

いつも温かい応援をいただき、本当にありがとうございます。 この度は、児童劇団「大きな夢」15 年ぶりの新作ミュージカル『URASHIMA -竜宮の海の底で-』について、少しお話をさせてください。
この作品は、皆様がよく知る『浦島太郎』のお話とは少し異なる、家族の愛について描いたオリジナルストーリーになっています。 浦島太郎の物語は、万葉集を発端として時代と共に変遷を重ね、室町時代の『御伽草子』に収録されたお話の中では、竜宮城に「春夏秋冬の庭」を望むことができる設定になっています。本作でもその幻想的な世界観を取り入れつつ、誰もが知る「玉手箱を開けて歳を取ってしまう」という結末に、少し異なるアレンジを加えました。
さて、ここからは脚本家としてではなく、私個人の話をさせてください。 私の娘は現在、高校 2 年生になります。私の妻であり、娘の母は、10 年前に病気のため他界いたしました。 この作品では「今を生きる尊さ」と「夢の持つ力」を大きなテーマにしていますが、実は、亡くなった妻と過ごした時間や、その時に抱いた想いをこの作品に強く込めています。
私自身も 45 歳になり、やがて祖父になる日もそう遠くないかもしれません。 今回の初演日である 9 月21 日の「敬老の日」に寄せてふと思うのは、老いることは、子どもたちが迷わず歩いていけるように、自らが静かな光になっていくことだと思うのです。
たとえ別の世界へ旅立っていても、10 年前に妻が幼い娘に懸けた強い想いは、今でも変わらずに娘の中で生き続け、彼女の行く道を照らしてくれていると確信しています。
自分がいつか妻のようにこの世を去る時、それでも子どもたちに届けたい想いは何か、と考えました。
子どもが成⾧すれば、父や母の想いを直接届けることはできなくなります。舞台の上でセリフを忘れた娘に、親が客席からセリフを教えてやることはできないのです。子離れをする、子どもを信じて送り出すということは、きっとそういうことなのだと思います。
だからこそ、たとえ自分が居なくなったその世界でも、子どもたちの夢がずっと続いてほしい。姿は見えなくても、まるで竜宮城からずっと見守っているような、時を超えた親から子への愛を描きたいと思い、2 年をかけてこの脚本を書きました。
日本最古の物語の一つとも言える、この『浦島太郎』。私たちが古くから受け継いできたこの大切な物語を、ただの昔話として終わらせるのではない。現代に生きる私たちの愛を込めて、この先もずっと⾧く未来へ繋いでいきたい。今を生きる子どもたちがこの物語を全身で演じ、次の世代へとバトンを渡していく――それこそが、この挑戦のもう一つの大きな意味です。
奇しくも、この作品が初演を迎える 9 月 21 日は「敬老の日」です。 おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、そして子どもたちへ。命の繋がりと、今という時間の尊さを、三世代で一緒に感じていただける作品になりました。
もしよろしければ、この物語が誕生する瞬間を、劇場で、あるいは配信の画面越しに、大切なご家族と一緒に見届けていただけないでしょうか。
また、子どもたちが立つ舞台美術や衣装を最高の形で届けるため、クラウドファンディングにも挑戦しております。ページを覗いていただくだけでも私たちの熱量が伝わると思います。
今を生きる 98 名の子どもたちの未来のために、そして日本の大切な物語を 30 年先まで繋いでいくために、どうか皆様の力を貸してください。温かいご支援とご協力を、心よりお願い申し上げます。
脚本 奥村健一
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■ 奥村 健一
作詞家、絵本作家。NHK「みんなのうた」『恋なんです』『あなたの声』『変顔体操』『サクラノカケラ』、NHKテレビアニメ『ふうせんいぬティニー』『英国一家、日本を食べる』の作詞を手がける。また、プロデュースと作詞を手がけたアルバム『天才おばかクラシック』の「ダッコ行進曲」は、YouTubeで5,000万回再生を突破。絵本『まねっこおやこ』は「2021・2022・2023年度ブックスタート赤ちゃん絵本」に選定されている。
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