▼プロジェクト紹介
はじめまして。反レイシズム情報センター(ARIC)代表の梁英聖(一橋大学言語社会研究科博士後期課程)と申します。
ARICはレイシズム・ヘイトスピーチをなくすために大学生・院生が集まって設立したNPOです。このたび大学生のスタッフを中心にプロジェクトチームを立ち上げ、大学内から差別をなくす新たなプロジェクトをスタートさせます!
いきなりですが、質問です。
差別が目の前で起きたら、どうしますか?
みなさんの多くが、「差別はよくない」「差別はなくしたい」と思っているはずです。
しかし、差別にどう対処するか、実際差別が起きたらどう行動したらよいか、知らない人が大半ではないでしょうか。
私たちも同じでした。学校では差別はよくないことはしつこいほど教えてくれますが、肝心の、差別が起きたときの対処法は全く教えてくれないのです。
ARICのボランティアスタッフの学生の中にも、
・「差別か分からずに行動できなかった」
・「差別を見たけどどう対処したら良いか分からなかった」
・「差別を見て抗議したけれど、うまく止められず加害者はまた差別を繰り返した」
といった経験をした人が何人もいました。大学生の中で差別は「よくある出来事」になっている一方で、「どう対処すれば良いか」は誰も知りませんでした。
そこで、差別への対処法について、皆で海外の大学の事例を調査してみる事にしました。すると、有効かつ安全な対処法にたどり着きました。
米国の公民権運動など、反差別運動が強力な欧米諸国では、差別に有効かつ安全に介入する方法論が確立していました。特に大学やNGOがイニシアティブをとって、差別と闘うための反差別ガイドブックを作成し、ネットや冊子を通じて広く学生に普及していたのです。
アメリカ最大の反差別NGOの一つ、南部貧困法律センター(SPLC)の作成したガイドブックはこちら。
オーストラリアの西シドニー大学が作成した反差別介入法を紹介するビデオはこちら。
こうした対処法の存在は日本ではほとんど知られていないと思います。この欧米流の反差別介入法を、ヘイトスピーチが深刻化する日本で応用できないだろうか。
そう考えた私たちは日本で急速に深刻化する差別をなくすために、米国で普及している信頼できる反差別ガイドブックを参考にした、日本版反差別ガイドブックを作成し普及する新しいプロジェクトを立ち上げました。
ガイドブックの内容は、「差別ってそもそも何?」という基本的なレベルから、具体的な対処方法まで、グローバルスタンダードな反差別規範を身につけ、差別にきちんと反対できるようになるためのエッセンスを詰め込みます。
これを読めば誰でも差別に反対できる、というものにして行きます。大学生が、差別を自分たちの手でなくし、安全なキャンパスを作って行くための第一歩になるでしょう。
▼被害者が差別の不安におびえない、安心・安全なキャンパスを!
いま、大学では深刻な差別事件が多発しています。
最近報道されているものでは、東京大学や千葉大学、慶應大学などにおける集団レイプ事件、愛知県の大学生が実名で「朝鮮人を皆殺しにしろ」とTwitterに投稿した事件などがあります。
また、私たちはこれまで独自に大学内での差別被害の相談を受け付けてきましたが、
・留学生であることを理由にアパートの入居を断られる
・通学途中のバスで「日本から出て行け」とヘイトスピーチを浴びせられる
・民族衣装を着て寮の周辺を歩いていたら何者かに殴られる
などといった数多くの深刻な差別被害が寄せられています。
私たちが調査できた都内の一部の大学ですら、数多くの被害が確認されています。しかし、これらはほんの氷山の一角です。被害にあっているのに声をあげられなかったり、声をあげたのに解決できなかったりと、埋もれてしまっている差別が無数にあるでしょう。
さらに近年、ネット上の差別的な言説を真に受けたいわゆる「ネトウヨ学生」(ネット右翼)も増加しています。外国人に対する無根拠なデマが流布され、その影響で差別的な大学生が増加しているのです。現在でもたくさんの差別があると思われますが、今後さらに被害は増加していくことでしょう。
私たちはこのような現状をなんとか変え、差別をなくし、誰もが安全に、安心して大学生活が送れる環境を作って行きたいと考えています。
▼差別と闘う方法を広めたい
深刻な差別をなくすには、どうしたらよいのでしょうか?
