
人間には、想像する力があるはずなのに。
人間という生き物は、不思議なものです。
地球が誕生してから約46億年。
その長い歴史から見れば、私たち人間が生きている時間など、ほんの一瞬にすぎません。
それなのに、人間は争い、奪い合い、地球の資源を使い続け、自分たちが暮らす環境さえ壊そうとしています。
人間は知恵を持っています。
言葉を使い、話し合い、情報を集め、未来を予測することもできます。
しかし、これほど科学技術が進歩しても、戦争はなくなりません。核兵器も地雷もなくなりません。
話し合うことができるのに、なぜ争い続けるのでしょうか。
私は、人間が必ずしも互いを理解し合えるとは思っていません。
価値観も、生まれ育った環境も、経験してきたことも違うのですから、すべてを理解することなど不可能でしょう。
けれど、理解できないことと、尊重できないことは別だと思うのです。
例えば、明日から車椅子で生活することになったら。
自宅の玄関から外へ出られるでしょうか。
近所のスーパーで買い物ができるでしょうか。
外出先で安心してトイレを使えるでしょうか。
これまでと同じように働けるでしょうか。
実際に経験しなければ分からないことは、たくさんあります。
しかし、経験していなくても、想像することはできます。
調べることもできます。
当事者の声に耳を傾けることもできます。
そして、何が不便なのか、何が必要なのかを知ることができます。
それなのに、なぜ私たちは、自分に関係のないことには無関心になってしまうのでしょうか。
病気や障害のある人の暮らしも、家族が抱える困難も、医療現場で起きていることも、誰か一部の人だけの問題なのでしょうか。
私はそうは思いません。
そして、こうした無関心は、決して他人だけの問題ではありません。
私自身も、知らないことが山ほどあります。
気づかないうちに、誰かの困難を見過ごしているかもしれません。
だからこそ、自分自身にも問い続けたいのです。
知らないことを、知らないままで済ませていないだろうか。
自分とは違う誰かの人生を、想像しようとしているだろうか。
私が『この一瞬に生きて』を書いたのは、誰かを感動させたいからではありません。
私たちが当たり前だと思っている社会や、生き方について、もう一度考えてほしいからです。
この本は、私自身を含めた、すべての人間への問いかけでもあります。
人間には、想像する力があります。
その力を使うかどうかは、私たち一人ひとりに委ねられています。
あなたは今日、自分とは違う誰かの人生を、想像したでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
『この一瞬に生きて』の出版を目指すクラウドファンディングは、11月28日まで続きます。
この本を世に送り出すために、引き続きお力添えをいただけましたら幸いです。



