シェイクスピア・カンパニーの渡邉欣嗣(きんじ)です。
いつもお世話になっております。
新人と呼ばれた頃から10年経ちましたが、どうにも新人感が抜けない未熟者です。
今年、シェイクスピア・カンパニーはロンドンで公演をします。
シェイクスピアに触れて来た者としては、ロンドンは極めて感動的な所です。
きっと。
幸か不幸か、私にとって初めての海外となります。
素直に嬉しい思いと、漠然とした不安、緊張に苛まれています。
それはただひたすらに明るい未来ではないものの、陰りがありつつもおそらく明るいに違いないというような、期待と不安が入り混じった、幼い頃によく感じた気持ちに近いものがあります。
どうにもワクワクとしながら、ドキドキもする毎日、長いような短いような一日が積み重ねられていく感じ、まるで沖を漂っているような、何か大きな流れに身を任せているような感覚です。
…伝わりますでしょうか。
こうした気持ちの中、やはり焦りもあり、役者みんなが揃わなくとも稽古をしようという姿勢は自然と生まれてきます。
今回の稽古はオセロ(水戸貴文)とイヤゴー(犾守勇)、そして私という男三昧の稽古でした。
私はキャシオーの役で参加しています。
『アイヌ オセロ』は昨年からスタートし、仙台公演、東京公演、札幌公演を経て、この度ロンドンで公演することになりました。
昨年の3会場では私は脚本と制作で関わっていたのが、何の因果か、今キャシオーという役に向き合っています。
久々の役者、やはり楽しいものがあります。
難しいからこそ楽しい、そんな言葉にしにくくも純粋な感情が湧き上がるのを感じます。
今回はアイヌのメンバー(舞踊集団ピリカップ)も同じ舞台に立つということで、存在感で負けてしまわないように一分一秒をキャシオーと過ごしています。
男三昧の稽古、集中と倦怠を繰り返しながら精度が上がっていく感じはまさに男だけの稽古場らしさ。
稽古後は近くの安居酒屋へ。
生ビールとハイボールとジンジャエール、肴はもちろん『アイヌ オセロ』と『オセロ』(原作)。
稽古場以外で芝居のことを考え語る、これが役者というものなのでしょう。
翌朝目が覚めた頃には前夜の激論はすっかり忘れていることもありますが、もとい殆どそうですが、この刹那的な情熱が病み付きであったりします。
焦りつつもロンドンの地を踏めること、その地の舞台に立てることの喜びを共有した稽古でした。
*「男三昧」について、男性役者がもう一人おりましたので、完全版の男三昧は乞うご期待、ください!
自分が今このプロジェクトに関わっていることに誇りと自信を持って、ロンドンでの公演に励みたいと思います。
みなさま、応援、よろしくお願いいたします。