広島、長崎、第5福竜丸の被爆者の平均年齢が80歳を超え、伝承が危ぶまれる中、若い世代に核兵器の無い世界の希望を知ってもらうため『原爆の図第10部《署名》を見よう』は高校生以下の入場を無料にいたしました。ただし3月9日(土)の川崎哲さん講演《原水禁署名運動から核兵器禁止条約へ》は入場者数が限られていますので、3月5日までに、氏名、住所、電話番号、年齢を明記の上、ホームページの予約フォーム [ https://peace-suginami.org/application/ ] か Email: suginami.peace@gmail.com または FAX. 03-6762-3515で申し込んでください。※保護者同伴の場合も必ずご予約下さい。※一般の方の入場券も同様に上記受付先よりお申し込みいただけます。※イベントについては https://wp.me/pa7poF-gj をご覧ください。
実行委員会のひとりで杉並区民の權田菜美といいます。普段は、ダンサーをしていて、ストレッチや踊りを教えたり、踊ったりしています。丸木夫妻の絵のパワーに魅せられたこと、憧れていた杉並区に引っ越してきたばかりなので、地域の人びとの活動に参加したいという気持ちでこの活動を手伝っています。ただいま、リターン用「実行委員会オリジナル木版画」の作成が佳境に入っています。この版画は、ご覧のように明るい多色刷りの作品です。モチーフは、ヒロシマ・ナガサキを想起させる折り鶴や水爆実験のキノコ雲、そして第五福竜丸、署名運動をする人びとなどで、時代を過去から今に繋ぐ素朴であたたかな作品です。下絵を、井桁裕子さん、版木の彫り作業と刷り作業を上岡誠二さん、実行委員会のふたりが行いました。まるで江戸時代の浮世絵のような分業で一枚一枚手作業で作り上げられています。しかしこれが、大変に、大げさでなく、とても手間暇がかかります。下絵を描くのに、数日間。多色刷りの作品なので、版は7版もあります。刷り作業は1枚仕上げるのにつき、14回にもわたります。道具も、彫刻刀やバレンだけではなく、専用の筆、刷毛、水のり、絵の具に墨汁と多種にわたって必要です。また紙は、水で含ませたボール紙に挟んでおき、均一に湿らせるなど、細やかな下準備が必要とされます。私も少しだけ刷り作業を手伝いましたが、集中力と根気が必要でした。1色刷るのも、大仕事なのですが、何版も重ねる刷り作業は、手作りの版木と紙の調整が崩れたら、絵がズレて作品としては成立しません。濃度を調整しながら色を作り、版木に水のりを乗せ、絵の具を乗せ、ブラシで木目に馴染ませます。色のぼかしを入れるところは、さらに版に筆で水を軽く含ませます。そして、基本に習って紙を両手で挟み持ち、慎重に慎重に、版木の角を合わせて紙を載せ、バレンで満遍なく圧をかけていきます。刷りムラがあってもいけませんし、やり直しが効きませんから、ひとつひとつの作業に緊張が走ります。また、絵の具の濃度、版木への染み込ませ具合、水のりの量、ほんの数滴の誤差で、色の濃淡だけでなく、ベタやゴマ刷りのような色むらや版木の木目を活かす刷り上がりの質感も変わっています。このような丁寧で細やかな手間や時間がかけられ、今回の版画は作りあげられています。多くの方に画面越しのデジタルでなくて、手にとって見てほしいなと思っています。私は、そして実行委員会のメンバーもこの絵に描かれている女性や子どもたち、黒く影になっている誰かのように、名も無き一市民です。原発や原爆で犠牲になる人びともまた同じ。歴史の教科書には名前はほとんど出てきません。ニュースでも「○名の犠牲者が」としか伝えられず、一人ひとりの名前を知り、その人を知る機会は少ないでしょう。私は名前を知りません。だけれども、いつでもそのような名も知らぬ「誰か」が歴史を創り、変えてきたのだと思います。そしてそれは、この版画づくりのように、手間や時間がかかるものだと思います。署名の一筆、版画の一彫り、バレンの一振り、、、行為は違えど、このようなひとりひとりの行為が、歴史を作るのだと信じています。
先日、展示資料とパネル作成のリサーチに『原水禁署名運動の誕生』の著者、丸浜江里子さんのご自宅に伺い、丸浜さんが生前に集められた書籍や実物資料、当時の署名活動に関わった方々の聴き取りテープやメモなどの貴重な資料を拝見してきました。その一部をお借りして、実物資料は展示し、書籍は「丸浜文庫」として手にとって読むことができるように計画しています。
「原爆の図第10部《署名》を見よう」のポスターとチラシは人形作家でイラストレーター/デザイナーの井桁裕子さんにデザインしていただきました。ポスターは原爆の図《署名》の部分を使ったものと、クラウドファンディングのリターン品にもしている木版画を使ったふたつのデザイン、木版画の原画も描いています。彼女のデッサン力と制作への姿勢は、原爆の図を描いた丸木俊さんを思い起こすもので、その人形作品は原爆の図にも通じるものがあります。人形作家として現時点での代表作ともいえる≪片脚で立つ森田かずよの肖像≫について、TBS「報道特集」キャスター 金平茂紀さんのエッセイを見つけましたのでご紹介します。「・・・キズを直視するまなざしから愛が生まれる経験などそれほど多くあるわけではない。・・・敢えてこういう言葉を使うのは怖気づくのだけれど、聖なる美しさを放っていた、と僕は思う。」金平茂紀「井桁裕子展をみて~片脚で屹立する意志の美しさ」http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/53213445.html井桁さんの個展などの案内は、ご本人のTwitterでご確認ください。https://twitter.com/wlewo_wprawo
昨年末に「原爆の図第10部《署名》を見よう」のチラシを10,000枚印刷したのですが、残りわずかとなり、新たに5000枚増刷しました。枚数の必要な方はホームページのチラシのページからお申し込みください。PDFデータ(A4 おもて+うら)もダウンロードできます。「原爆の図第10部《署名》を見よう」チラシ https://wp.me/Pa7poF-fc