長らく更新が滞ってしまい申し訳ありません。
本日、記事の文脈をテキストブロックで埋め込めるツール「NewsChain」を開発したオランダのジャーナリストJolien van de Griendtさんにインタビューしました。
Jolien氏「社会をより良い場所にするには、人々が『今世の中に何が起きているか』を信頼に足る情報や知識から理解し、意思決定を下していく必要があります。
誰もが叫んでいるような状況のなかで、社会で起きている事象を、文脈や背景も含めて理解するのは、より困難になっている。だからこそ、可能な限りNewsChainをやり続けたい。そう考えているんです」
https://unleashmag.com/2020/11/09/newschain/
インタビュー中に連想したのは、ジェフ・ジャービスが『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか』のなかで述べた、ジャーナリストは単なる「コンテンツクリエイター」ではなくなっていくという主張でした。
彼は、インターネットで個人が情報が送り手にもなれる時代、情報過多の時代に、ジャーナリストは従来のように「マスに向けて記事を書く」だけでは、高い価値を発揮できないと述べていました。
もちろん、ジャーナリストが価値を発揮できなくなるかというと、決してそうではなく。ジャービス氏は、記事を書く以外にも、データを整理する、ツールを開発する、イベントを開催するなど、ジャーナリストは多様な手段によって、「コミュニティが知識を広げ、整理する」のに貢献できると強調していました。
Jolien氏は、まさに「読者にとってニュースをアクセシブル(より手に届きやすいもの、アクセスしやすいもの)にするため」に、記事を書く代わりに、ツールを開発しました。その取り組みは、まさにデジタル時代にジャーナリストが果たし得る役割の広がりを示しているように思います。
また、米国のメディアスタートアップのような急成長を目指すわけではなく、信念に沿ってプロダクトを地道に育てていく。いわば“ジャーナリズム領域のスモールビジネス”といえるようなプレイヤーが多くいるのは、オランダのメディア業界の良さなのではないかと、取材を重ねるなかで強く感じています。 (以前取材をしたSVDJのように。彼らをサポートする公共団体がいる点も興味深いです)
引き続き随時更新していけたらと思います。