はじめに
こんにちは。認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会の横田と申します。
東京事務所でネパールでの事業を中心に防災・減災事業を担当しています。
私たちシャプラニールは、貧困のない社会の実現を目指し、「取り残さない、その小さな声を。」をスローガンに、バングラデシュ、ネパール、日本において、支援の届きにくい人々に目を向けた活動を1972年より行っています。
バングラデシュとネパールの特に気候変動の影響を受けやすい地域で、気候変動に起因する災害から子どもたちが身を守るためのプロジェクトへのご支援をお願いします。
※当会へのご寄附は税の優遇措置(寄附金控除)の対象となります。
●世界の子ども約10億人は気候変動リスクが「極めて高い」
2023年の夏は、日本の観測史上最も暑い夏となり、すでに私たちの生活の中でも気候変動の影響が出はじめています。今後も気温上昇、災害被害の増大、食糧不足、健康リスクの増大などが予測され、私たちの安全、健康、経済が気候変動の脅威に晒されています。
そして、今後最も気候変動の影響を受けるのは、次世代の子どもたちです。
ユニセフによれば、気候変動の影響を受けるリスクが「極めて高い」とされている子どもの人数は約10億人。これは世界の子どもの半数にもあたる人数なのです。
また、国連子どもの権利委員会は、子どもの生存権や健康権が侵害されているという声明を出しています。
アヌさん(仮名)の話(ネパール)
アヌさんは、小学8年生で、川の近くに住んでいます。
彼女は、豪雨や川の氾濫がいかに恐ろしいか、教えてくれました。
「いつ起こるか分からない洪水への恐怖は、不安を増幅させます。
特に暗闇は恐ろしく、雨や川の音、そしていつ水に飲み込まれるかわからない不安で、夜は眠ることができません。
学校で勉強しているときも、近くのテリ川からいつ洪水が襲ってくるかと思うと、集中もできず勉強を中断せざるをえません。」
ラクシュミーさんの話(ネパール)
ラクシュミーさんは、アヌさんが通う小学校で11年間教鞭をとっています。
彼女は、気候変動と防災・減災教育は、子どもたちの考え方・生き方を形成するのはもちろんのこと、両親や地域社会に対しても大きな影響力があると強く感じています。
「子どもたちが地域のパイプ役となって、学校で学んだ防災・減災の情報を両親や地域の人々に共有したことで、緊急時にも効果的なコミュニケーションやネットワークが生まれ、人々の命と安全を守ることに貢献しています。
学校での教育は、子どもたちがおとなになってからも重要な力になります。地球環境に感謝し、持続可能な活動推進と資源利用を促進し、地域社会ひいては地球全体の未来に貢献する人になると思います。」
●プロジェクトで実現したいこと
このプロジェクトでは、「防災・減災活動」と「次世代リーダーの育成」の2つのアプローチを通して「気候変動×子ども」の課題に取り組みます。
継続して活動を行うためにはまだまだ資金が足りていません。あなたのお力をお貸しください。
バングラデシュとネパールで、以下の活動を実施しています。
【バングラデシュ】
活動①サイクロン常襲地域での防災事業
クルナ県コイラ郡はバングラデシュで最もサイクロンのリスクにさらされている沿岸部地域に位置しており、これまで多くの被害を受けてきました。
同地域において、インフラ整備と同時に、地域住民へのマネジメント能力・防災能力強化を行っていきます。特に脆弱な立場におかれやすい女性や女児に配慮した対策と防災能力を高めるために、地域住民・地方行政・中央政府の協働ネットワークを構築し、地域を守ります。
活動②子どもたちによる気候変動アクションの展開
バングラデシュで3番目に大きい都市であるクルナ市で、子どもたちへ気候変動に関するキャンペーン活動を支援します。そして、家族、学校、行政、メディアなども巻き込み、地域全体で持続可能な都市を築くための活動変容を促します。
また、沿岸部で気候変動の影響を強く受ける子どもたちが、自分たちの問題を考え声をあげ、おとなたちと話し合うための「沿岸部に住む子どもたちの気候変動会議」をパートナー団体JJS(Jagrata Juba Shangha)と共催します。
現状では、気候変動の脅威に晒される子どもたちが、自分たちの声をあげ、おとなと話をする場はありません。私たちは、こうした機会をつくることで、社会全体の気候変動に対するリスク認知を促進し、行動変容を促したいと考えます。
【ネパール】
洪水常襲地域での防災事業
