こんにちは! 山崎です。
こども六法出版プロジェクトはクラウドファンディング開始から一か月が経過しましたが、支援額150万円を超えました。多くのご支援に対する感謝の気持ちは益々深まるばかりです。本当にありがとうございます。
この度イタリアの新聞社「ラ・レプッブリカ」より本プロジェクトについて取材を頂き、イタリアにて紹介していただきました。
Un Codice penale per bambini: ecco il libro che può frenare il bullismo
いじめの問題自体はどの国にもある普遍的な問題であると思いますが、今回の取材・掲載を通じてこども六法出版の取り組みが国を問わず共感を生む試みなのだと実感することになりました。遠く離れた国からもこのように関心を寄せて頂けたことは大変心強く思います。
本日はこちらの記事の日本語訳をご紹介させて頂きたいと思います。尚以下の記事内容は山崎が機械翻訳と電話取材の記憶を元に作成したものであり、元記事との完全な同一性を保証するものではございませんので予めご了承ください(但し以下の訳で全文公開することについては記者の方より許可を頂きました)。
子供のための法律書:いじめを抑制する本として作ります
彼は3人からいじめを受け12歳の頃に手首を骨折した。両親は学校にいじめを報告していたが、「いじめはない」の一点張りで十分な対応を得られなかった。一年後、山崎聡一郎さんは骨折を完治していましたが、精神的な傷は癒えていませんでした。13歳になった彼はささやかな疑問を抱くことになります。「同様のことが大人に起こったらどうなるだろう。それは制度によって権利の救済が行われるのではないだろうか」。図書館で読んだ六法全書で得た一つの答えを活かす方法を、以降彼は常に考えてきました。そもそも彼がいじめられていた原因は加害者に言わせれば「スカしている」というもの。小学校の成績が優秀で読書が趣味だったことが他の児童に対する脅威と映り、「出る杭は打たれる」という日本のことわざ通りだったのです。
現在は24歳になった彼は一橋大学大学院社会学研究科修士課程に在籍し、革新的なアイディアを提示していじめの深刻化、「出る杭」が過剰に打たれることを抑制しようとしています。それは「大人の法律」を扱いながら、シンプルに子供が読める言葉に書き直した本の作成です。
どうして学校でいじめが起きても被害者が救済されずに放置されることがあるのか?
聡一郎さんはこの問題を解決する上で「六法全書」を通じて子供たちが自分自身の権利とそれを守る方法を学ぶことがひとつの方策になり得ると考えました。最初に作成したものは400部が「研究資料」として配布されましたが、その際に好評を博したため、一般書籍として世に出すことを目指すことになったのです。
「私はいじめから逃れるために地域の学校から脱出するべく苦労をしましたが、そもそも私の権利が法的に救済されうることを知っていたならばそのような思いをすることもなかったでしょう。」と聡一郎さんは電話で私に語りました。
日本の学校は興味深いことに社会一般の制度に則って暴力事件の解決を行うことを忌避する傾向があります。そのため暴力事件や金品の強奪といった事例が発生した場合でも警察沙汰にはせず、加害者と被害者を和解させ、元の友人関係を再建させようと努めるのです。
いじめ経験の影響で今も悩んでいることはありますか?
「今でも人を完全に信用することは出来ません。ただ、幸いにして勉強だけは出来たので、死なずに学校に行き続けたら大人になってから彼らを見返せると思って頑張ってきました。」
子供に法律への興味を持たせるためには
12歳の子供たちは学校の教科書で日本の憲法を原文で学びます。それなのに多くの日本人が法律や政治制度に興味を持てないのは、こういったものが日常生活とは関係ないものという意識が強く、むしろ精神的な抵抗さえあるのが一つの原因です。かつての学生運動の記憶が大人の中には残っていることもあり、政治について考えること自体を避ける家庭もあります。
どうして学校は法制度や権利問題を教えられないのですか?
個人的な意見に過ぎませんが、大まかに三つ理由があると考えています。一つはそもそも先生が法律を知らないということ、二つ目は少年院などの法的手続きを通じて更生機関に送られた子供の更生は多くの場合望ましいものになっていないという残念な現実を知っている教師が制度自体を信用できないこと、そして三つ目は教育的手段として体罰等を用いているほんの一部の教師にとって生徒が法知識を習得することはかえって都合が悪いことが挙げられます。
いじめの被害者があなたに助言を求めたら何と答えますか?
私に相談をしてくるような被害者は恐らく既に両親や友人、先生には相談しているか、あるいはそういった相談相手を信用していないかでしょう。でも、世の中にはコンサルタント、弁護士、警察、報道機関など、他にも助けを求めることが出来る大人は沢山いるのだということを教えてあげると思います。
9月3日からクラウドファンディングを実施し、100万円の目標を達成しましたね。
私はこの本がいじめの万能な解決策になるとは考えていません。法律は一部の被害者にとっては助けになるでしょうが、そうでない被害者も必ずいるでしょう。その前提を踏まえながら、この本がいじめの深刻化を防止する上で重要な役割を果たしてくれることを願っています。
(注:日本では1日あたり1人の若者がいじめ等の原因で自殺しています)