
10月11日、富山県から、アンティークピアノを得意とする技師の竹田さんに来ていただき、「奇跡のグランドピアノ」を診てもらいました。
竹田さんは、年季の入った革の鞄ひとつで登場。鍵盤の前の板を外すと、鍵盤とハンマーがずらりと並んだ部分を、まるごと手前に引き出してしまいました。

グランドピアノって、中身が引き出しみたいに出てくるんですね。40年ほど前までピアノを弾いていたはずの私ですが、初めて知りました。
鍵盤のひとつひとつに、木とフェルトでできた小さな部品がつながっています。竹田さんはそれを一本ずつドライバーで調整し、ときには取り外して、隣の部品と見比べていきます。眼鏡を外してピアノの上に置き、鍵盤に顔を近づけて覗きこむ姿は、まさにお医者さんの診察でした。
金色のフレームには「NIPPON GAKKI」の文字。ヤマハがまだ「日本楽器」だった頃の刻印です。その横に「48178」という製造番号が打ってあります。
竹田さんによると、このピアノは「戦後8178番目に作られた楽器」なのだそうです。

戦前に日本楽器が作ったピアノは、3万8000台ほど。その後、工場は軍需工場に変わりました。戦争が終わり、平和な時代になって、40001番から再びピアノを作り始めた。だから48178番は、戦後8178台目になる、というわけです。
番号ひとつに、そんな歴史が詰まっているとは思いませんでした。平和になったから作ることができた一台が、70年以上たって、さいはての珠洲にあります。
そして、気になる診断結果です。
「いまの状況では、とてもコンサートに使うことはできません。でも、手を入れれば必ず復活するでしょう」
湿気でだめになっている部品を、他の中古ピアノから外したものに交換するなど、方法は色々とあるそうです。

「必ず復活する」。この一言が聞けて、ホッとしました。
11月29日の「風の音楽祭」では、修復前の「今の音」をお聴きいただく予定です。それまでに、どうにか音を聴いていただける状態まで調整できないか、現在検討しています。決まり次第、またこちらでご報告します。
クラウドファンディング終了まであと13日。現在41名の方からご支援をいただいています。本当にありがとうございます。引き続き、シェアで応援して下さいー。




