約400世帯が住む石巻市・川の上地区は、2018年に防災集団移転により沿岸部から約400世帯が移り住む予定です。私たちは、子供も大人も、ハンデのあるひともないひとも、お年寄りも赤ちゃんも共に学びあい、支えあい、伝承のための「地域の学び舎」をつくろうとしています。みなさまのお力をお貸しください。

プロジェクト本文

【写真】地域のシンボルマウンテン上品山からみる新旧の北上川の間にある川の上地区。

「まちを耕し、ひとを育む」
被災地からの「地域の学び舎」づくりの挑戦

元々、約400世帯が住む石巻市・川の上地区は、2018年に防災集団移転により沿岸部から約400世帯が移り住む予定です。私たち石巻・川の上プロジェクトは「既存住民と移転住民が手を取り合って新たなコミュニティをつくることはできないであろうか?」という思いから、石巻地域に住む多様な職種と年齢から構成される約30名と、地域外のデザイナーや設計士、研究者など専門家約20名が中心となって、2013年に活動をスタートしました。

多くの方々からご支援をいただき、にぎやかな図書館「川の上・百俵館」を2015年に開館することができました。地域のお母さんたちが切り盛りし日々沢山の人たちで賑わう図書館カフェ、地元の講師の先生の指導のもと50名の子供たちが通う寺子屋など、多様な世代の人たち日々が集まり、多彩なイベントが繰り広げられる地域にとって不可欠な場に成長してきたのではないかと思います。

しかし、ひとつの「場」ができたことによって、新たな課題も見つかりました。地元の女の子から、百俵館を自習スペースとして利用したいけれど、混雑してくると周囲のお客さんが気になって集中できないというメッセージをもらいました。「勉強場所としても開放」と銘打っておきながら、中高生の彼/彼女たちにとって、既存の施設では中途半端だったと私たち運営側は反省しました。

小学6年生と中学3年生を対象にした平成29年度全国学力・学習状況調査結果によると、石巻市の児童生徒の正答率は、実施した全ての教科で全国のみならず、宮城県の値を下回っていました。また、家庭での学習時間は、ある程度まとまった時間(小学生1日1時間以上、中学生2時間以上)取り組んでいると回答した割合が、小・中学生ともに全国の値を下回りました。主な原因は「長引く仮設住宅での暮らし」「家庭環境の変化」等が挙げられます。ここ石巻地域では、まだまだ学習環境に悩む子供たちが少なくない現実が残されています。

そこで、私たち石巻・川の上プロジェクトでは、川の上地区に、自習室を核とした「地域の学び舎」をつくることを考えました。子供も大人も、ハンデのあるひともないひとも、お年寄りも赤ちゃんも、地域の人たちが共に学びあい、支えあい、伝承するための「地域の学び舎」のつくりたいと思います。

【写真】地域の学び舎「耕人館」と「たねもみ広場」完成イメージ。

にぎやかな図書館「川の上・百俵館」の開館

川の上地区は、東日本大震災後に大きく変化をした地域の一つです。震災による直接的な被災は少なかったものの、それゆえに、被災された沿岸部の方々が移転する防災集団移転地に選ばれました。もともと川の上地区には約400世帯の住民が住んでいましたが、新たに約400世帯の人たちが移転することになりました。そして今年、震災から7年という長い歳月を経て、石巻市最後の防災集団移転地「河北団地」がまちびらきします。

こうしたなかで、既存住民と移転住民がどのようにして手を取り合って新たなコミュニティをつくれるだろうか、そして、このさき地域の人たちがいきいきと暮らしていくために何かできないだろうか…という思いから、私たちは2013年に活動をスタートしました。

私たちは、まず幾度となくワークショップを重ね、新しいコミュニティには「居場所」「教育」「暮らし方」を考えることができる「場」が必要であるという考えに至りました。そして、この場の創出にあたり、大正時代につくられた旧大谷地農協の精米所を地域の人たちと一緒に改修作業をして、新旧住民をつなぐ図書館カフェ「川の上・百俵館」を2015年4月に開館しました。このときは住民たちが資金を出し合うとともに、多くの方たちのご支援によって改築工事を成し遂げることができました。

【写真】たくさんの地域の人と喜びを分かち合った川の上・百俵館のオープニング。

多様な人たちがあつまる「教育」「居場所」「暮らし方」としての「百俵館」

川の上・百俵館は、昼間はおしゃべりが楽しめる図書館カフェとして、夕方からは週に3日、小学生・中学生・高校生が数学と英語を学ぶ「寺子屋」というように、お年寄りから子供まで地域の人たちが集う場になりました。このほか、音楽会、落語の会、健康体操講座などが老若男女楽しめるイベントが定期的に開催されています。また、建物前の広場では月1回川の上手作りマーケットが開催されています。

また、「こんなものを作ってみたんだけど…」と、季節ごとに手作りの飾りをおばあちゃんが持ってきてくださったり、仮設住宅に住むおじさんが達筆な筆文字でお知らせを清書してくださったりと、当初みんなで描いた目標のように、地域の方々に支えられながら運営されています。

【写真】川の上・百俵館の和やかな日々。

【写真】寺子屋で英語の授業を受ける地域の中学生。

【写真】春夏秋冬でまちづくりの種を学ぶために開催するイシノマキ・カワノカミ大学。

ひとつの「場」ができ新たな課題が見つかる

しかし、百俵館が賑わうにつれ、物足りなさや不便さを感じることも増えてきました。それが臨界点に達し、危機意識へと変わったきっかけは、とある女子高生から届いた一通のメールです。百俵館を自習スペースとして利用したいけれど、混雑してくると周囲のお客さんが気になって集中できない。また、イベントで施設が利用できない日が増えてきたという内容でした。確かに勉強場所を最も必要とするのは受験生です。「勉強場所としても開放」と銘打っておきながら、中高生の彼/彼女たちにとって、既存の施設では中途半端だったと私たち運営側は反省しました。