よくある「差別はやめよう」という啓発・教育事業には、明らかに限界があります。
特に近年急増している差別は、「うっかり口を滑らせる」タイプのものではなく、意図的に悪意を持って行われる差別だからです。たとえば、
・韓国人留学生に対して執拗に「韓国人は反日だ」などと言う
・電車のなかで外国語を話していると暴力をふるう/「朝鮮人帰れ」と言う
・女性専用車両に意図的に男性が乗車しハラスメントを行う
などです。
このような悪意あるタイプの差別をなくすには、ただ一つの方法しかありません。差別に声を上げること、です。差別を止めるには、差別ときちんと「闘う」必要があるのです。
そこでこのガイドブックは、「差別と闘う」ための、有効で安全な方法を紹介します。
▼差別を止めるカギは、被害者でないその場に居合わせる第三者の行動
そして差別に介入するうえで、特に被害者ではない、その場に居合わせた第三者がきちんと差別に反対できるかどうかが重要です。
なぜなら、実際に差別に直面した場合、被害者はひどく傷つき、何も言えなくなってしまうのが普通だからです。被害者が差別に反対するのは極めて難しいです。また、第三者が見て見ぬ振りをし、差別に反対しない場合、被害者は孤立してしまい、反対することはより一層困難になります。
だからこそ第三者が差別に反対することが必要です。第三者が差別に対し適切に行動し闘うことができれば、状況は全く異なります。被害者はエンパワーメントされ、一緒に抗議することができるかもしれません。また、仮に被害者が声をあげられなくても、差別は止めることができ、第二・第三の被害は防がれます。
ちなみに、これは海外ではいたって普通のことです。学生が差別を行えば、他の学生が大勢で抗議の声を上げます。加害者学生を皆で止めたり、被害者を皆で守ったり。また大学側に厳しい処分を求めたりします。
欧米では反差別NGOや大学が、第三者が差別に反対するためのガイドブックを作り、配布しています。それにより大学生は差別との闘い方、つまり第三者として差別に遭遇した場合どうすればいいか、を知っているのです。
しかし、日本にはそのようなガイドはほとんどありません。そこで私たちはこのようなガイドを作成し、欧米と同様に大学生が差別に反対できるようにしたいと考えています。
ちなみに、大学も差別にはオフィシャルに反対し、差別を行う学生がいた場合は厳しい対応を行います。
例えばアメリカのハーバード大学では2017年に人種差別的な発言をFacebookに投稿した入学予定者の入学を大学が取り消し、差別に反対するコメントを発表しています。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/06/05/harvard-rescinds-acceptances_n_16961300.html
このように「差別と闘う」ことは海外ではごくごく普通のことなのです。
▼差別に対処するため、差別を知ろう
ところで、「差別」とはなんでしょうか?
相手を下に見ること?
それとも、不平等な扱いをすること?
実は、この質問に自信を持って答えられる人は少ないのではないでしょうか?
それは一般の人も、大学生も同様です。
実は日本では、「差別への対処法」はさることながら、「差別とは何か」がそもそも曖昧なのです。大学の授業でも滅多に扱われません。
そして、差別の定義が曖昧であるために、差別を見ても差別と思えなかったり、どう対処して良いかわからなかったりします。
そこでこのガイドブックでは差別の定義についても盛り込みます。国際条約である人種差別撤廃条約に依拠し、グローバルスタンダードな反差別規範を、日本に普及させたいと考えています。
▼大学生以外も活用できる!
皆さんは、差別を目にしたことはありますか?
