2019年、明けましておめでとうございます。小倉ヒラクです。
そして新年そうそうグッドニュース。47都道府県の発酵ツーリズムのクラウドファンディング、
2,000,000円達成しました!
支援してくれた皆さま、本当にありがとうございます。
そして「これから支援するよ!」という皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。ペコリ。
さて。たくさんの人に応援してもらっているこのプロジェクト、改めて経緯をお伝えしたいと思います。
▶発酵食は土地の記憶のアーカイブ
もう10年近く発酵文化のことに関わっているなかで、どうも日本においてこの発酵というものはその土地のシンボルであり、物言わぬ(けど食べられる)風土や歴史のアーカイブなんだということがわかってきました。
例えば東北のある小さな村に伝わるお漬物。それを紐解いてみるとその土地独特の気候風土はもちろん、わざわざ手間のかかる仕込みを通した村人たちのコミュニティ作りの知恵、さらには日本の歴史や経済の遍歴などもわかってしまう。
「えっ、それは大げさじゃない?」
と思うそこのアナタ!いやほんとなんだよ。発酵食品は、制限された環境のなかで生きていくしかなかった昔の日本人たちのサバイバル術が生み出した独自すぎる技術の宝庫。民俗学者が祭りを見てその土地の記憶を引き出していくのと同様に、発酵デザイナーである僕は地域の発酵食品を通してその土地の辿ってきた数百年をまるでドキュメント映画のように見ているんだ。
今回の展示では、僕がずっとやっているこの体験をみんなとシェアできたらいいなと思っています。
「たった一つのお漬物から無限にエピソードが出てきてスゴすぎる…!」
という感動をみんなと分かち合えたらいいなあ…
というのがまず動機の一つ。で、もうひとつ考えていることがあります。
▶発酵から生まれる未来のムーブメント
ここ2〜3年海外での仕事が増えてきました。色んな国を訪ねるなかでやはり日本の郷土食の多様性は素晴らしいなと実感します。政治や経済から大きな価値を置かれてこなかった地域の食文化と農業が、いまだにその伝統と生態系を維持してこれたのは、実は発酵文化の存在が大きい。
発酵食品は原料の農産物以上に付加価値をつくりだし、保存食なので遠い土地にも持っていける。その土地らしさを伝えるメッセンジャーとして大昔から地域ブランドをデザインしてきたわけです。現在でも、僕の友人の酒蔵や味噌蔵の醸造家たちがその土地の農業やコミュニティを応援する大事な存在として機能しています。
日本において発酵文化というのは地域の未来をつくる最重要ファクターであり、
新しいムーブメントをつくるためのハブになりえるのではないか?
ローカルの価値は他の土地のローカルにこそ深く理解してもらうことができる。
今日本で起き始めている発酵を巡る新しい流れは、日本だけでなく世界で起きている流れとつながっている。小さなものは大きなものに回収されて消えてしまうのではなく、小さなままどんどん増えて大きな変化を起こすことができる。まるで微生物のように。
日本をもう一度微生物の視点で見直してみる。そして新しい未来の可能性を発見する。そんな思いを込めてこのプロジェクトを進めていきたいと思っています。
みなさま、ぜひご協力お願いします!