<改善点>

●他のお客様もいるのに長時間居座るのは気が引ける

●頻繁にイベントが開催されて利用できない日が多い

●子供がいて賑やかで楽しいけど集中できない

早速、私たちは問題意識を持って地域の子供や大人にヒアリングやワークショップを行い、どんな学習環境があるといいか検討を積み重ねてきました。子供たちからは「仮設住宅では狭いから自習スペースが欲しい」という声が多く聞こえてきました。そこで「自習」をキーワードにした学びの場をつくるという構想ができました。一方で、私たちは、人間形成における「学び」も大切にしたいと考えています。

自分の将来を見据えて「学び」を得る、自分の「夢」や「ビジョン」をつくるきっかけ、自分が暮らす地域を誇りに思える機会をつくれるような「場」をつくりたい。そこで、子供も大人も、ハンデのあるひともないひとも、お年寄りも赤ちゃんも、地域の人たちが共に学びあい、支えあい、伝承するための「地域の学び舎」づくりを目指すことにしました。

幸いなことに、百俵館の隣には、これまでも寺子屋の教室やセミナー会場として使用していた2階建ての空き家と、百俵館の来館者向けの駐車場として使っていた空き地があります。これら内と外を新たな「学び」の「場」として一体的に整備していくことにしました。

【写真】新たな場のコンセプトを考えるためのワークショップ。

【写真】新たな場でやりたいことを地域の人に投票してもらった。

「百俵館」と教育・伝承の場の「耕人館」、それらを繋ぐ「たねもみ広場」
地元の中高生による主体的な場の運営

私たちは、自習室を軸とし教育・継承の場となる施設を「耕人館」と名付けることにしました。こちらは河北町出身で剣道範士八段の武山松五郎先生の遺文「剣道は処世大道なり、耕は尽くることなし」からくる「剣道耕人」という言葉を元にしています。耕人館は、地域の子供たちの自習や課題解決型の学習ができる場を目指しています。

どのような場にすると良いかを検討するためのワークショップでは、思わぬ展開もありました。鍵の管理や掃除などの担当者をどうするかが議題に上がった際、なんと地元の高校生たちが「自分たちがやります!」と自発的に名乗り出てくれたのです。自分たちが出来ることは手伝いたい。自分たちも地域社会に貢献して恩返しをしたい。そんな学生たちの想いに私たちは感激しました。『耕人館』の運営管理は、地元の中高校生たちが担っていきます。

耕人館と百俵館を繋ぐ広場には芝生を敷き、自然と触れ合いながら、そこに集まった人々が緩やかにコミュニケーションを取りつつ学び合う遊び場をつくります。こちらは「未来のための種子が芽生える場所」、「世代から世代へ種を繋げる場所」という意味を込めて「たねもみ広場」と名付けることにしました。

たねもみ広場は、子供たちが安心して遊ぶことができ、子供からお年寄りまでみんなが集い、おしゃべりを通して生活の知恵や有益な情報の交換場所となることを期待しています。多様な人と出会えるこの場を通して、昔はあったであろうと思われる、お互いが良い依存関係を保ちつつ、地域の人たちが子供を見守り、共に育つ地域がつくれればと考えています。


【写真】「百俵館」と「耕人館」を繋ぐ「たねもみ広場」の模型。

【写真】「たねもみ広場」のベンチ下には、薪ストーブ用の薪が収納できる。

【写真】「耕人館」の多様な学びと「たねもみ広場」を緩やかに繋ぐ縁側。

 

 【写真】新たな場づくりも、できることは地域住民で自ら行う(広場ベンチづくり)。

資金の使い道

耕人館とたねもみ広場の整備には、最低でも1000万円が必要であるという見積が出ています。この整備費用は自己資金や助成金で支払う計画ですが、すべてはまかなうことができません。そこで今回、キャンプファイヤーを通じて皆さんからのご支援を賜りたいと考えています。

復興における教育の可能性を信じたい

2013年4月、震災の爪痕が色濃く残る時期に、石巻・川の上プロジェクトはスタートしました。これまでにも本当に数多くの方々に支えられ、助けられ、導かれてここまでこれたと感じています。心より感謝しています。

このたび二度目の大きな費用のかかる事業です。前回、コミュニティ施設「百俵館」が生まれ、そして今回、「耕人館」「たねもみ広場」が完成することによってさらに可能性が広がると信じています。私たちの活動は、被災地復興・地域活性という限定したテーマに捉えられがちですが、現在あるいは未来、同じような課題を抱える地域コミュニティにとっての模範でありたいとの想いで取り組んでいます。私たちの失敗はいつか必ず誰かの糧になる。私たちの成功はいつか必ずどこかの希望の灯となる。そう信じて、これまでもこれからも歩んでいきます。

まだまだ課題は山積みです。それでも子供も大人も、ハンデのあるひともないひとも、お年寄りも赤ちゃんも、地域の人たちが共に学びあい、支えあい、伝承するための「地域の学び舎」をつくるために、力強く歩みを進めるために、どうか力を貸してください。ご支援のほど何卒よろしく申し上げます。

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    先月より挑戦を開始しましたクラウドファンディングですが終了期日を前にして、目標金額を無事に達成しました。ここまで暖かなご支援をいただきました方々にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。とはいえ、プロジェクトはここで終了ではなく、ここからが本番となります。子供も大人も、ハンデのあるひともないひとも...

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