路上でのヘイトスピーチのデモは一度は遭遇したことがあるかもしれません。
しかし、差別はもっと身近な場所でも起きています。
大学に限らず、例えば電車の中や商業施設。生活の中のあらゆる場所で、差別は発生する可能性があります。痴漢などの性暴力犯罪は日常的に発生しており、最近では女性専用車用への乗り込みが問題となっています。
しかし、「差別かもしれない」と思っても直接止めるのは怖いし、どうやって止めていいかもわからない。また、差別かどうかわからなくて、躊躇してしまう。こうしたことは大学生に限らず誰しもが経験しているのではないでしょうか。
このパンフレットは大学生活において発生する差別事例を中心に据えながらも、普段の日常生活にも応用可能な内容にしていきます。大学生以外の方も、このパンフレットを一読すれば誰でも差別と闘うことができるようになります。
また、ガイドブックは完成次第、ホームページにて無料公開しますので、どなたでも自由に利用できるようになります。
<プロジェクトの目標>
このプロジェクトを通じて、「差別との闘い方」を広めたいと考えています。
差別はおかしい。おかしいことは、どうにかしよう。
そして、そのための方法をみんなで共有しよう。
とってもシンプルで、ふつうのことです。
大学生が自分たちの手で、自分たちの大学を変えて行けるように。
このガイドブックはその第一歩になるはずです。
そしてこのガイドブックをもとに、ワークショップやイベントを開催し、差別との闘い方を普及して行きます。
現時点で以下の大学で配布を予定しています。
・東京大学
・一橋大学
・東京外国語大学
・早稲田大学
・上智大学
・立教大学
・国際基督教大学
・法政大学
ほか多数予定
2018年6月頃をめどに配布し、今後さらに改訂を重ねて行きたいと考えています。
多くのご支援をいただければ、それだけ多くの大学に配布し、より多くの大学生に届けることができます!
▼資金の使い道
ガイドブックの制作、デザイン、印刷費用に充てさせていただきます。
また、ガイドブックの配布に必要となる本キャンペーン運営費に充てさせていただきます。
▼リターンについて
・3000円のリターン
①スタッフからのお礼メール
・5000円のリターン
①スタッフからのお礼メール
②当団体ホームページにサポーターとしてお名前掲載(希望する場合)
・10000円のリターン
①スタッフからのお礼メール
②当団体ホームページにてサポーターとしてお名前掲載(希望する場合)
③完成したガイドブックをお送りします(10部)
・50000円のリターン
10000円のリターンに加えて、
③完成したガイドブックをお送りします(100部)。
・100000円のリターン
10000円のリターンに加えて、
③完成したガイドブックの現物をお送りします(200部)。
・500000円のリターン
10000円のリターンに加えて、
本ガイドブックを用いた出張授業を実施いたします。
*2018年7月〜12月の期間中
*所要時間はご希望に応じて1時間〜2時間
*日時要相談
*首都圏以外の場合は交通費のご負担をお願いいたします。
最新の活動報告
もっと見る8月3日に一橋大学で『大学の差別・ハラスメントについて考える緊急シンポ』を開催します!
2019/07/28 22:14キャンペーンにご支援くださった皆様へこんにちは!反レイシズム情報センター(ARIC)です。昨年2018年に募集したキャンペーン「差別のない大学にするために、差別を止めるためのガイドブックを作りたい!」では、みなさまのご協力で、『キャンパス反差別ガイドブック』を作成し、都内の数多くの大学で配布することができました。応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。今回ARICでは、来たる8月3日の午後5時より、一橋大学で「大学の差別・ハラスメントについて考える緊急シンポ」を開催いたします。(サイトリンク:https://antiracism-info.com/2019/07/24/20190803/) 大学では数多くの差別・ハラスメントが放置され、そのため繰り返されてきました。他方で一橋大学のある国立市では、今年の 4月から「国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例(平和・人権条例)」が新しく施行されました。大学における差別・ハラスメントをこれ以上繰り返させないために、今回の国立市の新条例をどう活用すべきでしょうか。緊急イベントを企画しました。学生はもちろん、どなたも無料でご参加いただけます。ぜひお誘い合わせの上、ご来場ください。___________________________________________●日時:2019年8月3日午後5時~7時(予定)●場所:一橋大学東キャンパス国際研究館4階大教室(80名)●主催:反レイシズム情報センター(ARIC)●プログラム:第一部大学の教員による差別・ハラスメント被害について(梁英聖)国立市平和・人権条例の意義と一橋大学での差別事件について(上村和子)なぜ新自由主義改革を進める大学でハラスメントは放置されるのか?(河野真太郎)ビデオメッセージ「母校、一橋を想う~「シビア」とは何か?~」(常見陽平)第二部 パネルディスカッション[司会:隅田聡一郎(一橋大学大学院社会学研究科特任講師 )]●プロフィール上村和子(うえむら・かずこ)国立市議員。こぶしの会。2019年4月から新しく施行された国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例(平和・人権条例)制定に尽力。河野真太郎(こうの・しんたろう)専門は英文学、イギリスの文化と社会。専修大学法学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻博士課程単位取得満期退学。一橋大学准教授などを経て現職。著書に『〈田舎と都会〉の系譜学――二〇世紀イギリスと「文化」の地図』、『戦う姫、働く少女』。https://twitter.com/shintak400常見陽平(つねみ・ようへい)千葉商科大学専任講師。97年一橋大学商学部卒業、リクルート入社。玩具メーカー、人材コンサルティング会社を経て、2012年に独立。15年より現職。専攻は労働社会学。近著に『社畜上等! 会社で楽しく生きるには』(晶文社)など。https://twitter.com/yoheitsunemi梁英聖(りゃん・よんそん)反レイシズム情報センター(ARIC)代表。一橋大学言語社会研究科でレイシズムを研究。日本学術振興会特別研究員。著書に『日本型ヘイトスピーチとは何か』(影書房)、共著に『憎悪とフェイク』(大月書店)など。https://twitter.com/rysyrys もっと見る
12/15 反差別ガイドブック完成記念イベントを開催します!
