コツコツと修復作業を進めています。前回の活動報告では、「ターバンの黄色部分では、表面の色層が部分的に失われているように見える箇所があり、服の黄色とは異なる表情を見せています。」と書きました。今回修復した部分を修復前後で比較すると、その違いが分かりやすい箇所がありましたのでご紹介します。注目していただきたいのは、ターバンの中央付近と下側です。修復前はひび割れや色層の欠損によって分かりにくくなっていましたが、修復後はフェルメールが描いた曲面を表現するための柔らかな陰影が、少し見えやすくなったのではないかと思います。私は修復を進めながら、この部分は上に重ねられた色層が部分的に失われているような印象を受けました。もちろん、400年近い年月の中で起きた変化は、顔料や技法だけで説明できるものではありません。それでも、一つひとつ丁寧に修復していくことで、フェルメールがどのような順序で色を重ね、立体感を生み出したのかが少しずつ見えてくるような気がしています。もし実物をご覧になる機会がありましたら、ぜひターバンのこの部分の陰影にも注目してみてください。修復画像と見比べながら鑑賞すると、フェルメールの描画手順を想像する楽しみが、さらに広がるかもしれません。




