
南米ベネズエラを連続して襲った6月24日の大規模地震から、1週間あまり。被災地での大きな被害が徐々に明らかになっています。国連の29日付の報告によると、それまでに1,719人が亡くなり、1万2,000人が避難を余儀なくされました。当局は正確な行方不明者数をいまだ把握できていないといい、犠牲者はさらに大きく増える可能性があります。
ピースウィンズおよび空飛ぶ搜索医療団“ARROWS”は、看護師や調整員からなる先遣隊をいち早く派遣し、28日から現地での調査を開始しました。先行チームの現地報告をもとに、稲葉医師らを含む医療支援チームが編成され、今まさに現地に向かっています。医療チームの到着を前に、先遣隊が目撃した被災地の風景、活動内容をまとめて報告します。
「最大被災地」ラグアイラでみた光景
被災状況を調査する先遣隊(撮影:Miguel Angel Roses)
首都カラカスの北側に位置し、最も被害が深刻だと伝わっていたラグアイラ州。ピースウィンズの先遣隊も30日、初めて現地を訪れました。
すでに訪れたカラカスの被災地でも、地震で倒壊した建物など、衝撃的な光景にたくさん出会ってきました。しかし、ラグアイラ州ではほとんどの地域で同じような被害が確認され、より壊滅的な状況にありました。
倒壊した建物の跡地(撮影:Miguel Angel Roses)
自宅から避難した人が身を寄せるテントもあちこちに見られました。カラカスでみた避難所と同様、今のところ行政などによる介入はなく、住民やボランティアたちが助け合って避難生活を送っています。避難所のトイレもないため、倒壊していない家のトイレを共同で使ったりと、あるものを使って生活しようと工夫する姿が見られました。
テントでの避難生活(撮影:Miguel Angel Roses)
このような深刻な状況の中でも、多くの住民の方が私たちを笑顔で迎えてくれました。元気に遊ぶ子どもたちの姿も目立ちます。調整員として現地入りした夫津木は、「大変な状況下で主体的に動いているベネズエラの人々の熱意に、何よりも心を動かされています」と話します。
しかし、今はまだ避難から数日。目の前にやるべきことが山積しているからといって、いつまでも全力で走り続けられるわけではありません。長期化が見込まれる避難生活、時間が経つほど疲労もたまり、将来への不安も膨らんできます。
避難所に水やジュースを届けました(撮影:Miguel Angel Roses)
現状、十分な支援が各地に行き届いているとは言い難い状況です。被災者たちが自ら踏ん張っている今のうちに、国際援助を含む支援の体制を整えていくことが求められています。私たち民間NPOも、柔軟な支援活動が可能な強みを今こそ最大限に生かし、出来る限りのサポートに取り組んでいきます。
医療の最前線で向き合った「ありがとう」の言葉
前回のレポートでご紹介した、カラカスにある避難所内の学校に開設された臨時の診療所。前の訪問でのヒアリングをもとに、不足している薬や物資などを調達し、再訪して支援を届けました。
この診療所を支えているのは、ボランティアながら寝る間を惜しんで診療を続けている現地の医師や看護師たち。献身的に働く彼らからもらった温かい感謝の言葉に、私たちも心を打たれました。看護師としてニーズ調査に当たった大仲は、「皆さんが『ありがとう』と言って、順番にハグをしてくれたことは一生忘れないと思います」と振り返ります。
稲葉医師を含む医療支援チームは、現地時間の7月1日にベネズエラに到着予定です。日本を出国する直前、稲葉医師は報道陣の取材に対して「今回のように国際情勢が複雑で、アクセスが極めて厳しい場所にこそ、私たちのような機動力と柔軟性を持った民間NGOが動く意義があると考えています。困難な状況であることは間違いありませんが、だからこそ、今まさに苦しんでいる人たちに手を差し伸べるために、全力を尽くします」と意気込みを語りました。
出国直前、インタビューに応える稲葉医師
先遣隊メンバーも含め、チーム一丸となって医療支援、物資支援の両面を視野に現地での活動に取り組んでいきます。引き続き、皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。