2018/11/23 14:31こんにちは。反レイシズム情報センターです。今年4月から7月にかけて募集したキャンペーン「差別のない大学にするために、差別を止めるためのガイドブックを作りたい!」では、148人のパトロンの方にご協力いただき、目標額を超える1,121,000円を達成することができました。応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。そしてこのたび、募集終了から4ヶ月を経て、ついにARICキャンパス反差別ガイドブックが完成いたしました!大学における差別はもちろん、日常空間のどこでも・誰でも、目の前で差別が起きた時に安全かつ適切に対応できる方法をご紹介しています。ARICでは、完成記念イベントとしまして、来たる12月15日に『あなたならどうする?急増するキャンパスヘイトとフェイク—ARICキャンパス反差別ガイドブック完成記念イベント』を開催いたします。このガイドブックを作成している間も、大学での差別事件が大きく報道されました。東京医科大学入試の女性差別をはじめ、大学内でのセクハラ問題など、日本の大学の性差別的な体質はますます深刻になっています。また、急増するSNSでのデマやフェイクニュースにより、学生間でも特定の民族へのヘイトスピーチや差別問題が発生し、ARICへも通報が寄せられています。日々深刻化する性差別・民族差別は、もはや大学空間の中ですらも日常茶飯事です。急増するキャンパス内でのヘイトと蔓延するフェイクニュースに対して、大学生はどう対抗できるのでしょうか。ガイドブックの完成を記念して、ファクトチェックの第一人者であるジャーナリスト・古田大輔さんと、東京医科大学入試における女性差別問題に積極的に取り組む弁護士・板倉由実さんをゲストにお迎えし、一緒に考えます。ご来場の方には、完成したガイドブックを特典として差し上げます!学生はもちろん、どなたにも無料でご参加いただけます。ぜひお誘い合わせの上、ご来場ください!■企画概要タイトル:「あなたならどうする?急増するキャンパスヘイトとフェイク――ARICキャンパス反差別ガイドブック完成記念イベント」日付:2018年12月15日(土)時間:15:00~18:00会場:早稲田大学早稲田キャンパス14号館401教室登壇者:古田大輔氏(BuzzFeed Japan 創刊編集長)板倉由実弁護士(東京パブリック法律事務所)梁英聖(反レイシズム情報センター(ARIC)代表)主催:反レイシズム情報センター(ARIC)、共催:早稲田大学ジャーナリズム研究所連絡先:contact@antiracism-info.com(ARIC)参加費:無料■登壇者プロフィール古田大輔氏:BuzzFeed Japan創刊編集長。衆議院選挙や沖縄知事選挙などを通じ、フェイクニュースの検証と拡散防止を訴え、ファクトチェックの手法を広めている。朝日新聞社会部記者を経て、2015年よりBuzzFeed Japanで執筆・編集。政治、LGBTなど幅広い話題を取材し、SNSやメディアの責任について発信している。板倉由実氏:弁護士(東京パブリック法律事務所 外国人・国際部門所属)。外国人や女性の立場から労働事件や家事事件、入管手続を主に取り扱う。性差別・性暴力事件にも取り組む。共著に『事例で学ぶ司法におけるジェンダーバイアス』(明石書店)、『会社で起きている事の7割は法律違反』(朝日新書)、『現場で役立つ!外国人の雇用に関するトラブル予防Q&A』(労働調査会)。2018年東京医科大学入試での女性差別をきっかけに設立された「医学部入試における女性差別対策弁護団」で活躍中。梁英聖:一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程。反レイシズム情報センター(ARIC)代表。2016年12月影書房より『日本型ヘイトスピーチ――社会を破壊するレイシズムの登場―』を出版。在日コリアン3世として日本社会の反レイシズム運動に取り組み、レイシズムの研究活動に従事。 もっと見る
