フェルメール『真珠の耳飾りの少女』、失われた美しさへの挑戦

フェルメール『真珠の耳飾りの少女』の400年のひび割れを高解像度データで蘇らせ、デザイナーやクリエイターの手に渡す新たな創作素材へ。

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目標金額は240,000円

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このプロジェクトは、2026/06/17に募集を開始し、 2026/07/19に募集を終了しました

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『真珠の耳飾りの少女』を修復していると、あらためて驚かされるのが無数のひび割れです。これらのひび割れは、専門用語で「クラック」や「クラックル(クラックリュール)」と呼ばれています。では、なぜ古い油彩画にはこれほど多くのひび割れが生まれるのでしょうか。実は、その最大の理由は「キャンバスに油彩」という構造そのものにあります。まず一つ目は、油絵の具の乾燥です。油絵の具は水彩絵の具のように水分が蒸発して乾くのではなく、空気中の酸素と結びつきながらゆっくりと固まっていきます。しかも、その変化は数年では終わりません。何十年、時には何百年という長い時間をかけて少しずつ硬化が進み、その過程で絵の具の層はわずかに収縮します。その小さな収縮が積み重なり、やがて目に見えるひび割れとなって現れるのです。二つ目は、土台であるキャンバスの存在です。キャンバスは麻布でできているため、湿度や温度の変化によって伸びたり縮んだりを繰り返しています。人間の皮膚が呼吸するように、キャンバスもまた環境に合わせて動いているのです。しかし、その上に乗っている油絵の具はすでに硬く固まっています。柔らかく動く土台と、硬い絵の具。このズレが長い年月の中で蓄積し、ひび割れを生み出していきます。さらに『真珠の耳飾りの少女』の場合は、フェルメール独自の技法も関係していると考えられています。フェルメールは、油を多く含んだ薄い絵の具を何層にも重ねることで、あの独特の透明感や柔らかな光を表現しました。しかし、その繊細な描き方は層ごとの乾燥速度に差を生みやすく、後年になってひび割れが発生する原因の一つになったとも言われています。つまり、私たちが今目にしているひび割れは単なる劣化ではありません。フェルメールが選んだ技法、キャンバスという素材、そして400年近い時間。そのすべてが積み重なって生まれた、作品の歴史そのものとも言えるのです。修復作業では、その歴史に敬意を払いながらも、フェルメールが描いた当時の美しさを感じられるよう、一つひとつ丁寧にひび割れと向き合っています。


今回は、少女の耳飾り周辺を修復しました。ところで皆さん。『真珠の耳飾りの少女』と言えば、あの大きく輝く耳飾りですが……実は、「あれ、本当に真珠なの?」という話があるのをご存じでしょうか。近年の研究では、天然真珠にしては大きすぎることや、金具が描かれていないことなどから、「ガラス製では?」「磨かれた金属かもしれない」という説もあるそうです。さらに、2018年にマウリッツハイス美術館が行った調査でも、耳飾りの材質を特定することはできなかったとされています。つまり、『真珠の耳飾りの少女』なのに、真珠じゃないかもしれない。もしそうなら、フェルメール本人も「いや、そんな名前付けた覚えないんだけど……」と困っているかもしれません。もちろん、本当のところは今も分かっていません。でも、材質が何であれ、400年近くもの間、世界中の人がその小さな輝きに心を奪われてきたことは間違いありません。修復作業で拡大して見ていると、「真珠かどうか」よりも、「どうしてこんなに美しく見えるのだろう」ということばかり考えてしまいます。フェルメールの光の魔法は、まだまだ解けそうにありません。


