『て、わたし』は、国内外の詩人の詩を、紹介する詩誌です。
映画『パターソン』の中で、「翻訳された詩は、レインコートを着てシャワーを浴びるようなものだ」と翻訳詩のもどかしさを揶揄した台詞があります。わたしも、少なからずその思いがありましたが。。。
『て、わたし』で紹介される海外詩は、その思いを吹っ飛ばしてくれます。ここには、今まで知らなかった、そして、今を生きる海外の生の詩人の生の声が載っています。
翻訳なのに、びんびん声が届いてくるのです。
その理由がわたしには、まだ正直わかりません。
ただ、『て、わたし』を読めば翻訳詩も母国語詩も、その境界をとっぱらってしまって、同じ地平で詩が届くのです。あら不思議、というか。摩訶不思議なせかいが、ここにあります。
掲載される詩が、どれもこれも素晴らしいのです!目から鱗な感じ。
今まで読んだ海外詩はなんだったのだろうと思うぐらいです。
異国の詩が、日本の詩人の詩のように読めて、日本のよく知った詩人の詩が、なんと異国の詩人の詩のように、読める。な、なにがおこってるんだ!?海外の詩人と日本の詩人が、対バンで掲載されるそこにマジックが仕掛けられているかもしれませんが。
詩誌というと、おもにテキスト系の詩人ばかりでしたが、この『て、わたし』は、違います。
スポークンワーズやラップやライブで活躍中の詩人たちもちゃんと取り上げていること。そこが、今までの詩誌の殻を破った、うれしいところです。
こんな、詩誌を他でわたしは読んでことがありません。
ひょっとしたら、よくもわるくも、詩が若いせいかもしれません(笑)。あの誰もが感じた若い頃のとてつもない輝きを、『て、わたし』は持っているのです。そんな気がします。そして、いや待てよ。もともと「詩って心の若さのこと」だったんじゃないか?ともういちど思い直したりしています。。
今回の、ラインナップもハンパないです。中国の詩人の余秀華、の名を見た時はわたしは二度見して飛び上がりました。何を隠そう「中国の大半を横切ってあなたを寝に行く」の詩を見つけたときは、あまりの衝撃に震え上がった詩人です。これだ、これがまっすぐに詩だと(*彼女が脳性麻痺の詩人とか貧しい農民だとか…背景を知る前にです!!)。そして、詩が奇跡を起こしていると――。そこに、前橋の彗星、荒木田慧を対バンさせて…よい仕事をさせている。
それも序の口といわんばかりの、ラインナップの「て、わたし6号」がでました。
そしてわたし、宮尾の詩も連載がはじまりました。
誰に言われるまでもなく。。どこにも「収まりの悪い」詩を書く(笑)、わたしの連載を踏み切ってくれた山口編集長の勇気にも感謝を。(*どこにも「収まりが悪い」から詩を書きはじめたんだい。てやんでえ…なんてお行儀のわるいことばは決してくちにしますまい。)
ありがとうございます!
さて、その初売りが5月6日(月/振替休日)「文学フリマ東京(会場:東京流通センター)」にて行われます。どうぞお手にとってみてください。「て、わたし」のブースは「オー40」です。詩誌や、文芸誌や、おしゃれなZin、手作り本、豆本、業界誌や、趣味の本、評論など、やたくさんの本のマーケットです。フードコートも充実です。
どうぞ、いらしてください。*わたしも、お昼ぐらいにちょこっと顔を出す予定です。
*会場はこちらです。