谷川俊太郎さんの詩と沙羅さんの木版画が出会った本
2022年に初版、2023年に重版した詩画集『目に見えぬ詩集』。谷川俊太郎さんの言葉と、沙羅さんの繊細で美しい木版画が織りなす世界を、英訳付き特装版として生まれ変わらせ、世界に発信したいのです。
詩画集『目に見えぬ詩集』
なぜ英訳付き特装版を作るのか
すべての資材、印刷代、人件費が上がっている今、以前と同じかたちのものを重版するのは難しくなってしまいました。そこで考えたのが特装版です。もともと英訳版をだしたいとも考えていたのですが、資金力がなく、あきらめていました。しかし、和訳に英訳を追記することで、国内外のより多くの方に谷川さんと沙羅さんの世界観を届けられるのでは!という思いに至り、この企画が動きだしました。そして製本を私達に担わせていただきたいのです。
詩画集『目に見えぬ詩集』手製本で作ったので、開きがよいです
手製本だからこそできる美しさ
美篶堂は、手製本の工房です。この詩と木版画の作品には、本当に美しい本の姿があると信じています。ページをめくる喜び、紙の手触り、装丁のぬくもり。そのすべてが、作家の想いを伝える大切な表現です。手製本だからこそ、本を大きく開いてもノドに継ぎ目が現れず、見開きいっぱいに広がる木版画を、美しく味わうことができます。製本職人が一冊ずつ丁寧に仕立てることで、本は作品の魅力をより豊かに伝える存在になります。
製本作業風景
美篶堂は1983年に創業し、40年以上にわたって手製本の技術を守り続けてきました。創業者である私の父、上島松男が培った技術を受け継ぎ、書籍装丁や特装本、和装本まで幅広い製本を手掛けています。谷川俊太郎さんなど著名な作家の作品も手掛けさせていただき、全国からご注文をいただいております。現在は長野県伊那市美篶の製本所と東京の営業所の二拠点で事業を展開しています。
製本所内。ここから本が生まれます!
このプロジェクトの登場人物
谷川俊太郎さん
いつか、俊太郎さんの詩で、沙羅さんの木版画で詩画集を作りたいと相談しましたのは15年前でした。夢がかないましたのは2022年。コロナ禍の最中に、この時こそ、この本を作らなければ、と勇気をだして制作にあたりました。出来上がったときはお電話を下さり、「とても気に入っている。自分の詩集のなかでもとても面白いものができた。」と喜んでくださいました。この頃に、いつか英訳本を作りたいこともお伝えすると、なるべくはやくエリオットさんや西原さんと連絡を取ってともお話くださいましたが、予算の関係で実現できずにおりました。その後、2024年11月に谷川俊太郎さんが宇宙に旅立たれました。
■谷川俊太郎さんのウイキペディア
沙羅さん
「目に見えぬ詩集」の共著者 木版画で詩の世界を描いてくださいました。俊太郎さんは「詩は遠近法の消失点みたいなものだから、沙羅さんの木版画が詩の世界を開いて見せてくれたんだよ。」とお話くださいました。今回のクラウドファンディングのためにもお力をおかりします。長野県安曇野市在住。木版画家。愛知県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。著書に、『木版画でかわいい雑貨』(美術出版社)。挿画を手がけた書籍に、『うさぎがきいたおと』(Book & Design)、『青い鳥の本』シリーズ4作(石井ゆかり著、パイ インターナショナル)
■アトリエ灯
ウイリアム・I・エリオットさん、西原克政さん、故・川村和夫さん
谷川さんがお亡くなりになり、しばらくすると、ウイリアム・I・エリオットさん、西原克政さんがお二方の書著「谷川俊太郎を私的に語る TANIKAWA, PERSINALLY, SPEAKING」(港の人刊行)を献本くださりました。そこで、ご本のお礼とともに、「目に見えぬ詩集」の英訳のお話を俊太郎さんとしていたことをお伝えしたのでした。するとあっという間に英訳されていなかった詩とこれまでの訳を送ってくださいました。まだ英訳本をすぐには出せないことも、お伝えしたのですが、「準備だけは今のうちにしておきましょう。実現しますように」と応援いただいていたのでした。
■ウイリアム・I・エリオット
1931年アメリカ、カンザス州生まれ。詩人、批評家、翻訳家。関東学院大学名誉教授。1968年より50年以上にわたって川村和夫とともに谷川俊太郎の詩を英訳してきた。関東ポエトリー・センターを創設、海外の詩人と日本の詩人の交流につとめる。
■西原克政
1954年、岡山県に生まれる。翻訳家。訳書にThe Singing Heart(山本健吉編『こころのうた』の英訳、Katydid Books)、『定本 岩魚』(童話屋)、『えいご・のはらうた』(童話屋)、『谷川俊太郎の詩を味わう』(ナナロク社)、『自選 谷川俊太郎詩集』(電子書籍、岩波書店)。これまで谷川俊太郎の8冊の詩集の英訳を共訳者のウィリアム・I・エリオットと電子書籍で刊行している。近刊に『対訳 厄除け詩集』(田畑書店)。
