DREAM-Hackの谷口です。
6月にネパールを訪れた際に、ネパールとインドの国境のスノウリ国境と呼ばれる場所に訪れました。
ネパールとインドの国境は「オープン・ボーダー」というネパール・インド人は旅券がなくても通行が可能なシステムをとっています。そのため、両国民は入国管理事務所での出入国手続きを行う必要がなく,IDのみで自由に出入りできます。
そして、このオープンボーダーという仕組みが簡単にネパールからインドへ人が流れてしまう原因の一つでもあります。
そして、今年の6月の渡航で、そのオープンボーダーである、スノウリ国境付近で人身売買の取り締まりを行うネパール警察の方にお話を伺いしました。
その方によると、近年人身売買の被害は減少しているものの、被害の手口は多様化していると言います。
以前は、インドのビッグシティやバングラデシュ、パキスタンに売られることが多かったそうですが、現在ブローカーたちは、ヨーロッパ諸国、特にポルトガルや、スペインなどでよりよい生活ができる。また、そこで働き、よりお金を稼げると言って、だますことが多いそうです。
そして、ネパールの人々をインドへ連れ出します。
ですがなぜ、他国に行くために一度インドに入国するのでしょうか。
それは、カトマンズではスペインやポルトガルなど、いくつかのヨーロッパ諸国の大使館がなく、行ける国の選択肢が少なくのです。それに反して、インドの大都市ではヨーロッパ諸国の大使館があり、VISAをとることができます。そのため、ネパール人はインドに行けば、VISAを取得でき、ヨーロッパ、つまり海外での生活ができると思っているのです。
これから、性的搾取、強制労働の被害に遭うことは疑わないのでしょう。
売られていくのは女性だけではないそうです。
男性や子供も強制労働などの人身売買の被害者となっています。
そして、インドの国境を超えてしまうと、見つけるのはかなり難しいそうです。
アフリカや中東への出稼ぎとして売られてしまう人もいます。
ですが一番多い被害として挙げられるのは、インドの売春宿で、性労働を強要させられる女性たちです。
そのため、警察の方は、このオープンボーダーでネパールからインドへ行く人の聞き取り調査を行っており、事前に人身売買の被害を食い止める活動をしています。
一番、気を付けているのは、ネパール カトマンズからインド ニューデリー行のバスだそうです。車を止めて特に女性はバスから降りてもらって聞き取りをします。「どこから来たか」「何しにくのか」「インドに行くことを親は知っているのか」など、様々な質問をし、怪しいと思ったら、親の元へ帰すそうです。親との連絡が取れない場合は、警察もしくはNGO団体が一時的に保護しているそうです。
ですが、朝6時から、22時までの間に、1日に1万人以上の人がこの国境を渡ります。そして、800台以上の車両が通されます。
うまく警察から逃げることができる人も多いのでしょう。
実際に、私たちは事務所ではいなくなった人の写真が貼られているのを見ました。
少年、少女、若い女性から中年の女性、また男性までの写真もありました。
そして何より、本当にたくさんの人々が自由に国境を行き来していました。
あの光景を見た時、自分が無力に思えました。
自分には、この現状に対して何もできることはないのではないか。
たしかに、この現状に対して椿プロジェクトは、何かの解決になっているわけではありません。ですが、小さな範囲で、性的被害に、また人身売買の被害に遭った女性たちに「サリー」を提供し、特別な一日を作ることで、彼女たちの世界は変えることができるかもしれません。
そして、より多くの人とより良い世界を作るために、この現状をより多くの人に知ってもらうこと。そのために発信し続けること。
それが、いま、私たちにできる最大限の力です。
この記事を読んでくださった方、どうか「拡散」してください。
彼女たちにとって、より良い世界を作るために。