ご挨拶と自己紹介
初めまして。劇団アンゲルスと申します。1996年に創立し、石川県金沢市を拠点に、地域に在住しながら世界レベルの舞台を目指して活動しています。これまで韓国をはじめ、ウクライナ、ルーマニア、モルドバ、ロシア、フィリピンなど、海外でも作品を上演してきました。
▲これまでの海外公演の様子。金沢で生まれた作品を、さまざまな国で上演してきました。
そして今回、私たちは13人で韓国へ行きます。
私たちが今回上演する『Not a Number』について
『Not a Number』は、「数字ではない、人間の物語」を描く舞台です。
2023年10月7日以降、ガザ地区では多くの命が失われてきました。報道で伝えられるのは「死者○万人」という大きな数字。その一人ひとりに、人生があり、家族があり、物語があるはずなのに。
私たちは、ガザ出身の作家アーティフ・アブー・サイフさんが空爆下の85日間を記録した『ガザ日記 ジェノサイドの記録』(地平社)を原作に、演劇『Not a Number』をつくっています。
2025年、2026年の金沢公演を経て、今度は韓国・春川へ。韓国の俳優たちとともに、この作品をもう一度つくります。
『Not a Number』ができるまで
①「数字」ではなく、一人の人間として
2023年10月9日、当時のイスラエル国防相ヨアヴ・ガラントは、ガザ地区の「完全封鎖」を表明する中で「我々は人間動物と戦っている」と発言しました。
その言葉が、演出・木林の中に強く残りました。
ニュースを通して見るパレスチナの人々は、「人道支援を必要としている、困窮した人々」として映ることが多く、遠く離れた日本からは、一人ひとりがどんな人なのかなかなか見えてきません。
「Not a Number]の原作 ガザ日記
アーティフ・アブー・サイフ著
そんな中、2024年に木林が出会ったのが『ガザ日記』でした。
本の中には、家族を心配し、友人と言葉を交わし、ときには冗談を言い、食べ物や眠る場所を探しながら、絶望的な状況でも今日を生きようとする人々の姿がありました。
2025年の初演時、木林は当日リーフレットにこう書いています。
「彼らの苦しみやその日々は理解できない。でも、だからこそ理解しようとしてみたい。」
私たちは、ガザで暮らす人々の苦しみを「分かる」とは言えません。それでも、想像することはできるのではないか。
報道される死者数の「一人」の向こう側には、その人にしかない人生がある。
統計の数字ではない。「人間動物」でもない。私たちと同じ、一人の人間である。
『Not a Number』――「私は、数字ではない」。
この作品は、そこから始まりました。
ここはわかりにくい!ここは意味がわからない!など、遠慮のない意見が飛び交う稽古場。
②「私たちがパレスチナ人を演じる」とは
2024年、『ガザ日記』との出会いと同じ頃、出演者の一人がSNSで日記の読み上げを投稿していました。それを見た木林も読み上げを始め、「この声を芝居として届けることはできないだろうか」と考えるようになります。
翌2025年、仲間が一人、また一人と集まりました。パレスチナ問題への関心や知識はメンバーによってさまざまでした。
そして、一つの大きな問題にぶつかります。
「日本に暮らす私たちが、パレスチナ人になりきって演じることが、本当にできるのだろうか?」
私たちはガザで空爆を経験していません。「彼らの苦しみが分かる」という顔をして演じれば、どうしても嘘っぽいものになってしまう。
そこでたどり着いたのが「リーディング演劇」という形でした。
一人の俳優が舞台の片隅で『ガザ日記』を読み、その言葉を受け取りながら、ほかの俳優たちが出来事を舞台上に立ち上げる。「パレスチナ人になりきる」のではなく、残された言葉を借りながら、私たちの身体で想像してみる。
そして2025年9月、『Not a Number』は初演を迎えました。
自分の出番ではないシーンでは、役者は座って主人公の行く末を見守っている。右が「ガザ日記」を読む語り手。
その後、約10年前から交流を続けている韓国・春川の劇団DOMOから「また韓国に芝居をしに来ないか」と声をかけてもらいました。
どの作品を持っていくか話し合ったとき、名前が挙がったのが『Not a Number』でした。
この作品には、まだ広がっていく余地があるのではないか。違う文化や歴史を持つ人たちと出会えば、まだ見えていない作品の姿に出会えるのではないか。
そして2026年の韓国公演が決まりました。
次は踊るシーンを入れよう!