ヘイトスピーチを間近で見て(ARIC学生スタッフの声)
2018/06/24 09:26ーARICの学生ボランティアに、普段の活動への思いを聞きました。 *************** 私は日本生まれ、日本育ちの大学生です。これまでに差別と向き合う機会・差別について考えることはほとんどありませんでした。今でもはっきりと覚えていますが、高校生の頃、連日ニュース映像で盛んに「ヘイト・スピーチ」が取り上げられました。映像から流れてきた、特定の集団へ向けた「殺せ」「出ていけ」という叫びなどには、確かに強い不快感を覚えました。 でも、それだけでした。「ひどい」と思っても、何か行動を起こすことはありませんでした。周囲にこの問題に対して強い関心を示す人もいなかったし、近所でヘイト・デモもありませんでした。日本で起きているのに、遠い世界の話のように他人事として捉えていました。 それどころか最近まで、ニュースで小耳にはさんだ、「ヘイト・スピーチ対策法」が出来たことでだんだんと無くなっていくだろう、と思っていました。ヘイト・スピーチなんて、一部の変な人たちがやっているもので放っておけばいい、と。 しかし、先日ヘイト・デモを初めて見て、「何か行動しなければ」と痛感しました。 ある日曜日の午後、新宿でヘイト・デモが堂々と行われました。 デモが行われるコースに従い、過剰なほどの警察官が待機し、デモの参加者側をしっかりと守ります。デモ参加者は、デモをやめさせようとする人たち(カウンター)や一般市民の前で白昼堂々、差別的な言葉をちりばめたプラカードを持ち、楽しそうに叫び続けました。カウンターたちを楽しそうに罵倒し、通りすがりの人達を煽り、堂々と靖国通りに憎悪表現たっぷりの言葉を流し続けました。通りすがりの親子連れの家族や観光客と思われる外国人、一般の人達は不快な表情を浮かべました。その差別的表現の対象がたとえ自分ではなくても、良い気分には到底なれません。 最も衝撃を受けたのは、参加者の中に同じ年くらいの若者が先頭に立っていたことです。ヘイト・スピーチを扱った書籍によくあるような、「社会的にうまくいっていない、40代ほどのほんの一部だけがヘイト・デモに参加している」わけではないと思います。最近では、こうしたデモ参加者に若者が続々と増えているようです。もはや、「一部の変な奴ら」では済まなくなってきていると感じます。 月並みな表現かもしれませんが、ヘイト・スピーチは、ターゲットになる人はもちろん、それを聞くすべての人の心を壊すものだと、このデモから強く感じました。ヘイト・スピーチの標的になる人が、自律した生活を送れないほど打ちのめされます。アイデンティティに向かって「殺す」「出ていけ」などと叫ぶことは、「表現の自由」を悪用した脅迫です。 私たちは、日本で起きているこの大きな問題を、このまま「知らないフリ」し続けるのでしょうか?私達が今アクションを起こさない限り、憎悪を放置し、差別は助長され続けます。それが、今後大きなヘイト・クライムにつながる危険性もあります。 ヘイト・スピーチで注目されるのは在日コリアンのことです。しかし現状は、日本にやって来る留学生が外国人差別の対象になり、事件に巻き込まれる可能性も高まっています。実際にARICには、「電車の中、母語で話していたら、突然腕をつかまれ蹴られた」などの、留学生からの被害相談が寄せられています。 私たちはヘイト・スピーチに限らず、「差別に向き合ったとき、どうするのか?」について取り組んでいます。 ぜひ私達とともに、差別とたたかいましょう。 M.T. *************** もっと見る
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