▼ごあいさつ
2020年度から小学校からのプログラミング教育の必修化が行なわれることになりました。ですが、現状において予定され、またプログラミング教室で行なわれているプログラムの確認方法は、書いたプログラムが動けばいい (あるいは、動くことで確認する) という立場を取っています。
では、プログラミングができるということはどのような状態を指すのでしょうか? ここでは、「デザイン」-「コーディング」-「検証」という3つの要素を考え、とくに「デザイン」に重点を置き、その部分を理解し活用できることが、プログラミングができるという状態であると考えます。
このような考え方に立つと、それはもはやプログラミングではなくコンピューティングの課題となります。
そこで、「プログラムが動くことでその正しさを確認する」のではなく、「動くことを論理的に証明する/検証する」という立場から、コンピューティングの考え方をアンプラグドな(コンピューターを使わない)環境で学ぶ講習会を2017年から運営しています。
今回は、講習会への参加人数が安定して来たことと、わずかながらですが参加者が増加傾向にあることから、この講習会の規模拡大を図りたいと考え、クラウドファンディングに取り組むこととしました。皆さまのご支援・応援をよろしくお願いいたします。
本プロジェクトは、活動の継続および規模の拡大に対してのご支援のお願いです。そのようなご支援へのお礼として、支援していただいた方に活用していただける、活動で用いている課題についてのテキストと指導用資料の改訂版などをリターンに設定しています。
▼アンプラグド・プログラミング・パーティ@大月と活動の拡大
2017年から開催しているアンプラグド・プログラミング・パーティ@大月では、コンピュータをできるだけ使わずに、上記のような理念のもと、データ構造やアナログ・コンピューティングも積極的に課題に取り入れています。
また、講義形式ではなく参加者による体験学習を主な形態とし、コンピューティングにおける考え方などを体験・理解してもらえるようにしています。
アンプラグド・プログラミング・パーティ@大月は、原則として各月の第一土曜日に、大月市 市立図書館の一室で開催しており、対象は小学生〜大人(保護者や教員)まで幅広く設定しており、また参加していただいています。参加者もだいたい安定し、かつゆるやかではありますが増加傾向にあります。そこでより多くの方に講習を受けていただけるように開催規模を拡大したいと考えています。
皆さまにご支援いただきこのプロジェクトが成立しましたら、皆さまからのご支援がこちらに届くのに先行して今年7月より1年間、開催場所を市民会館に移し、私以外にアシスタントも増員して運営していきたいと考えています。
また、これまでも講習のためのテキストはアンプラグド・プログラミング・パーティ@大月のメンバー (2019年 4月 2日現在、4名) が作成し、メンバーが相互に確認や修正をしています。それらを元に、コンピュータを使わずとも深くコンピューティングについて理解するためのテキストおよび指導用資料をまとめ、発表することも計画しています。内容の充実のために、講習会の内容からのフィードバックも積極的に取り入れ、この1年で改訂したいと考えています。
▼デザインとはなにか
「▼ごあいさつ」にて、「デザイン」-「コーディング」-「検証」という考え方を紹介しました。
コンピューティングについての基礎的な部分としては、手順 (≒ Logic)、制御構造 (≒ Control)、データ構造 (=Data Structure)があるかと思います。
この手順とデータ構造について検討することを、ここではデザインと呼んでいます。もちろんこれらはコーディングにも関わってきますが、まずはデザインにおいて充分に検討、分析することに慣れることが、コンピューティングを習得するために不可欠だと考えています。
しかし、多くのコンピューティング教育、おそらくは正確にはプログラミング教育 (プログラミング教室によるものを含む) ではデータ構造についてはあまりに軽視されています。またデザインとコーディングの関係も、やはりあまりにも軽視されています。
手順と制御構造を合わせてアルゴリズムと呼ぶなら、データ構造とアルゴリズムは不可分の関係にあります。「動いたことでよしとする」という立場は、コンピューティング教育の半分も実施していないと言えるでしょう。
▼コンピューティングについて
プログラミングではなくコンピューティングという言葉を使っている別の理由も説明させていただきます。
計算とは、デジタルに限ったものではありません。この30年ほどの資料を読み返し、講習会用のテキストを作成する過程において、計算について理解するために重要なコンピューティングそのものについての知見の多くが現在においては失なわれていることがわかりました。また、それを補助するアナログ・コンピューティング、そしてその他の多くの知見もその多くが失なわれています。
それらは技術の発達によって不要になったのではなく、ただ忘れさられたにすぎません。厳しい言い方をするなら、現在においてプログラミング教育を行なっている個人や団体が、それらを知らないだけであるということです。
アンプラグド・プログラミング・パーティ@大月ではそのような知見をあらためて示し、同時にそれらの知見も用いて講習会を行なっています。
▼コンピューターを使わない環境で楽しくプログラミングを学んでもらうために
「コンピュータを使わずに」と言っても、先に述べたアナログ・コンピューティングも含めて、小道具をなにも用いないわけではありません。