③「伝える」作品から、「人間」を描く作品へ
韓国公演を前に、私たちは作品を大きく作り直しました。
2025年版で何より大切にしたのは、ガザで何が起きているのかを「伝える」ことでした。
2026年版では、出来事だけでなく、そこにいる「人間」をもっと描きたい。空爆の被害者としてだけでなく、家族を愛し、腹を立て、ご飯を食べ、冗談を言い、希望を持つ一人の人間として舞台に浮かび上がらせたい。
そして8月、まずは金沢で新しい『Not a Number』を上演しました。
パン生地をこねるシーン
ポップコーンで誕生日を祝うシーン。生きることは、食べること。
そして、次はいよいよ韓国です。
なぜ韓国なのか――「他者」の目にさらされること
劇団アンゲルスが昔から大切にしてきたことの一つに、作品を、自分たちとは違う場所にいる人たちの目にさらすことがあります。
生活習慣も歴史も文化も違う土地では、自分たちの「当たり前」が当たり前ではなくなる。作品だけでなく、それをつくる私たち自身も問い直されます。
そして、日本と韓国の間には、植民地支配によって生まれた傷をはじめ、今も向き合い続けるべき歴史があります。
そんな歴史を持つ日本から来た私たちが、パレスチナで起きていることを題材にした作品を韓国で上演する。
私たちは「遠い国で起きている悲劇を語る日本人」という安全な場所には立てないと思っています。
正しい答えを持って韓国へ行くのではありません。作品を差し出し、韓国の俳優や観客から返ってくるものを受け取る。その中で、作品も私たち自身も変わっていく。
国を、文化を、世代を超えて共同で創り出す舞台。そこには「変化に期待する」者たちが集まるはずです。
そのような場に生まれるクリエイティブを共有することが、より良い次の時代への足がかりになる。私たちはそう信じています。
2019年12月にスタジオ犀で行われた第二回Glocal theater Festivalの集合写真。
参加劇団は劇団アンゲルスと劇団DOMO、韓国の劇団文化創作集団Gongter-DA。
韓国での『Not a Number』
韓国公演の宣伝ビジュアル
韓国公演では、劇団DOMOの俳優2人が加わり、日本語と韓国語が交わる舞台になります。
全員が揃って初めて稽古することで、新しく生まれるやりとりもきっとあるでしょう。
限られた日数を集中して一緒に過ごし、作品を通してコミュニケーションをとる。そこに生まれるのは、単なる異文化交流ではないはずです。
金沢で稽古を重ねてきた俳優たちが、言葉も文化も違う韓国の舞台で、どう足を踏ん張り、どう立つのか。
私たちはまだ、この作品をつくっている途中です。
実は、簡単な海外公演ではありません
小道具や衣装をできるだけ自分たちで持ち寄り、金沢公演の収益も充てながら準備を進めています。メンバーそれぞれの自己負担もありますが、それでも13人で海を渡るには、私たちだけでは賄いきれない費用があります。
そこで、クラウドファンディングへの挑戦を決めました。
皆さまからいただいた50万円は、13人が韓国の舞台に立つために大切に使わせていただきます。
・10万円 韓国現地交通費
・14万円 滞在費
・26万円 渡航費補助
リターンについて
3,000円の「韓国公演オンライン視聴チケット」から、金額が上がるごとにリターンがひとつずつ増えていきます。
イチオシは、10,000円コースの「キャスト&スタッフの韓国奮闘記Vlog」
撮影担当の映像だけでなく、メンバーそれぞれにもカメラを回してもらいます。韓国への道中、稽古、舞台裏、本番前後、ちょっとした空き時間……。それぞれの目線で撮影した映像を集め、キャストのナレーションも交えて一本のVlogにします。
舞台だけでは見えない、13人の韓国公演の裏側も一緒に楽しんでください!