2018年、マウリッツハイス美術館が実施した大規模な科学調査プロジェクト『The Girl in the Spotlight(脚光を浴びる少女)』によって、『真珠の耳飾りの少女』の背景について新たな発見がありました。現在は真っ黒に見える背景ですが、左上部分には、かつて描かれていた緑色のカーテンのドレープ(ひだ)の筆跡が残されていることが判明したのです。この発見は、私たちが長年見慣れてきた少女の姿とは異なる、描かれた当時の姿を想像させるものとして注目を集めました。ただ、残念ながら緑色の顔料は長い年月の中で大きく変質しており、実際にどのような色彩だったのかを正確に再現するまでには至っていないようです。私自身、この研究結果にとても興味を惹かれました。もしフェルメールが背景に緑のカーテンを描いていたとしたら、どんな色だったのだろう。少女の肌や真珠の輝きは、どのように見えていたのだろう。そんな想像を膨らませながら、フェルメールが描きそうな緑のカーテンを背景に加えたイメージを制作してみました。もちろん、これは私なりの想像であり、実際の姿を再現したものではありません。今回の修復では、背景は現在の作品の印象を尊重し、黒のままとしています。ですが、もし400年近く前に描かれた少女の背後に緑のカーテンが揺れていたなら――。そんなもう一つの『真珠の耳飾りの少女』も、楽しんでいただければ嬉しいです。*********************修復作業の様子をご紹介します。古い絵画をデジタル化した画像では、ひび割れが必ずしも同じように見えるわけではありません。撮影時の光の当たり方や絵の色調によって、ひび割れが白く浮かび上がる部分と、逆に黒く沈んで見える部分があります。そのため私は、作品ごとに修復の順番を変えています。全体的に明るい絵であれば、黒く見えるひび割れから。そして今回の『真珠の耳飾りの少女』のように、背景に深い黒が多く使われている作品では、白く浮かび上がったひび割れから修復を進めています。これは、先に白いひび割れを修正して全体の色調を整えた方が、作品全体のバランスを取りやすいからです。特に黒い部分が多い作品では、白いひび割れが目立つため、最初にそこを自然な色合いに戻しておくことで、その後の細かな修正作業も進めやすくなります。白いひび割れは、一見すると小さな傷のように見えますが、拡大すると複雑に入り組んでおり、一つひとつ周囲の色や質感に合わせて丁寧に修正していかなければなりません。地道な作業の積み重ねですが、その積み重ねによって、400年近い時を経た少女の肌やターバンの色彩が少しずつ蘇っていきます。派手な作業ではありませんが、私はこうした細かな工程も含めて、修復の面白さだと感じています。


今回は、ターバンの額の上部分を修復しました。『真珠の耳飾りの少女』は現在の名前で広く知られていますが、かつては「青いターバンの少女」とも呼ばれていました。それほどまでに、この鮮やかな青いターバンは作品を象徴する存在です。少女の柔らかな肌や真珠の輝きに目が行きがちですが、その印象を支えているのは、額の上を包み込む深く美しい青。この青には、ラピスラズリを原料とした高価な顔料「天然ウルトラマリン」が使われているとされています。ラピスラズリは当時、金にも匹敵するほど貴重な素材であり、その鮮やかで透明感のある青は、多くの画家たちの憧れでもありました。フェルメールはその貴重な青を惜しみなく用い、少女の神秘的な魅力を描き出しました。だからこそ、このターバンの青は今なお多くの人を惹きつけ、作品の印象を決定づける存在になっているのだと思います。400年近い時を経て、細かなひび割れや色の乱れが生じていましたが、一つひとつ丁寧に修復していくことで、フェルメールが描いた色彩の美しさが少しずつ蘇ってきました。修復作業をしていると、「この青があったからこそ、少女の肌がこんなにも透明感を持って見えるのか」と、あらためて驚かされます。顔の修復はすでに完了し、今回からはターバンや衣装へ。少女の印象を決定づける青が、これからどのように蘇っていくのか。ぜひ見守っていただけると嬉しいです。スタンプ機能を使っての修正作業動画です。まったく見どころのない退屈な動画になってしまってすみません。


今日は、50,000円のリターンについてご紹介します。こちらのリターンでは、修復した『真珠の耳飾りの少女』のフルサイズデータ(4,095px × 4,794px)をお届けします。さらに、このデータには商用利用可能な権利をお付けしています。Tシャツやマグカップなどのオリジナルグッズはもちろん、ポスターやポストカードなどの印刷物として販売していただくことも可能です。400年近い時を経た名画を、現代の技術で修復し、新しい作品や商品として再び世の中へ送り出していただける。それは修復を行った私にとって、とても嬉しいことです。私自身、このプロジェクトを始めたのは、「修復した名画を、もっと自由に、もっと身近に楽しんでほしい」と思ったからです。デザイナーの方、ショップを運営されている方、ものづくりが好きな方。ぜひ、この少女をあなたのアイデアで新しい形に生まれ変わらせてください。どんな作品が生まれるのか、今からとても楽しみにしています。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――※以下の事は禁止とさせていただきます。■修復データそのものの転売・無償譲渡・配布・第三者への共有■ストックフォトサイト(PIXTA・Adobe Stock等)や素材配布サイトへの登録・販売■商標登録(ロゴマーク等)への使用■公序良俗に反する媒体、または作品イメージを著しく損なう形での使用


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