若者の決意表明①
食べタイ編集部 森山健太(早稲田大学4年)
◆静岡の“たけのこ王”を知っていますか?
野生のイノシシは丸太一本で退治。普段着は、ピンクのタンクトップ。彼の異名は、“たけのこ王”。いまや、華金のゴールデン番組のレギュラーをはるひとりの農家は、1年前は無名の存在でした。
◆なぜ「卓球部」はカッコ悪いといわれるのか?
早稲田大学4年の森山健太です。僕は、中学・高校まで6年間、卓球部に所属していました。ところでみなさん、いま、「卓球部」と聞いて、どんな印象を持たれましたか?「じめじめした廊下で、素振りをしている陰気くさいメガネ集団」。みなさんの回答をトータルすると、ざっとこんなところではないでしょうか。では本当に、卓球選手はそんなイメージ通りの人たちなんでしょうか…?これこそ、本日お伝えしたいことすべてを象徴する問いであります。
1年前、農家漁師のメディア“食べるタイムス”の編集部の一員になりました。正直、当時は、一次産業にいくばくかの関心も持っていませんでした。それは、農家に対して紋切り型の見方しかできなかったからです。つまり、「汚れたシャツを着て、土をいじっているおっちゃん」だけが農家だと思っていたからです。
そんなとき、あるネット記事を読みました。なんでも、静岡県にクワガタとたけのこで大稼ぎして、フェラーリを2台買った伝説の農家がいるらしい。大学生の好奇心がうずきます。真相を確かめるべく、翌日には現地に。そこで出会ったのが、当時無名だったたけのこ農家の風岡直宏さん。元トライアスロンのプロアスリート、とんでもないバイタリティをたけのこ業にぶち込んだ人でした。
あの日、農家のステレオタイプは、音を立てて崩れ去りました。『顔』がなかった農家のイメージが一新されました。今まで軽く見ていた『顔がない農家さん』には申し訳ないほど、憧れと尊敬の眼差しで、目の前の『顔がある農家さん』を見ていることにも驚きました。
惚れて通えば千里も一里。片道4時間の道のりを、気づけば15回にもわたって取材を続けていました。与えられた役割は、農家の痺れるような生き様を発信するPR右腕。10本に及ぶ記事発信、映像も交えたFacebook運営、スパイスカレー業界の超人とコラボしたイベントを打ち出しました。そうして1年。風岡さんはフェラーリのように超高速で、全国の舞台に駆け上がっていきました。
◆農家がサインを求められる時代へ
リオ五輪で卓球日本男子に史上初のメダルをもたらした水谷隼選手のプレーを見て、ある著名人が次のように評しました。「オレらの時代、卓球部と言うと、ちょっと、ああ卓球なんだ…ってイメージだったけど、完全にアスリートで格闘技みたい」
リオ五輪で活躍した卓球選手は、水谷選手だけではありません。福原愛、石川佳純、伊藤美誠、彼女たちスーパースターが、確実に、かつての卓球のイメージを変えつつあります。卓球と同じで、全国には農家漁師のスーパースターがひそんでいます。我々食べるタイムスの学生は、若い嗅覚をもって、彼ら彼女らを必ず発掘し、日本中にインパクトを与えます。
「僕みたいな農家が100人いれば、日本の農業だってひっくり返せるら?」
―風岡さんの言葉です。目指すは、農家がサインを求められる時代へ。
ゆとり世代が、目の色変えて挑戦します。分厚いベールで覆われていた農家の、ベールを取ったら何が見えたか。一次産業の現場には、ばちばちと流れるような人間の魅力がありました。気づいてしまった若者として、農家が社会的に評価される時代の「足がかり」を築きます。みなさん、ご支援よろしくお願いします!