ほかにも5,000円・20,000円・30,000円のコースをご用意しています。
スケジュール
8/29 演出家と劇団代表が韓国へ
〜9/1 劇団DOMOの俳優と初めての稽古!
9/2 俳優5名・スタッフ3名が韓国へ
9/3 残る俳優・スタッフが到着。全員で最後の仕上げ!
9/4 リハーサル・本番①
9/5 本番②・③・撤収
9/6 午前3時に宿を出発→帰国
限られた滞在時間をめいっぱい使って、本番に臨みます!
9/7〜 リターン制作
10月 リターンお届け予定
最後に
劇団アンゲルスは、長年「他者」の目にさらされながら作品をつくることを大切にしてきました。
韓国へ行くのは13人です。

けれど、この作品がここまで来るまでに関わってくれた人、舞台を観てくれた人、パレスチナについて一緒に考えてくれた人を数えれば、とても13人だけの作品ではありません。
2024年、一冊の『ガザ日記』との出会いから始まった作品が、金沢で人と出会い、形を変え、今度は海を渡ろうとしています。
私たちは、この作品を韓国へ届けたい。
そして、そこで出会う人たちによって、またこの作品が変わっていくところを見てみたい。
その旅を、皆さんにも一緒につくっていただけたら嬉しいです。
最新の活動報告
もっと見る俳優・森尾舞さんより応援コメントをいただきました
2026/09/01 22:33東京、そしてドイツ・ベルリンを拠点に俳優として活躍されている、森尾舞さんから応援コメントをいただきました。・・・・・・・・・・・・・2023年1月、舞台『占領の囚人たち I, Dareen T in Tokyo』の舞台化に向けてパレスチナを訪れ、現地で1週間のワーク・イン・プログレスを行いました。そこで暮らす人々と出会い、分断が生み出す現実に触れた経験は、今も強く心に残っています。木林くんが遠くの出来事としてではなく、自分たちのこととしてこのテーマに向き合い、演劇を通して人と人をつなごうとしていることを、とても心強く感じています。日韓の共同制作から、どんな出会いや対話が生まれるのか楽しみです。木林くんはじめアンゲルスの皆さん、そしてこの作品の新しい一歩を心から応援しています!・・・・・・・・・・・・・舞さん、ありがとうございます!!森尾舞さんは金沢出身。実は高校生のとき、1996年の劇団アンゲルス第1回公演『Macbeth』に出演されています。金沢市民芸術村のこけら落とし演劇祭への参加作品で、会場は今年8月に『Not a Number』金沢公演を上演したのと同じ場所でした。2024年、2025年にはアンゲルスと一緒に作品をつくりました。演出・木林と舞さんが出会ったのは2024年。舞さんがプロデュースし、演出家の瀬戸山美咲さんを金沢に招いて行われた公演で、金沢の高校生11名とアンゲルスの団員が一緒に作品をつくりました。2025年には、舞さん自身が演出を務める公演も行いました。2024年「みえない雲」@シアタ−21 高校生に演技指導をしていただきました。2025年「少年口伝隊一九四五」@アートグミ 演出・出演されました。俳優としての迫力と、優しさ、フランクさ。そんな舞さんに押されたり、引っ張られたりしながら、高校生たちもグッと集中して作品づくりに向かっていったことを覚えています。泣けたなあ(by演出助手伊藤)そして今回、舞さんに応援コメントをお願いしたのには、もう一つ理由があります。2024年12月、金沢美術工芸大学で、名取事務所によるパレスチナ演劇『占領の囚人たち』『I, Dareen T.』の公演動画が上映されました。舞さんも出演されていて、2023年2月に東京で上演されたこの作品を木林も観劇しました。舞台は、収容所でパレスチナ人が尋問されるシーンから始まりますが、パレスチナ出身の俳優が言ったセリフが強く印象に残っています。「私たちは劇場にいるが、パレスチナの人たちはいまだに囚われている。これはお芝居です。普通はもっと残酷です」舞さんが演じるパレスチナ人作家がイスラエル兵に逮捕・収容される場面では、兵士が部屋を去る際、エアコンの温度を下げていく。冬なのに。その場面を観ながら、ニュースの向こう側にいる一人ひとりの人間の存在を強く感じました。この作品は、木林が「パレスチナについて、演劇で何ができるのか」を考える大きなきっかけの一つとなり、その問いは『Not a Number』にもつながっています。パレスチナを実際に訪れ、そこで暮らす人々と出会い、演劇を通してその現実と向き合ってきた舞さんから、この言葉をいただけたことをとても嬉しく思います。私たちも韓国・春川での新たな出会いの中で、この作品をさらに深めていきます。舞さん、心強い応援を本当にありがとうございました!劇団DOMOの俳優とのオンライン稽古。待っててね〜! もっと見る
