
クラウドファンディングに挑戦する私たち劇団Nに、演出家・劇団キンダースペース主宰 原田一樹氏より、メッセージをいただきました!
長年、私たちの舞台づくりに寄り添い、作品をともにつくってくださっている原田さん。
能登で市民が演劇を続けていくことを、原田さんはどのように感じ、何を願っているのか。
ぜひ、原田さんからのメッセージをお読みください。
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地方劇場としては唯一の演劇専門劇場、能登演劇堂を有する七尾市は「演劇の街」でもあります。この能登演劇堂を常打ち小屋とする唯一の劇団、市民劇団Nは、29年にわたり活動を続けてまいりました。
1998年、平成10年に旗揚げ、以来26本のオリジナル作品を製作、上演。近年では、演目においていくつかのジャンルを設定しております。
〇文学作品 小泉八雲、芥川龍之介、太宰治、山本周五郎ら作品の舞台化
〇古典落語の世界の舞台化 「文七元結」「芝浜」など
〇欧米の名作文学 Оヘンリー、アンデルセン、ヘルマン・ヘッセ他
ジャンルの設定は、評価ある先人たちの芸術創造と、私たちの活動を結びつけようとする意図によるものです。その上で市民劇団独自の表現を追及、オリジナル脚本により「感動」を伝えられる舞台を目指し、稽古を重ね、上演を継続してまいりました。
能登演劇堂はこれまでプロの作る質の高い芸術作品を招聘し上演してまいりました。一方「演劇」の存在価値は「鑑賞」にとどまりません。私たちは、人間とその生活についての様々を「演劇」から教わります。
例えば「役に付く」ということ。
これは単にセリフを覚え、感情を付与し、決められた段取りで喋る、ということではありません。「役を演じる」ということは「他者の人生を想像し、その人生を生きる」ということです。
他人の立場になって、違う眼でものごとを見、心を動かす。「思いやり」や「やさしさ」の根本にあるこういったことを、普段私たちはどれだけ体験出来ているでしょうか?
また「演劇」は「感動」を伝えるものです。
なぜ人には「感動」が必要なのか。もし私たちが「感動」を知らず、ただ金銭や物質の充足、仕事や義務の消化に生きる意味を求めるとしたら、世界はどれほど貧弱なものになるでしょう。
「豊かさ」とは心の余裕であり、大きな視点であり、一つの価値観に囚われないということです。これはもちろん読書や他の芸術鑑賞、旅や趣味、娯楽でも得られるものです。一方で「演劇」は総合的な芸術です。戯曲は文学、舞台装置は美術、照明は映像、音響は別の世界に私たちをいざないます。
「演劇」のこのようなあり方は、一方でそれなりの技術、設備、準備を伴うものでもあります。
「演劇」は、おいそれと作り上げることはできません。まず、時には本番の百倍にも達する、台本と稽古の時間。舞台装置は何もない空間から立ち上げ、音楽、音響も数日でできるものではありません。そして何より、稽古は人物とドラマを深く掘り下げ、積み重ねる必要があります。
七尾市民劇団Nのメンバーは、全員、仕事を抱えながらの参加です。限られた稽古場以外の時間に、常に課題とテーマと向き合うことが求められます。
これまで、劇団Nは劇団キンダースペースのスタッフワークによりその創造を維持してまいりました。今後は劇団として創作意識の向上、舞台設営、スタッフワーク技術のさらなる習得、運営の自立が期待されています。
ここにクラウドファンディングが大きな役割を果たします。公演それ自体と公演に向けた日常活動の充実、心構えや基礎も含めた俳優術、劇作、演出、音響、照明などスタッフワークの習得が、これによって可能となります。
クラウドファンディングはまた、劇団Nの呼びかけにより、地域の人々と劇団員との交流を生み出し、演劇文化を広く展開し、これまで関わりの少なかった方々にも「演劇」をさまざまな形で提供するきっかけにもなるはずです。
この機会を生かし七尾市民劇団の舞台を、また芸術としての「演劇」の豊かさを、多くの方に感じていただけるよう努力していく所存です。
是非、ご協力いただけるよう、お願い申し上げます。



