
いつも
あたたかいお言葉やご支援
ありがとうございます
また
今公演にご協力下さってるすべての皆さまに
感謝申し上げます
前回の記事で、
「いい舞台をつくりたい。
でも、いい舞台をつくろうとすると、お金が
かかる。」
という話を書きました。
では、実際に舞台を一本つくるのに、どのく
らいのお金がかかるのでしょうか。
今回の「あふひ」の制作費を改めて計算する
と、現時点での予算は約247万円です。
会場・舞台、照明・音響、出演者・演奏家、リハーサル会場、衣装、撮影・編集、デザイン、著作権、制作スタッフ……。
舞台に必要なものを積み重ねていくと、この
金額になります。
これは、決して贅沢に予算をかけた結果では
ありません。
豊島区の劇場を区民割引にて利用させていた
だき、出演者やスタッフの皆さまにも、
さまざまな形で協力していただいて
制作スタッフに至っては、ボランティアに近
い形で関わってくださっている方もいます。
それでも、約247万円です。
【今回は、前日から劇場に入ります】

「ダンサーが自分の演目を披露するだけでは
なく、公演全体でひとつの作品をつくりたい」
そう思っていましたが
今回つくりたいのは、
日本神話の「天の岩戸」を軸に、
能とオリエンタルダンスが出会い、
音楽、光、身体が重なりながら、ひとつの世
界を立ち上げていく。
最初から最後までを、
ひとつの作品として体験する舞台です。
舞台の上で実際に光や音と合わせる時間が必
要となるため、作品をつくるために必要な時
間をできる限り削らない。
そう決めました。
今回の「あふひ」では、
本番当日だけではなく、前日から劇場に入り
舞台を仕込み、照明をつくり、音を確認し、
その空間の中で出演者が実際に動く。
そして翌日、本番を迎えます。
【舞台にかかるお金の多くは、「人と時間」の
ためのお金です】


舞台にかかる費用というと、
劇場代や機材代のようなものを想像するかも
しれませんが
その数字の向こう側には、
必ず「人」がいます。
舞台をつくる人。
光をつくる人。
音をつくる人。
演奏する人。
踊る人。
衣装をつくる人。
写真や映像を残す人。
デザインする人。
全体を進行する人。
本番まで何度も集まり、作品をつくっていく
ための時間と場所。
私たちが払っているのは、単なる「物」の値
段ではありません。
それぞれの人が長い時間をかけて身につけて
きた技術と、この作品のために使ってくれる
時間への対価です。
【そして、247万円の外側にも、お金は動いて
います】
主催側の予算として計上している約247万円だ
けが、この舞台のために使われているお金の
すべてではありません。
出演するダンサーたちは、それぞれが自分で
スタジオを借りて、個人練習を重ねていま
す。今回の作品のために、新たに衣装を用意
したり、制作したりする人もいます。
そうした費用は、この247万円には含まれて
いません。
実際には、ほとんどのダンサーが、出演料と
して受け取る金額以上の費用を、
自分自身の準備のために使っています。
つまり、一人ひとりの負担まで含めれば、
「あふひ」という舞台をつくるために実際に
動いているお金は、
約247万円よりさらに大きいということです。
【客席数250+オンライン配信数60 それで
も、主催者の利益はほとんどありません】
今回の公演は、
会場に約250名。さらに配信で約60名。
そこまで届けることができて、ようやく制作
費を賄えることができるのですが
制作に関わるすべての人に十分な報酬を支払
った上での数字ではないのです。
250名+配信60名まで届けることができて
も、主催者にほとんど利益は残りません。
ここに、長く舞台をつくる中で感じてきた難
しさがあります。
良い作品をつくろうとすれば、人と時間が必
要になる。
人と時間をかければ、制作費が増える。
けれど、チケット価格を際限なく上げること
はできません。
その間を埋めてきたのが、
つくる人たち自身の持ち出しや、
「この作品をつくりたい」という思いだった
のだと思います。
【情熱だけに頼っていたら、文化は続いてい
かない】
舞台に立つ人が、自分のお金を使って練習す
る。スタッフが、本来の仕事量に見合わない
金額でも力を貸してくれる。
主催者も利益を取らず、次の作品をつくるた
めに動き続ける。そこにはもちろん、
「この舞台をつくりたい」という強い思いが
あります。
だからこそ、これまでもたくさんの舞台が生
まれてきたのだと思いますが、それだけに頼
る形では、文化を続けていくことは難しいと
も感じています。
今回のクラウドファンディングや企業協賛
を、単に今回の公演の「赤字を補填するため
のもの」にはしたくありません。
私たちが探しているのは、
誰かの情熱や持ち出しだけに頼らなくても、
良い作品をつくり続けられる循環です。
それぞれの仕事や技術に対して、
きちんと対価を返せる作品に育て
無理なく渡っていけるような形をつくるこ
と。それもまた、今回の「あふひ」で挑戦し
たいことのひとつです。