目的とルールが明確なパズルやゲームを使い、その解き方にいくつかの考え方があること、そしてそのためにはいくつかのデータの表わし方があることを体験します。
また、既存のパズルやゲームに限らず、独自に作成した小道具も用い、より深い理解を促すことができるような体験を提供します。
それらの結果として、参加者自身が楽しんで理解できる講習の実施、およびテキストと資料の改訂を行ないます。
▼講習会で用いるパズルやゲームの例
◎迷路を解いてみよう(仮題)
迷路を題材にし問題を解いてみる。また、ここでは、配列、および木構造、グラフを紹介する。
また、アナログ・コンピューティングの例を挙げます。この場合、迷路の入口と出口、分岐点にタグを付け、経路を紐で現しています。これにより、木構造というデータ構造で迷路が表現できること、また入口を出口の箇所を持って引っぱれば一瞬にして経路の計算ができることなどを示します。
◎パズルを解いてみよう(仮題)
繋がるネットワーク。グラフ理論の簡単な話。
◎シミュレーション (仮題)
コンピュータによるシミュレーション、数値計算について学ぶ。
▼より良い講習会とテキストの改訂を目指して
ここでは、本クラウド・ファンディングを「本プロジェクト」、以前より開催しておりさらに本プロジェクトへのご支援を受けて行なう活動を「本企画」と呼びます。
本プロジェクトが成功しましたら、本企画に続く第二弾、第三弾のプロジェクトおよびそれらへのご支援による講習会の実行などへと成果をフィードバックしていく予定です。その際には、課題そのものについても、本企画の1年では収まらなかったものも行なうなど、コンピューティングとしての課題を拡充していきたいと考えています。
本企画においては講習会の結果としてテキストと指導用資料の改訂版を作成いたしますが、それらも第二版、第三版と拡充し、また配布数も増やしていきたいと考えています。
また、テキストと指導用資料には掲載できませんが、講習会の様子の動画をなんらかの方法で公開したいとも考えています。この1年の中でも、その動画あるいは内容へのご意見を参考に、内容の改善を行なっていきたいと考えています。
皆さまのご支援・応援をよろしくお願いいたします。
▼リターンについて
本プロジェクトにご支援いただいた方へのリターンは何回かに分けて提供させていただきます。
用意している課題 (案) のリスト:
2019年 7月中に電磁データとしてお送りします。
なお、このデータのネットワークへのアップロードはメールも含めて禁止させていただきます。ただし、職場でのご支援いただいた方が属する部署や、ご支援いただいた方が属するなんらかのグループ内のメンバーに対しての紙媒体でのプリント・アウトあるいはコピーによる配布は認めます。
児童・生徒用テキスト、指導用資料の電磁データ (一部あるいは全体):
対象となるご支援をいただいた方に、2020年 6月中に電磁データとしてお送りします。
2019年 7月から 2020年 6月までに行なう講習会の内容および参加者からの反応を含めて、現在使用しているものの改訂版をお送りします。
なお、このデータの一部あるいは全体のネットワークへのアップロードはメールも含めて禁止させていただきます。ただし、職場でのご支援いただいた方が属する部署や、ご支援いただいた方が属するなんらかのグループ内のメンバーに対しての紙媒体でのプリント・アウトあるいはコピーによる配布は認めます。
ご支援いただいた企業・団体・個人のお名前およびロゴ:
対象となるご支援をいただいた方に、これらを児童・生徒用テキスト、指導用資料に挿入し、2020年 6月中に電磁データとしてお送りします。
支援時、必ず備考欄にご希望のお名前をご記入ください。記入のない場合はCAMPFIREのユーザー名を掲載いたします。ご了承ください。
講演など:
対象となるご支援をいただいた方ごとに、2019年 7月から 2020年 6月までの間にご支援額に応じて最大で1回から4回行ないます。日程はご支援いただいた方との打ち合わせにより決めさせていただきます。
講演の内容は次のようになります:
・講習会そのものについて (運営など)
・講習会での基本的な理念などについて
・講習会の課題 (課題案を含む) の紹介・説明
・講習会の内容の実演・実習
・その他 (ご支援いただいた方との打ち合わせにより決めさせていただきます)
このような内容について2時間 〜 4 時間の講演を行なわせていただきます。 具体的な時間は、ご支援いただいた方との打ち合わせにより決めさせていただきます。
また、1回の講演への参加人数に制限は設けません。
なお、ご支援いただいた方からの依頼による講演においては、講演そのものの費用は無料といたしますが、交通費、宿泊費を含む滞在費、資料の印刷費という実費は別途請求させていただきます。
▼資金の使い途
プロジェクトが成功した場合、皆さまからのご支援がこちらに届くのに先行して、2019年 7月 1日から2020年 6月 30日までのアンプラグド・プログラミング・パーティ@大月の運営費として大切に活用させていただきます。
ご支援いただいた資金の使い途は以下のように計画しています。ぜひご支援よろしくお願いいたします。
手数料および税込み: 1,420,320円
購入費などの合計: 1,200,000円
- 会場費: 15,600円
1,300円 x 12回 = 15,600円
- アシスタントの人件費: 192,000円
1,000円 x 8時間 x 2人 x 12回 = 192,000円
事前ミーティング x 2時間
講習会アシスタント x 4時間
事後ミーティング x 2時間
