クラウドファンディングも、いよいよ終盤です。ここまで本当にたくさんの方に支えていただきました。ありがとうございます。本日は、地元紙、山梨日日新聞さんに取り上げていただきました。山梨日日新聞デジタル版(会員登録が必要です)今回の新聞掲載をきっかけに、また少しでも多くの方に、この取り組みを知っていただけたらうれしいです。クラウドファンディングは10月15日まで。All-or-Nothing、目標1,000万円。 「山の共同よろず小屋」、必ず実現させたい。最後まで走ります!ご支援、そして情報のシェアを、引き続きよろしくお願いいたします。
次回は「ゆうげぇし」について書くと予告しましたが、その前に、9月27日に、月夜見山荘で開催した「満月 Night Live 2026」について記しておきます。このライブ、最初に開催したのは2019年。その後、コロナを挟み、2025年に2回目を開催し、今回で3回目となりました。企画してくださっているのは、ここ西之宮集落出身で、現在は南アルプス市にお住まいの望月さん。私どもが満月や新月の日に合わせて、不定期で小さなイベントを開いていることを耳にして、「自分の故郷、西之宮でライブをやりたい」とお申し出くださったことから始まりました。回を重ねるごとに出演してくださる方も増え、今回は6組のグループが出演。お客様も合わせると30名を超える規模となり、普段は定員8名で営業している山荘は、さながら鮨詰め状態。また、出演してくださった方の中には、早川に縁のある方々も多数。聴きに来てくださったお客様も町内、町外さまざま。中には、このライブに合わせて帰省してくださった西之宮集落出身の方もいらっしゃいました。演奏する人、それを聴きに来る人、久しぶりに顔を合わせる人、新しく出会う人。早川に住んでいる人、早川を離れて暮らしている人、早川に縁のある人。そして、早川に初めて来た人。いろいろな人たちが入り混じり、いつもは静かな西之宮に、賑やかな時間が生まれました。その様子を見ながら、私はふと思いました。「ああ、こういうことなんだよな」と。「山の共同よろず小屋」は、いろいろな人が、それぞれの知恵や技術、経験や「やってみたい」という思いを持ち寄り、出会う場所。ある時は教える人になり、ある時は教わる人になる。町内の人も町外の人も、それぞれが関わりながら、新しい何かが生まれていく。そんな開かれた場所にしたいと思っています。狩猟採集に詳しい人がいる。料理が得意な人がいる。石積みができる人がいる。山や森や川に詳しい人がいる。昔の暮らしを知っている人がいる。そして、音楽のできる人もいる。それぞれが持っているものは違います。でも、その違うものが一つの場所に集まったとき、一人ではつくれなかった何かが生まれる。今回のライブは、そのことを目の前で見せてもらったような時間でした。もちろん私たちは、自分たちができることとして、山の幸を使った料理をご提供。それぞれ違うものを持った人たちが集まり、普段の月夜見山荘にはない、一夜限りの時間が生まれました。まだ、よろず小屋は建っていません。でも、小屋ができたら起きてほしいと思っていることのいくつかは、すでに月夜見山荘やおすくにで芽を出し始めているのかもしれません。「やってみたい」と「自分はこれができる」が出会う場所。山のことでも、食のことでも、ものづくりでも、そして音楽でもいい。よろず小屋は、こうしたものを受け止め、確実に育てるための「器」でもあるのだと思います。今回のライブを通して、そんな小屋の未来を少しだけ先に見せてもらった気がしました。というわけで、一回寄り道をしましたが、次回こそ「ゆうげぇし」について書きたいと思います。ーーーーーー【クラウドファンディングの現在地】9月29日現在、256人の皆さまから7,997,000円のご支援をいただき、ファーストゴール1,000万円の79%まで来ました。本当にありがとうございます。募集終了まで、あと16日。ファーストゴールまで、あと2,003,000円です。このクラウドファンディングはAll-or-Nothing方式のため、目標の1,000万円に届かなければ、支援金を受け取ることができず、よろず小屋の計画はいったん中止となります。一人でも多くの方に、この取り組みを知っていただけたらうれしいです。引き続き、ご支援と情報のシェアをよろしくお願いいたします。
日本上流文化圏研究所、通称「上流研」で働いていた頃から、私たちは「まんのうがん」と「ゆうげぇし」という二つの言葉を大切にしてきました。どちらも、早川町で受け継がれてきた暮らしを端的に表した言葉だと思っています。今回は、そのうちの「まんのうがん」について書いてみたいと思います。「まんのうがん」とは、衣食住に関わることをはじめ、暮らしに必要なことを何でもこなす人のことです。漢字では「万能丸」と書き、元々は万能薬のことだったようですが、それが人に転じて「なんでもできる人」を指す言葉になったそうです。自然をよく知り、山にあるものを生かす。必要な道具は自分で作り、壊れたものは直す。先々のことを考えて段取りを整え、思いどおりにならない自然や暮らしの条件にも対応する。