世界発信に向けて、活版印刷家、欧文書体デザイナー、カリグラファーの応援
活版印刷の嘉瑞工房の高岡昌生さんとたくさんの本づくりをする機会をいただきました。そこで、世界で活躍する皆様、本づくりに情熱を注ぐ方々と出会うことができ、今回たくさんの方々が応援してくださることとなりました。
嘉瑞工房 髙岡昌生さん
日本でおそらく一番欧文活字をお持ちの活版印刷会社,嘉瑞工房です。今回のご本では欧文組版の監修をしていただけることとなりました。本づくり協会立上げ当初から理事を引き受けてくださっています。
Royal Society for the encouragement of Arts, Manufactures and Commerce
( RSA 英国王立芸術協会終身フェロー)
■嘉瑞工房
■『欧文組版 タイポグラフィの基礎とマナー』
[2月に本づくりハウスで開催されたイベント]
■活版印刷と装飾文字の世界 AK Renaissance Pbを彩る文字アーティストたち
小林章さん
世界を駆け巡る、ドイツ在住のタイプディレクターの小林章さんが書体選定のご提案をしてくださいました!なんという贅沢なことでしょう。オリジナル書体の最新作は、金属活字のために設計された欧文活字 AK Renaissance Pbです。
日本タイポグラフィ協会顕彰・第17回佐藤敬之輔賞(2017)
Type Directors ClubのTDCメダル受賞。(2022)
■『欧文書体 基礎知識と使い方』
■小林章「タイプディレクターの眼」
小林さんのアイディアで本文をイタリック体で組むことになりました!
Evergreen press 立野竜一さん
カリグラファー、タイプデザイナー。欧文ロゴや書体デザインを専門とし、手書きによる文字制作を基盤に活動されています。書体「Pirouette」で国際書体デザインコンテスト(International Type Design Contest)ディスプレイ部門第1位など、海外でも高い評価を受けています。今回のプロジェクトで、もう一つ夢であった、立野さんに、欧文のタイトルを手書きしていただいたものを表紙に印字したいと考えております。ご支援のリターンに立野さんの作品を使ったノートなども用意しています。
■Evergreen press
書体・デザイン・編集・出版・印刷・一社の応援
鳥海 修さん
書体設計士、ヒラギノシリーズや游明朝・游ゴシックなど数多くの書体を手がけるレジェンドです。共著『本をつくる』では、谷川俊太郎の詩集『私たちの文字』の制作過程を紹介し、そのために新しい仮名書体「朝靄(あさもや)」を設計。『詩画集 目に見えぬ詩集』でも朝靄を使用しています。
■本をつくる 書体設計、活版印刷、手製本――職人が手でつくる谷川俊太郎詩集
■『明朝体の教室 日本で150年の歴史を持つ明朝体はどのようにデザインされているのか』
ea 守屋史世さん
詩画集「目に見えぬ詩集」の装丁を担当してくださいました。今回の和英併記新装版を最終的におまとめくださいます。東京藝術大学美術学部デザイン学科在学中からea所属。本づくり学校「編集とデザイン」授業講師。第62回全国カタログ展 国立印刷局理事長賞(2021年)、第56回造本装幀コンクール 出版文化産業振興財団賞(2023)
■ea
烏有書林 上田 宙さん
武蔵野大学非常勤講師・烏有書林代表
烏有書林(うゆうしょりん)は、文芸・人文書系の出版社です。
嘉瑞工房の活版印刷関連の書籍多数。今回は組版や校正のアドバイスいただきたく、このプロジェクトにご参加くださり。大変心強い存在です。
■烏有書林
山田写真製版所
初版の『詩画集 目に見えぬ詩集』からお世話になっており、沙羅さんの木版画の繊細な色使いを再現してくださっています。今回も印刷をお願いしております。この他、一般社団法人本づくり協会の会報誌『BOOK ARTS AND CRAFTS』 1~10号まで印刷を担って下さり、3号と7号ではプリンティングディレクターの故・熊倉桂三さんを取材させていただきました。
■山田写真製版所
Book & Design 宮後優子さん
今回の版元である宮後優子さんは「美しい本を作る」という1点に置いて、全面的に支援くださっています。営利ではなく「運動」として作るともお話くださいました。
しかし、出版社がサスティナブルに循環しなければ、重版もできなくなってしまいます。今回の本もあまり高い本にならないよう、Book&Designで書店で販売するものと、美篶堂で販売するもの、それぞれ手分けして資金を集めようということとなりました。
『詩画集 目に見えぬ詩集』第56回造本装幀コンクール 出版文化産業振興財団賞(2023)
第39回梓会出版文化賞 特別賞(2023)
■Book & Design
一般社団法人 本づくり協会
