本日はリターンのブックカバーについての打ち合わせをしました。
写真の中の素材は10月の撮影で改めて集めてくるのでお楽しみを!
ここで、前回我々が作ったブックカバーの紹介です!
↑写真は一般の文庫本に僕らの作ったブックカバーを巻いたものです。
前回のanoの旗揚げ演劇公演『いたす』を行った時の公演の当日パンフレットをこのような形でブックカバーにしました!
↑そして当日パンフレットなので、裏面にも作品への解説や情報がびっしりです!
なぜブックカバーを作ったか。
まず旗揚げ公演を打つにあたり一番考えたことは、自分たちが演劇を観にいった時のことを考えました。そして最もこだわったことは観劇中の作品の中身より(もちろん作品も妥協せずに制作しました)、観劇が終わり作品を見た後その作品がいかに鑑賞した人の日常につながっていくかということでした。これはうまく言葉では表現できないのですが、僕たちの間ではこれを「読後感」と呼んでいました。コーヒーを飲んだ後の後味を楽しむあのまったりした時間に近いのかもしれません。
そこで、その読後感を最大限に楽しめるために何か工夫できないかと考えたのが「当日パンフレットにこだわる」ということでした。僕たちがいつも映画や舞台を見た時のチケットの半券やパンフレットって帰りがけに駅のゴミ箱に捨てたり、ポケットの中に入れてしまったのを忘れて洗濯した後にボロボロになって出てきて気付く、みたいなことが多いねという話になりました。そこで、せっかくお金と資源をかけて作るのだから無駄なゴミにしないようにしたいと、フライヤーをデザインしてくれたデザイナーのカネコモネさんに無茶な相談をしたことがきっかけでした!
身近なものに組み込むことで日常生活と地続きに問題を可視化する
そこでモネさんの中から飛び出てきたアイディアがブックカバーでした。当日パンフレットを平面ではなくブックカバーという立体的なものに変化させる固定概念を壊すその発想力には、僕らも正直驚かされました。しかし、このアイディアは一度の上演が終わると二度と形に残らず再現ができない(再演という形はまた別ですが)演劇というメディアを使っている僕らにとってうってつけでした。そこから3人でブックカバーに載せる文章やデザインを考えていきました。
演劇は再現にはあまり向かないメディアですが、このように本棚に並べておき別の本を取るときに時についでに手に取ると、当時の記憶が少し蘇る装置となっています。これも、演劇の枠を飛び越えた上演しない演劇作品なのかもしれません。
この「ふとしたときに蘇る記憶」は今回の作品にも生かすことができるのではないか? と思いリターンの1つに組み込まさせていただきました。確かに今回は演劇作品ではなく映像作品なので作品をそのまま残すことができます。しかし、人は忘れる生き物です。それは、テレビやネットなどのメディアを見ても顕著です。どんどん被災地の情報や露出は減り、今や自分からアクセスしないとほぼあの震災のことに触れる機会はありません。そこでこの「日常のふとしたときに思い出す忘れていた記憶」というものが大切なのではないか? と思ったのです。これも、長い時間をかけ被災地と向き合いたいという僕らのスタンスを表現する手段の1つになればと思います。
少しでも支援していただいた方の楽しみになればと、リターンも精一杯がんばって制作していきますので引き続き応援よろしくお願いします!