シャプラニールは、2022年度末よりコシ州モラン郡ウルラバリ市にて、地方行政と地域住民の防災能力強化を行っています。
それに加えて今後は、洪水を防ぐための堤防の設置を行うハード面と住民の能力強化をするソフト面の両方から、持続可能で災害に強い地域づくりに取り組んでいきます。
洪水リスクが非常に高いとされるモラン郡では、過去5年間で 2,000世帯以上が家を失い、数百人が亡くなっています。特に農村部は行政によるインフラ整備や防災力が十分に備わっておらず、政府やNGOの支援も入っていない地域が多くあります。
●南アジアの現状:深刻化する気候変動の影響
気候変動は地球全体で待ったなしの問題ですが、特に南アジアでは、サイクロンや豪雨、落雷、洪水の頻度や激しさが増し、ますます多くの子どもたちがより大きな脅威にさらされています。
<バングラデシュ>
水が豊かで緑が美しいバングラデシュ。アジア屈指の親日国として知られています。
2000年代以降、世界の縫製工場として急成長を遂げ、近年の経済成長率は6~8%と高水準を保っています(日本は約1.7%)。
一方で、国土の半分以上が海抜7m以下、さらに国中に網の目のように河川が広がる地理的特徴から、サイクロンと洪水の被害を受けやすい、世界で最も災害リスクの高い国の一つでもあります。
さらに海面上昇や塩水侵入などの気候変動に起因する現象が加わり、多くが不安定な生活を送らざるを得なくなっています。ユニセフによると、こうした災害はバングラデシュに暮らす1,900万人以上の子どもの命と将来を危険に晒しています。
<ネパール>
ネパールはヒマラヤ山脈を有する国で、北部の標高は8,000m級であるものの、南部は100m未満の低地もあり、その標高差が豊かな自然を美しい景観を生み出します。
また親日国でもあるネパールは、近年の経済成長率5%前後を維持し、堅調な発展を遂げています。
一方で、世界銀行によると、河川洪水の影響を受ける人の数は年間2倍以上になること、2030年まで河川の氾濫による経済的影響は3倍になる可能性があると指摘されています(Climate Risk Country Profile 2021)。
この気候変動の影響により、災害が発生し耕作地が被害を受けるなどして、貧困地域においてはさらなる貧困につながっていくリスクをはらんでいます。
●活動への思い:子どもたちと共に持続可能な未来を
シャプラニールはこれまで災害に脆弱な地域で、「防災」と「子ども」を軸に、バングラデシュとネパールで活動を展開してきました。そして、こうした活動を通して、気候変動が子どもたちの生活にもたらす甚大な影響も目の当たりにしてきました。
「雨が降らないせいで、農作物が育たない」
「漁に出ても魚が取れない」
「田んぼが浸水してしまって、稲がすべてダメになってしまった」
「土地が侵食され住めなくなったので、知らない土地に引っ越すことになった」
「家計を支えるために、学校を辞めて働かなくてはいけなくなった」
「雨期は川を渡ることができず、学校に通うことができない」
気候変動の影響は、農作物収穫量減少や漁獲量減少による生計手段に留まらず、教育を妨げ、児童労働状況を悪化させ、住みなれた土地さえ奪ってしまいます。
そして、そうした脅威の矢面に立たされるのは、いつだってぜい弱な立場の人々、特に子どもたちであるのが現実です。
●子どもたちの力を信じて
一方で、私たちは子どもたちが気候変動の「被害者」でなく、気候変動問題を切り拓く「未来のリーダー」として非常に大きな可能性を秘めていることにも気づきました。
例えば、兵庫県が主催する「ぼうさい甲子園」を参考にバングラデシュで開催された防災コンテストでは、子どもたちがオリジナルの演劇、歌、絵を制作し、持続可能な生活を実現するための自分たちのアイディアや将来への思いを地域のおとなたちに伝えました。その様子は地元のメディアでも大きく取り上げられ、行政や地域の人々と一緒に防災について考え、発信する機会となりました。
ネパールでも、2015年の大地震のあと、子どもたちを対象に自宅から学校までの通学路のハザードマップを作成する活動を行ったところ、多くの子どもがその内容を家族にも伝え、結果として地域全体への地震発生時の危険個所の周知につながりました。
このように、子どもたちの活動は周りのおとなたちに広がり、地域全体で行動を起こすきっかけになるのです。
私たちは子どもたちには変化を起こす力があると信じ、彼らが自分たちで考え行動し、持続可能な地域社会を創り上げるために、子どもたちの力を引き出す支援に取り組みます。
●地球規模の課題に対する私たちの役割