東京都新宿区の飯田橋から徒歩15分の本づくりハウスに、一般社団法人本づくり協会があります。本づくりの技術と文化の継承と記録をミッションに活動しています。会報誌『BOOK ARTS AND CRAFTS』 では谷川俊太郎さん、『目に見えぬ詩集』和語書体「朝靄」を設計された鳥海修さんを取材。10号では小林章さんの「活字づくりへの挑戦」を取材しました。(編集:永岡綾)
■本づくり協会
ただいまデザイン検討中です。束見本をつくってみました。
二人の表現が生きるかたちを世界にも発信します。
谷川俊太郎さんの詩の優しさと強さ、沙羅さんの木版画の繊細な美しさ。その両者が本当に輝く特装版を和英表記で作ること。それが私たちの目指す形です。欧文についてのプロのみなさまのお力を借りて、手製本の技術と愛情をかけて、この作品を次の世代へ、そして世界へ届けたいと考えています。
沙羅さんの木版画
このプロジェクトへの想い
本を作ることは、単なる生産ではなく、作家と読者を繋ぐ大切な営みです。『目に見えぬ詩集』は、その名の通り、言葉では見えないけれど、詩と絵が生み出す何かを感じてもらう作品。その世界観を最高の形で表現したいというのが、私たちの願いです。
皆さんとともに
この新装版の制作には、資材の確保から丁寧な製本作業まで、多くの手と心が必要です。谷川俊太郎さんと沙羅さんの創造の世界を、皆さんと一緒に形にしたい。皆さんのご支援が、この美しい本の誕生を実現します。
美篶堂の制作チーム
美篶堂 スタッフ
長野県伊那市美篶にある製本所で手製本を担当します。手製本で実際に手を動かして作ります。また、東京都新宿区の飯田橋から徒歩15分の東京営業所チームはクラウドファンディング構築や活動報告を担います。
日本タイポグラフィ協会顕彰・第16回佐藤敬之輔賞(2017)
BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLD『世界で最も美しい本コンクール』銀賞(2018)
第56回造本装幀コンクール 出版文化産業振興財団賞(2023)
■美篶堂
スケジュール
今回のクラウドファンディングのプロジェクトは2026年7月から9月末までの実施します。その間にデザイン、印刷、製本する様子を活動報告に記載します。本が出来上がるのは10月~11月をめざし、リターンの発送は12月頭頃順次行わせていただきます。
最後に
『目に見えぬ詩集』を手にした時、読者の心にどんな風景が映るか。その瞬間のために、私たちは最高の本作りを目指します。皆さんのご支援とお力添えをお待ちしています。
最新の活動報告
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クラウドファンディング立ち上がりました!
2026/07/16 21:40ようやくこのページが立ち上がりました。『谷川俊太郎さんの詩画集に英訳をつけ、手製本の特装版として世界に発信』活動報告では現在進行形で、プロジェクトの様子をお伝えします。谷川俊太郎さん、沙羅さんの詩画集に英訳を付けて特装版に仕立てたいと思ったのは大分前なのですが、版元のBook&Design 宮後優子さんとお話しができたのは2025年12月30日でした。当初はこれまで通りのものを重版でお考えでしたが、英訳付きのものにも賛同してくださり、書店に並べるものはBook&Designで作り、美篶堂が販売する分をクラウドファンディングするということに決まりました。より多くの方に応援してもらいましょうと、宮後さんから小林章さんに書体選定のアドバイスもらうのはどうか、との案をいただきました。小林章さんはドイツ在住の世界でご活躍のタイプ・ディレクターです。そこで、懸命にメールでお便りしますと、ドイツからすぐにOKのお返事をいただきました。ほどなく2つのデータが届いたのでした。**********2種類のサンプルを添付します。英文テキストを拝見して、一部の詩でローマン体とイタリック体の両方を使うことがわかったので、サンプルの左側はローマン体とイタリック体を使う文章、右側は組幅の広くなる文章で試してみました。組幅が広い文章があっても文字が小さくなりすぎないように、詩の全体をイタリック体にしてはどうかと考えました。その場合、元の文章でイタリック体になっている部分はローマン体になります。書体によっては、それで強調の度合いがより強くなります。まず Diotima Classic で組んでみました。xハイトが高いので、文字が大きく見えます。ff合字もいい味出してます。次に詩の雰囲気から考えて Fournier で組んでみました。xハイトが低く傾斜の強いイタリック体です。沙羅さんの版画とも合うような気がします。**********何と贅沢な事でしょう。そして、本文をイタリック体で組むというアイディアにびっくりしました!そこでまずは、谷川俊太郎さんが詩の世界のbrotherと呼んだウイリアム・I・エリオットさん、翻訳家の西原克政さんにメールでみてもらうことにしました。つづく。 もっと見る





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