
〈多くの人が訪れる小樽運河〉
かつて“北海道の心臓”とも呼ばれた小樽市は、斜陽のまちと呼ばれた時代を経て、現在では年間800万人もの観光客が訪れるまちに。一方で人口は減り続け、現在ではピーク時の半分である約10万人程度にまで落ち込んでいます。そんな故郷・小樽でどんな恩返しができるだろうか?
このプロジェクトで目指すのは、蒸留所×図書館をコンセプトにした、小樽市内で初となるスピリッツ蒸留所の立ち上げ。地元の人が誇りに思えるような、地域に根差した存在でありたい…そんな目標に向けての第一歩です。
リターンには、このクラウドファンディングのために準備した、ZINEを纏った特別なジンを用意しました。
家族とともにUターンして挑むこの挑戦に、どうか背中を押していただければ幸いです。


本プロジェクト代表、OHTORI SPIRITS(オオトリスピリッツ)の峰尾真人と申します。
開山100周年を迎えた小樽市内のお寺で生まれ育ち、市内の高校・大学へと進学。
大学在学中は「地域活性」が関心ごとで、ゼミで取り組んだ“地方創生政策アイデアコンテスト2016”では優秀賞を受賞。
「育ててもらったこのまちへ戻り、好きなものづくりを生業として生きていきたい」
この思いを叶えるため、大学卒業後に上京し、3年間のパン職人時代を経て転職。スピリッツ蒸留所の立ち上げから5年間経験を積み、2025年春にUターン。
約一年間の準備期間を経て、無事に製造免許取得となりました!
(どのような課題意識・想いで蒸留所立ち上げに至ったかなど、詳しくは5.以降をご覧ください)


〈蒸留所の内装。大きな窓のあたりに蒸留器を設置する予定〉
物件探しは紆余曲折ありながら、最終的に行き当たった場所は、幼少期から最も親しんできた実家のお寺でした(もちろん、お寺と蒸留所の事業は切り離し、ちゃんと納税します)。
(1)“spirits”のもつ意味とお寺の新しいかたち
お寺で酒造り?と驚かれる方が多いのですが、ヨーロッパでは、修道院でビールや薬草酒などを造っているケースはいくつもあります。日本でも、平安時代~江戸時代にかけて「僧坊酒」という形で、お寺でお酒が造られていました。
蒸留酒を意味する“spirits”という単語には“魂”という意味もあります。お寺と酒造りという文脈においてこのダブルミーニングは偶然には思えません。
また、お寺に蒸留所があることで、これまでお寺と接点のなかったような方々が、訪れるきっかけになればいいなと考えています(父は、お寺を地域の人たちに開く取り組みを20年以上前から開催しています)。
〈 屋号を決めたあと、実家に帰った際、本堂の頭上にオオトリの姿を見つけて鳥肌が立った〉
(2)小樽の記憶を保存する、青森ヒバのカウンター
小樽市内で長い歴史を持つ、材木屋を営む親戚がいたのですが、廃業し、去年建物の取り壊しが決まりました。作業場にあった、今では希少な青森のヒバ板。小樽の歴史を見守りながらも、捨てられる運命にあったその一部を引き取り、試飲室のカウンターとして活用することになりました。

〈大工さんの手によってカウンターに生まれ変わった〉
完成したカウンターを前に、もしかするとこのヒバ板はこの日のために残されていたのではないか、という思いが頭をよぎりました。
蒸留所がお寺の地下にある、ということもそうですが、なにごとも必然性とそのストーリーを大切にしたい。
それぞれの物語をきちんと言語化して、蒸留酒という形で表現する。“記憶の保存”という役割にフォーカスする。それが、私の考える蒸留所の役割のひとつであり、蒸留所を自ら構える意義でもあります。

前職時代、レシピもラベルデザインも、すべて一人で創作したことがありました。我が子の誕生をテーマにした、20年後に大きな意味をもつ特別なジン。
世の中に酒屋や飲食店のOEM製品はたくさんありますが、もっと個人的な、けれどもその人にとってかけがえのない、忘れられない大切な一瞬を、蒸留酒として保存する…そういう文化が当たり前の世の中になったらいいな。そんなことを考えるきっかけとなりました。

〈ジンは透明だからこそ、香りや味わい、物語が際立つと思います〉
蒸留酒は香りを保存する飲み物。嗅覚は記憶と強いつながりを持っています。
“記憶の保存”という観点から、蒸留酒は本に似ていると考えました。
古代アレクサンドリア図書館の門には「魂を治療する場」「この世の記憶をとどめる場」と書かれていたそうです。これは、先述の“spirits”の持つ意味ともつながります。