厳しい地形と限られた資源の中で暮らすために培われてきた、知恵と技術と精神力を備えた人。それが「まんのうがん」です。上流研で発行してきた地域情報紙『やまだらけ』第50号では、当時、編集に携わっていたメンバーで、早川の暮らしについて語り合っています。『やまだらけ』第50号 https://fm-hayakawa.com/wp-content/uploads/2020/05/yam_050.pdfそこで話題になったことの一つが、「使い込む文化」でした。研いで、研いで、本当に小さくなるまで刃物を使う。ノコギリの柄などに使えそうな木を山で見つけると、「いつか使える」と、とっておく。身近にあるものを再利用し、自分が使いやすいように工夫して作る。その中で出てきた、「買うより作る方が便利」という言葉も印象に残っています。今は、お金を出せば、たいていのものを買うことができます。けれど、山の中では、必要なものがいつでも簡単に手に入るとは限りません。身近にあるものを生かし、自分で作り、直し、最後まで使い切る。冬や災害に備え、必要なものをあらかじめ用意しておく。「まんのうがん」とは、単に手先が器用で、何でも作れる人というだけではありません。自然や身の回りの状況をよく見て、先のことを想像し、自分の暮らしを自分の手で成り立たせていく人なのだと思います。『やまだらけ』第50号の座談会で、私はこんなことを話していました。「自分たちの手の届く範囲、力が及ぶ範囲を取り戻さないといけないと思う」一方で、自分たちでやるということは、結果を誰かのせいにはできないということでもあります。その責任やリスクも自分たちで引き受けなければなりません。だから、まんのうがんに必要なのは、知恵や技術だけではないのでしょう。目の前の状況を受け止め、それでも何とかして暮らしていこうとする覚悟。その精神力まで含めて、「まんのうがん」なのだと思います。当時の私は、その座談会の中で、「こんなキレイな手じゃダメだ。やっぱり、自分たちから『まんのうがん』にならないとね」と話しています。そして最後には、「いずれ自分が『まんのうがん』として特集してもらえるように頑張ります!」とも。あれから15年ほどたちました。狩猟を覚え、山菜やキノコを採り、そば屋や山荘を営み、石を積む。あの頃より、できることは少しずつ増えました。けれど、自分が「まんのうがん」になれたかと問われれば、まだまだ、まだまだ、まだまだ、まだまだというより、全然です。何か一つできるようになると、できないことや知らないことが、また見えてくる。それでも、自分の暮らしを誰かに任せきりにせず、自分の手でできることを少しずつ増やしていく。その姿勢は、これからも大切にしていきたいと思っています。よろず小屋も、山の暮らしに必要な知恵や技術を、実際に手を動かしながら学び、自分の手でできることを少しずつ増やしていける場所にしたいと考えています。一方で、どれほど多くの知恵や技術を身につけても、一人でできることには限りがあります。そこで、もう一つ大切になるのが「ゆうげぇし」です。次回は、早川の暮らしを支えてきたもう一つの力、「ゆうげぇし」について書きたいと思います。ーーーーーー【クラウドファンディングの現在地】9月28日現在、246人の皆さまから7,792,000円のご支援をいただき、ファーストゴール1,000万円の77%まで来ました。本当にありがとうございます。募集終了まで、あと17日。ファーストゴールまで、あと2,208,000円です。このクラウドファンディングはAll-or-Nothing方式のため、目標の1,000万円に届かなければ、支援金を受け取ることができず、よろず小屋の計画はいったん中止となります。一人でも多くの方に、この取り組みを知っていただけたらうれしいです。引き続き、ご支援と情報のシェアをよろしくお願いいたします。
これまでの連載では、なぜ「山の共同よろず小屋」をつくりたいと思ったのか、その背景にある山の暮らしや、人と自然との関わりについて書いてきました。今日は少し現実的なお話です。そもそも、どんな小屋をつくるのか。そして、なぜ1,000万円、さらに1,500万円という金額が必要なのか。今回つくろうとしている「山の共同よろず小屋」は、約17坪の小さな建物です。中心になるのは、みんなで作業のできる大きな土間。その周りに、そば打ちのできるスペース、山の道具や材料を置いておく倉庫、そして、山の暮らしや自然、地域に関する本を集めた大きな本棚をつくります。山に入る前に作戦会議をする。山からとってきたものを広げる。処理し、加工し、保存する。道具を手入れする。調理し食べる。そして、その日に山で見てきたことや、気づいたことを語り合う。そんな場所です。でも、何かのイベントがある時だけ使う施設にはしたくありません。特に何もない日でも、誰かがふらっと立ち寄って、本棚から一冊を手に取り、山の暮らしを学んだり、調べたりする。そして、そこに居合わせた誰かと話をする。そんなふうに、普段から山の暮らしへの入口になっている場所にしたいと思っています。そしてもう一つ。