きが、逆境の中でも決して消えない「強い意志」の誕生を象徴しています。



