2016年7月1日、全村避難から5年ぶりに飯舘村役場が本庁に戻った。
帰庁式参加者の挨拶で、原子力災害対策本部(内閣府)副部長が祝辞を述べ、最後に元気よく「本日は、誠におめでとうございました」と力を込めた。
え、いまなんて言った??(私)
冒頭の「お祝いを申し上げたい」という言葉にも驚いたが、最後に「おめでとう」はないでしょ!
スピーチでは「復興に向けた第一歩」、「スタートダッシュ」など威勢の良い言葉は並ぶが、放射能の「ほ」の字も出なければ、謝罪の言葉もない。
その後、参加者約50人の紹介が行われたが、原子力災害対策本部の祝辞につられてか、福島市長も、県知事代理も、相馬市長代理など名前を呼ばれると立ち上がり、
「本日は、おめでとうございます」
と深々と頭を下げる。
そして拍手が轟く。
参加者50人すべてが「おめでとうございます」と集団で連呼し、飯舘村民までもが立ち上がって「おめでとうございます」。
そして拍手…。
ふるさとを汚され、家族や仲間をバラバラにされ、自ら命を絶った人もいる。
散々な目にあったのですよ。
加害者が被害者に「おめでとうございます」。
被害者が加害者に「おめでとうございます」。
??????
集団心理が、見えない放射能に、見えない蓋をする。
野田雅也(共同監督)