韓国・春川に到着しました
2026/08/30 15:32韓国・春川の劇団DOMOの劇場に、演出の木林(写真左)と劇団代表の岡井(写真右)が到着しました!これから、劇場の下見、舞台仕込み作業、共同演出のミンスさん(写真中央)との演出の方向性決め、稽古スケジュールの調整、DOMOの俳優さんとの稽古など……やることはたくさんあります。昨日はミンスさんがレストランにて、「これは甘辛いですよ〜大丈夫ですよ〜」と言ってお料理を注文してくれましたが、辛かったです…。木林も岡井も辛いものがそんなに得意ではないのです。「これで辛かったらこれからどうしましょうね(笑)」とミンスさんは朗らかに笑ってらっしゃいました。慣れなければ。いよいよ、韓国・春川での作品づくりが始まります!劇場の外の宣伝垂れ幕の中には、「Not a Number」もあります!金沢でつくってきた作品が、韓国の劇場に入り、韓国の俳優・スタッフの皆さんと出会うことで、ここからどんな作品へと変化していくのか。言葉も文化も越えて、一緒にひとつの舞台をつくる。私たちがずっと大切にしてきたことを、ここ春川で形にしていきます。9月2日・3日には、金沢から残りのメンバーも春川に到着します。本番までの稽古や舞台づくりの様子も、こちらでドンドンお届けしていきます!クラウドファンディングの挑戦は、この韓国公演を実現し、最後まで走り切るためです。すでにご支援くださった皆さま、本当にありがとうございます。一つひとつのご支援、応援の言葉が、私たちがここまで来るための大〜〜きな力になっています。本文を更新しましたのでぜひ読んでみてください。そして、もしこの挑戦を「応援したい」と少しでも思っていただけたら…ぜひ…!ご家族やご友人、周りの方にもこのクラウドファンディングを広めていただけないでしょうか!SNSでのシェアはもちろん、「こんな劇団が韓国で公演するみたいだよ」と一人の方に伝えていただくだけでも、大きな力になります。金沢から韓国・春川へ。ここまで運んできた作品を、韓国の皆さんとともに、さらに良い舞台へ育てて日本に持ち帰りたい。韓国公演は、いよいよここからです。最後まで、どうか私たちと一緒に走っていただけたら嬉しいです。引き続き、応援・ご支援、そして拡散のご協力をよろしくお願いいたします!金沢チームは今日が最後の稽古。そして荷造りです。 もっと見る
新聞に掲載されました
2026/08/22 22:48この度は、劇団アンゲルスの挑戦を応援していただき、ありがとうございます!!演出助手の伊藤です。8/15、8/16、金沢公演が無事に終了しました。公演初日の様子を、朝日新聞の記者さんが記事にしてくださいました。本番の写真も数枚見れます。【8/16 朝日新聞の記事】そしてこちらは少し前ですが、北陸中日新聞の記者さんが稽古場へ取材に来てくださったときのものです。【7/28 北陸中日新聞の記事】………………………稽古を重ねるたびに、芝居がどんどん変化し、どんどん進化していく。そんな忙しい中でも、キャスト・スタッフがお互いの仕事を信頼しながら、みんなで作品を作り上げていく。これが楽しいんですよね…ッ!いつもなら、公演が終わるとホッとひと息ついたり、「毎日会ってたのに明日からはしばらく会わないんだねー」なんてちょっぴり寂しい気持ちになったりするのですが、今回はもうひとつデカい公演が待っているので、まだまだ休みません!稽古は続きます!引き続き見守っていただけると幸いです。 もっと見る





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