バングラデシュやネパールなど、南アジアの国々で起きている気候変動の問題は、日本に住む私たちにとって他人事ではありません。日本においても気温の上昇や異常気象が増加し、私たち自身もその影響を受けています。
また、日本はこれまで化石燃料の大量消費などで経済成長を遂げた先進国の一つであり、2020年には世界で5番目に多くの二酸化炭素を排出しました。
しかし、排出量が最も多い10カ国のうち、「子どもたちの気候危機指数」で「極めてリスクが高い」とされているのは、1カ国のみです。逆に、極めてリスクが高い33カ国の合計排出量は、世界の排出量のわずか9%にすぎません。このように、地球温暖化に対してほとんど責任のない国の子どもたちが、気候変動の影響で苦しむことになります。
気候変動は国境を越える課題であり、私たち一人ひとりの生活に関係しています。
私たちは、世界中の子どもたちと私たち自身の未来のために、力を合わせて、今、地球温暖化を食い止めるために行動しなければならないのです。
私たちが今変わらないと、さらに多くの次世代の子どもたちがより厳しい環境に置かれることになります。
●気候危機は”子どもの権利の危機”
今や気候変動の影響は私たちの「日常」を変えてしまっています。
気候変動と災害の問題を考えるとき、一番弱い立場に置かれるのは未来を担う子どもたちです。
2022年9月に発表された「国連子どもの権利委員会 気候変動に関する世界の子どもたちの声」では、子どもたちがおとなに伝えたいこととして、
・清潔で健康的な環境で暮らしたい
・政府、企業、おとなたちには、大胆で緊急の行動をとってほしい
・世界の国々に協力してほしい
・意識啓発と教育を充実させてほしい
といった意見のほか、
・気候変動や環境問題の対策について、子どもの意見を聞いてほしい
・気候変動や環境問題の解決策についてのアイディアを共有したい
といったメッセージもあり、子どもたちがおとなに守られるだけの存在ではなく、ともに問題を解決する担い手であるということが伝わってきます。
●気候変動の時代を生きる子どもたちの声を取り残さない
問題の根本的な解決を目指し、一過性の「支援」をしないこと。
現場の人々から学び、問題を抱える当事者と対等な立場で考え、行動すること。
まず一番弱い立場に置かれた人々のことを考え、それを取り巻く周辺の人々、社会全体の意識を変えていくこと。
50年以上の間シャプラニールはこの価値観を大切に、活動地での人々の主体性を大切にしながら「伴走者」として「取り残された人びと」と共に歩んできました。
このプロジェクトでは、子どもたちの持つ可能性を信じ、彼らが自分たちで問題解決のため行動できるよう、それを応援する地域のおとなと共に活動してまいります。
シャプラニールの活動を通じて、子どもたちが気候変動への理解を深め、行動を起こし、地球を守るために積極的な役割を果たす後押しをしませんか?
皆さまからのご支援は、南アジアの子どもたちとともに、持続可能な未来を築く第一歩となります。どうぞよろしくお願いいたします。
●スケジュール
2023年10月13日 :クラウドファンディング開始、オンラインイベント実施(ネパール)
2023年11月19日 :オンラインイベント実施(バングラデシュ)
2023年11月30日 :クラウドファンディング終了
2024年1月中: リターン発送
2024年1月中: クラウドファンディング活動報告会実施
~2024年3月: バングラデシュ・ネパールでの2023年度の活動を継続
●資金の使い道
バングラデシュ・ネパールにおいて、子どもたちが気候変動に起因する災害から身を守り、気候変動に関する問題解決のための行動を起こせるようになるために必要な気候変動・防災に関するワークショップをはじめとした両国の防災・減災活動全般に使わせていただきます。
・3,000円相当で、非常用持ち出し袋1世帯につき1つ届けることができます
・5,000円相当で、河岸を補強するための竹の苗20本を植林することができます
・10,000円相当で、河川の流域にある学校1校にハザードマップを設置できます
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
<本サイト以外からでご寄付をご検討の方へ>
別途ご案内いたします。事前にシャプラニール担当者に下記へご連絡ください。
メール:jpoffice@shaplaneer.org(担当:横田)
電話:03-3202-7863(火曜~土曜、10時~18時)
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