〈昔から親しんできた市立小樽図書館〉
図書館は、だれでもアクセスできる公共の場です。
これから生み出していく蒸留酒が蔵書されていくイメージ。そして、ある種の公共性をもった場でありたい。

このような想いから、蒸留所を「OTARU DistiLibrary(オタルディスティライブラリー)」と名づけました。
通常、蒸留所立ち上げのプロジェクトでは、お披露目も兼ねて蒸留所の定番商品をリターン(返礼品)の目玉にする、というのが一般的です。
しかし、定番商品については、初めてのお披露目の場こそ、今後流通を担ってくださる酒屋・飲食店など取引先の皆様の手を渡って、飲み手の方々へ届いてほしいと考えています。
実は、定番商品と別に考えてきた、限定商品の構想があります。
それが“ZINEまたは習作シリーズ”。
#01からはじまり、毎回異なるテーマをもとに、スピリッツのもつあらゆる可能性を探求していくシリーズです。詳しくはinstagramの投稿をご覧ください。

〈一般的なラベルと異なり、巻き付ける面によって異なる表情を楽しめる〉
ラベルの代わりとなるのが、瓶に巻き付いている読み物としてのZINE。こちらを読みながら、香りと味わいを楽しむ…そんな体験をしてもらうための仕掛けとなっています。
これからも展開していくシリーズの、最初の三連作を"prologue"として、プロジェクト返礼用の限定品としてリリースします。
※100ml、500mlともに3本セットのみとなります。

自分自身がジンと出会い、作りたいと思った、その感動や思考を時系列で分けて表現しており、これから始まる物語の序章という位置づけです。
私が考えた文章をもとにイラストレーターの那賀雨氏が描き下ろしたイラスト。その世界観を実際の紙に表現するのがBREW OLD BLUE.STUDIO。偶然にも三者とも同世代であり、全員が事業としては駆け出しの立場。似た境遇の者同士で共に作り上げた作品を、応援いただいた皆様に楽しんでいただけたら嬉しいです。
リターンには、100ml3種セット・500ml3種セットのほか、ロゴ入りグラスなどを用意しました。
さらに、お酒が飲めない方向けに≪オリジナルZINE&ビスコッティセット≫もあります。ビスコッティは、製菓学校で教員を務めていた妻によるもので、お酒にもコーヒーにも合うような内容を予定しています。
ぜひご検討ください!
ここからは「そもそもなぜ小樽で蒸留所をやるのか?」について(長くなりますので、時間のない方は【10.おわりに】まで読み飛ばしてください)。
上京した際、出身地を答える時に“小樽市”で一発で伝わることがほとんどで、道内にいると感じなかった、小樽市の認知度の高さに気づかされました。
しかし、あるデータを見てみると、人口減少だけではない、観光地としての小樽の課題が見えてきます。

〈人気の観光スポット・堺町通り〉
ここで数字を少しだけ見てみましょう。
まず、(観光客数÷人口)を“観光客倍率”として定義すると、国内外問わず観光客に人気の高い、京都市が約30倍、鎌倉市が70倍なのに対し、小樽市はなんと約80倍。

〈※2023年度の各自治体のデータに基づき、当方で作成〉
一方、一人当たり観光消費金額をみると、京都市が3.0万円、鎌倉市が2.0万円に対して、小樽市は1.3万円と全国平均(日帰り)の1.9万円をも下回っています。

〈※同上〉
つまり、小樽市は人口の80倍もの観光客が訪れる人気観光地でありながら、その単価(=観光客一人ひとりが地域に落としてくれる金額)が低いということがわかります。