山や自然、地域の暮らしに関わるテーマで、この小屋を使って「こんなことをやってみたい」という人がいれば、その人自身がこの場所を使って活動できるようにしたいと思っています。小さな講座を開く。みんなで何かをつくる。自分が持っている知識や技術を誰かに伝える。仲間を集めて、新しいことを始めてみる。ここに集まった人の「やってみたい」から、新しい活動が生まれていく。参加するだけではなく、自分で何かを始めることもできる場所。そんな「共同」の小屋にしたいと思っています。総事業費は、約2,000万円です。このうち、設計費と既存建物の解体費、合わせて約500万円は、自己資金で負担します。残る1,500万円を、今回のクラウドファンディングでお願いしています。まずは1,000万円。目指すのは1,500万円。最初の目標である1,000万円は、このプロジェクトを成立させるための最低ラインです。今回のクラウドファンディングはAll-or-Nothing方式です。1,000万円に届かなければ、ご支援いただいたお金はすべて支援者の皆さまに返金され、プロジェクトは一旦中断することになります。また、1,000万円を達成すれば、当初の計画どおりに建てられる、というわけでもありません。1,000万円から1,500万円の間で終了した場合、建物の規模や仕様、整備内容を見直すか、あるいは足りない分を借入金で賄うかなどを検討する必要があります。不足分を借入で補う場合には、宿泊などの収益機能も加え、返済できる事業として計画そのものを組み直す必要も出てきます。そして、セカンドゴールの1,500万円まで届けば、自己資金500万円と合わせて総事業費2,000万円。そこで初めて、現在考えている計画どおりの「山の共同よろず小屋」をつくることができます。1,000万円という金額だけでも、大きな挑戦です。1,500万円となれば、なおさらです。それでも、これまでの連載で書いてきたことを、実際にやっていくための場所として「よろず小屋」をつくりたいと思っています。作業する場所。学ぶ場所。語る場所。本を読む場所。そして、自分で何かを始められる場所。山へ行き、見て、体験する。小屋へ戻って、語り、調べる。そこで知ったことを持って、また山へ行く。そんな循環が少しずつ生まれていく場所。それが「山の共同よろず小屋」です。まずは、このプロジェクトを成立させるためのファーストゴール1,000万円へ。そして、当初の計画を実現するためのセカンドゴール1,500万円へ。引き続き、応援していただけたら嬉しいです。
クラウドファンディングの諸々と、このところの長雨で、なかなかキノコを探しに山へ行けず、うずうず、もんもんとする日が続いています。それでも、合間を見てなんとか山へ行く時間を確保しています。山菜採り、キノコ探し、渓流釣り、狩猟。どれもそれぞれに楽しいのですが、「どれが一番楽しい?」と聞かれたら、「キノコ」と答えてしまうかもしれません。キノコ探しが楽しいのは、毎年同じ場所、同じ時期に出てきそうで、実際には出てくれるとは限らないところでしょうか。雨や気温などの条件、また環境の変化によって、たくさん出る年もあれば、ほとんど出会えない年もあります。キノコは周囲の木々や環境と関わって生きています。そこで、「この林なら、この時期に、あのキノコがありそうだ」と予想を立てて山へ入り、その予想が当たったときのうれしさ。自然の様子を読み取り、想像していたキノコに出会えたとき、自然と会話ができたような気分になるのかもしれません。それから、キノコ探しといっても、キノコばかりを見ているわけではありません。キノコを探すことで、山の変化に気づくことも多いです。ナラタケやマスタケなど、枯れた木に出るキノコを見つけたときは、採れたうれしさがある一方で、木が枯れたことへの寂しさも感じます。こうして山を歩いていると、いろいろなことが目に入ってきます。倒木が、また増えたな。 松枯れが、ひどいな。 笹が、枯れているな。 山に、下草がほとんどないな。 ナラ枯れが、始まっているな。キノコが採れた、採れなかったという結果と同じくらい、こうした山の変化を知ることも、大切なのだろうと思っています。キノコを探すことは、山の様子を知り、その変化に気づく機会でもあります。遠くから眺めれば、山はいまも緑に覆われています。けれど、中へ入って歩いてみると、何があるかだけでなく、以前あった何がなくなったのかにも気づきます。キノコを探す楽しみがあるから、山へ入る。 山へ入るから、その変化にも気づく。気づいたことを持ち帰り、誰かと話すことで、山への理解が深まっていく。よろず小屋を、山から採ってきたものだけでなく、山で見たことや感じたことも持ち帰れる場所にしたいと思っています。今日はどこにキノコが出ていたのか。どの木が枯れ、どこで倒木が増えていたのか。どこに動物の食跡があったのか。去年と比べて、山はどう変わっていたのか。その日、それぞれが山で見てきたことを持ち寄って語る。つまり、かのし小屋で学んだ「絵語り」を、よろず小屋でもやりたいのです。キノコを探しに山に入り続けることで、山の変化に気づく。そんなところから、人と自然のこれからの関係づくりも始められるのだと思います。



