
連載16の「まんのうがん」の最後に、どれほど多くの知恵や技術を身につけても、一人でできることには限りがあると書きました。
そこで必要になるのが「ゆうげぇし」という、もう一つの暮らしの知恵です。
「ゆうげぇし」は、漢字で書くと「結い返し」。
簡単に言えば、一人や一家族ではできない仕事を、近所の人たちが力を貸し合ってやることです。
屋根の葺き替え、焼畑、雑穀の収穫などなど。田んぼの稲刈りを手伝い合う「お助けっと」、お風呂を沸かした家に入りに行く「もらい風呂」なんて助け合いもありました。

今でもお茶摘みは、それぞれの家を手伝い合ったりしますし、ちょっと前までは、共同で味噌づくりをする集落もありました。
集落には共同の大きな釜があり、それぞれの家が豆を持ち寄って、一緒に蒸す。一晩中、火を絶やさないように番をしながら、酒を飲み、話をする。
作業することと、人が集まり、語り合うことが混然としていたのでしょう。

そして、「ゆうげぇし」で誰かに助けてもらったら、今度は誰かが困っている時に、自分のできることで力を貸す。その人もまた、別の誰かに手を貸す。
そうやって、助けが人から人へと巡っていく。共通の時間を過ごすことで、技術や知識も伝わっていく。
作業をしながら教えてもらったこと。一緒に山を歩いて教えてもらったこと。
それを自分だけのものにせず、次の誰かに渡していく。みんなでやった方が効率も良いし、何よりも楽しく、学びにもなる。
それも含めて「ゆうげぇし」なのだと思います。

一人ひとりが生きる力を備える「まんのうがん」。それぞれの力を持ち寄り、助け合う「ゆうげぇし」。
この二つが合わさることで、簡単には揺らがない共同体ができていた。山に囲まれた早川で、人々が暮らしをつないでこられた背景には、そんな二つの力があったのだと思います。
「よろず小屋」でも、そんな循環が生まれたらいいと思っています。
最初は何も知らなくても、一緒に山へ行き、一緒に手を動かすうちに、できることが一つ増える。教えてもらったり助けてもらったりしたら、今度は自分ができることで、誰かの力になる。
「まんのうがん」と「ゆうげぇし」が、今の時代にもう一度育っていく場所が、「山の共同よろず小屋」なのだと考えています。
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【クラウドファンディングの現在地】
10月2日現在、280人の皆さまから8,632,000円のご支援をいただき、ファーストゴール1,000万円の86%まで来ました。本当にありがとうございます。
募集終了まで、あと13日。
このクラウドファンディングはAll-or-Nothing方式のため、目標の1,000万円に届かなければ、支援金を受け取ることができず、よろず小屋の計画はいったん中止となります。
一人でも多くの方に、この取り組みを知っていただけたらうれしいです。引き続き、ご支援と情報のシェアをよろしくお願いいたします。