事後ミーティングでは、講習会についてと参加者についの聞き取りと集計を行ないます。
- 小道具の購入費: 36,000円
教材用のトランプ、パズル、ゲーム、小道具などの購入費:
3,000円 x 3個 (参加者2 〜 4人で1個使うとして)
x 4種類 = 36,000円
4種類のパズルやゲームから3個を目途に、教材に反映するものを選びます。
- 小道具の制作費: 90,000円
10,000円 x 3個 (参加者2 〜 4人で1個使うとして)
3種類 = 9,000円
講習で用いるデモや説明用の独自の小道具の制作の外注。
1個1個は小さいものの個数が必要なものも含む。
- 参考資料購入費: 30,000円
- テキストおよび指導用資料作成用PCおよびディスプレイ購入費: 780,000円
PC: 300,000円
講習会の動画をなんらかの方法で公開したいと考えています。
そのために必要な性能のものを購入予定です。
ディスプレイ: 100,000円
画素の高速書き換えなどを行なわずに 40万色程度以上の表示が可能なもの。
動画編集でのチラツキなどを低減するため。
外部記憶装置およびバックアップ装置: 150,000円
75,000円 x 2個 = 150,000円
動画の編集時の様々なバージョンを保存できるもの、およびバックアップ装置。
プリンタ: 50,000円
安定化電源: 100,000円
電圧変動によるPCなの動作の異常を抑えるため。
冷却機器: 80,000円
比較的大型のペルチェ素子による冷却装置を想定。
以上: 300,000円 + 100,000円 + 150,000円 + 50,000円 + 100,000円 + 80,000円 = 780,000円
- 雑費および予備費: 56,400円
- CAMPFIRE手数料 + 税:
上記合計: 1,200,000円
上記合計より: 204,000円 (17%) * 1.08 (8%) = 220,320円
▼最後に
ぜひ、ご支援をお願いいたします。
最新の活動報告
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2019/06/09 11:11「コンピュータを使わない、コンピュータとプログラミング入門 #23」では、「コンピュータを使わない」という条件を一回外し、gforthを使ってプログラミングを体験してみようと思います。gforthに限らずforthでは1ワード (関数のようなもの) の定義を小さく、ワードを積み上げてプログラムを作るという方針が推奨され、やりやすくなっています。よくある手続き型の言語や、あるいはScratchに比べるとクセがある言語ですが、入り口のところはとくに難しくなく扱いやすい言語だと思います。gforthではなくmind for Androidというものもあります。言語としては、そこにあるmindです。これも通信環境があればスマートフォン、タブレットだけで使えるのですが、使えるようにするまでがちょっとわかりにくいので、今回は避けてみました。gforthだとやっぱり無理ということになれば、次々回はmind for androidを試してみることを検討しています。mind for androidの準備が面倒というのは、ある意味ログインが3回必要と言えるような環境なので、登録や実行の準備が…というところです。その他、gforthの場合でも使っても構わないのですが、mind for Androidだとエディタも別に必須という準備も必要だったりします。そのあたりを考えて、今回はgforthにしました。何事も経験してみるという段階です。 もっと見る
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2019/05/21 06:35コンピュータを使わない、コンピュータとプログラミング入門 #22を開催します。詳細は上記ポスターよりご確認ください。 もっと見る
プログラミングに理屈は必要か
2019/04/23 14:46文部科学省および業界団体の資料を読む限り、理屈よりも実践が優先されているようです。おそらくScratchが導入されるだろうこともあり、それはなおさら顕著なものとなっています。そこで、というわけでもありませんが、これまでに書いたプログラミング教育についての各種記事へのリンクを挙げたいと思います。いまさらVR、ARと騒ぐなプログラミング学習の助けになるか?背後にあるコンピュータ・サイエンス古いけど基本かもしれないプログラミング本あまりに的確な微妙さ小中高生へのプログラミング教育FORTHというプログラミング言語プログラミング教育に向く言語sedで引き算 (超簡略版)sedで足し算(超簡略版)sedで掛け算(超簡略版)sedでバブルソート (超簡略版)数当てゲームなぜアンプラグドなのか、なぜパズルやゲームなのかプログラミングを通して教科を学ぶ試行錯誤Logic + Control + Data Structure = Program児童・生徒にプログラミング教育は必要なのかプログラミングをはじめて学ぶのに最適な言語はなにか再考小中学校でのプログラミング教育に(個人的に)望むこと小中学校でのプログラミング教育について思うことプログラミングをはじめて学ぶのに最適な言語はなにか計算ってなんだ?DNAコンピュテーション計算は自然か?たぶん以上です。よろしければお読みいただき、可能ならご支援をいただければと思います。 もっと見る
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