〈バーでのゲストシフト。カクテルづくりや話す力も、蒸留職人の大切な仕事〉
こうした課題に対して自分ができることはないだろうか?
私が考えたのは、北海道・小樽を代表するブランドとなるクラフトジンをつくることです。
観光客の多くがお隣・札幌に宿泊する中で、小樽に根差した魅力的なプロダクトが増えれば観光消費金額の引き上げに貢献することができるだけではなく、地元の飲食店を通して小樽の夜の楽しみを増やすことにも繋がるのではないか?
そして、もしも東日本大震災や新型コロナウイルス蔓延の時のように、観光客が全く訪れなくなったとしても、継続的に購入・消費されるようなプロダクトをつくることができれば、地域経済に貢献できるのではないか?
…これが私なりの“故郷への恩返し”のかたちです。
達成したいことが単に“北海道・小樽を代表するクラフトジンをつくる”というだけであれば、わざわざ蒸留所を新規に構える必要はありません。
近年はクラフトジンのOEMを請け負う蒸留所も増えてきています。
ではなぜ必要なのか?…それは、学生時代に抱いた違和感にさかのぼります。
(1)域外資本問題
観光客が小樽で購入・消費しているものを見てみると、小樽市外で作られた商品・サービスであることは少なくありません。
これ自体悪いことだとは思っていません。ただ、地元の人間としてちょっとだけ悔しかった。地元で消費されたお金は、できるだけ地元の中にとどめておきたい。
だからこそ、小樽の人が、小樽の土地で、小樽の看板を掲げてものづくりをする…そういう立場になりたいと思いました。まちの人が誇りに思えるような存在になりたかった。
学生のころは、ひたすらアイデアを出していましたが、アイデアを出して終わり、ではなく「自分で考えたことを、責任もってやりとげたい」と考えるようになりました。
(2)蒸留所ツーリズムの可能性

〈どこか懐かしい雰囲気の小樽駅ホーム〉
蒸留所が存在する土地は、旅の目的地になります。
お隣・余市にはニッカ余市蒸溜所があります。
観光ついでに蒸留所へ行ってみる。蒸留所へいく目的で、そのまちに滞在する…そんな人が増えたら。
それだけで移住者を増やすことは難しくても、交流人口や関係人口を増やすことには貢献できるはずです。
蒸留所の存在は、観光地として高い知名度を誇る小樽ならではのポテンシャルを生かすことが出来ると信じています。
ご支援いただいた資金は、目まぐるしく変化する社会情勢を背景に、当初の想定よりもかかってしまった設備費や、リターン製造のための材料費、人材採用費、ウェブサイト構築費に使わせていただく予定です。
また、前職時代に達成できなかった、国際コンペでの金賞受賞を目指して、エントリー費用や荷造運賃にも使わせていただければと考えています。

〈左は、前職時代に国産初のアクアビットとしてエントリーし、シルバーを受賞。右が定番のジン〉
2026年4月 蒸留所竣工
2026年6月 酒類製造免許(スピリッツ)取得
2026年7月~8月 クラウドファンディング実施。定番商品の販売に向けて準備
2026年8月 定番商品リリース予定
2026年9月 準備が出来たものから随時リターン発送
2026年11月 リターン発送完了予定(≪あなただけのオリジナルジン製作≫を除く)
コラボレーションの予定も複数あります。お楽しみに!
※中東情勢の影響により、リターンの発送が遅れる可能性があります。あらかじめご了承ください。
「Uターンして故郷・小樽に蒸留所をつくる」
これを目標に掲げて、退職前から黙々と準備してきました。
商工会議所・銀行・税務署・工務店・瓶メーカー・デザイナー・イラストレーター…ありがたいことに様々な方々に協力していただきながらここまで来ました。
何よりも独立の後押しとなったのが、家族の存在。
首都圏で生まれ育った妻にとって、知り合いのいない北海道への移住は大変なことだったと思います。互いの両親の理解がなければ、今はなかったでしょう。
退職を決意したのは第一子が生まれた年。様々な悩みを抱えながらも、背中を押してくれたのは妻の一言でした。
そして、蒸留所開業という節目の今年、第二子が誕生予定。自分自身の背中を見せたい存在がまた一人増えます。
生まれ故郷・小樽市。豊かな地形とほどほどの利便性は、子育てにも良い環境だと感じています。
人気の観光地である反面、人口減少は著しく、衰退の一途をたどっていくのを、黙って見過ごすことはできませんでした。
地方から都市部へと人・モノ・お金が動いていく。“多様性”といいながら、なお画一的な価値観に染まっている現代社会。
人口が減少していけば、相対的に一人一人の個性の濃度は高くなっていくはず。
クラフトジンの魅力は個性豊かであること。誰もが「これが良い」と思うものだけが正解ではないのだ、という“ある種のカウンターカルチャー”ではないかと思っています。
地域を盛り上げるだけでなく、上質で、きちんと美味しいものを作る。蒸留酒の文化を広める。そして次の世代へバトンを渡していく…そんな物語の最初の一歩です。
どうか背中を押していただければ幸いです。ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。
<募集方式について>本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
※20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。酒類を含むリターンはお選びいただけません。
【酒類販売管理者標識】










