6月30日でクラウドファンディングが終了します。少し早いですが、みなさまに感謝の報告を申し上げます。ごらんのように目標金額を大きく上回るご支援をいただき、大学院を修了できる見通しがつきました。ありがとうございます。あたたかい応援を背に、日々論文の執筆にいそしんでいます。来年の春、よい報告ができますように、ひきつづきお祈りください。
リターン(返礼品)は、CDが含まれる方のみ7月中にお送りします。レクチャー&ミニコンサートご希望の方は、私から連絡します。それ以外のリターンは、来年5月末までにお送りする予定です。首を長~くしてお待ちください。
胸の泉に 塔 和子
かかわらなければ
この愛しさを知るすべはなかった
この親しさは湧かなかった
この大らかな依存の安らいは得られなかった
この甘い思いや
さびしい思いも知らなかった
人はかかわることからさまざまな思いを知る
子は親とかかわり
親は子とかかわることによって
恋も友情も
かかわることから始まって
かかわったが故に起こる
幸や不幸を
積み重ねて大きくなり
くり返すことで磨かれ
そして人は
人の間で思いを削り思いをふくらませ
生を綴る
ああ
何億の人がいようとも
かかわらなければ路傍の人
私の胸の泉に
枯れ葉いちまいも
落してはくれない
6月30日(火)朝4時台に、NHKラジオ深夜便「わが心の人」で、塔和子さんのことを語ります。2月に放送されたものの再放送です。塔和子さんは、大島青松園に13歳から亡くなる83歳までを生きた詩人です。「本質から湧く言葉」と評されて、詩の世界でもっとも権威あるといわれる高見順賞を受賞しています。塔さんの詩に私が曲をつけた《胸の泉に》と、宮澤賢治のことばにやはり私が曲をつけた《雨ニモマケズ》の2曲がオンエアされる予定です。
NHKラジオ深夜便「わが心の人」※聞き逃しサービスで放送後1週間お聞きになれます。
かかわれなくても、ほんとうにかかわりたい人とは、「枯れ葉いちまい」でもかかわる。気持ちを伝えられないなら、その人のことを心から祈る。うたえなくても、沈黙に耳を傾け、わき上がってくるうたを生ましめるときを、あきらめずに待つ。制約のなかで、せいいっぱいうたう。思いやりとユーモアを忘れずに。「そういうものになりたい」と思わせてくれたおおぜいの人の顔が思い浮かびます。
最後に、新型コロナウィルスに感染した人やその家族、また医療関係者などに対する差別・誹謗中傷があることについて、私はそのようなニュースを聞くたび、また身近にそのような空気を感じるとき、落胆と強い憤りを感じます。日本のハンセン病の強制隔離は、「無らい県運動」によって徹底されました。これは法律ももちろんですが、一般の人たちによる「監視」を権力者がうまく利用してなしえたことです。誤った情報によって不安をあおられるとしたら、私たちはハンセン病から何ひとつ学んでいないことになります。コロナウイルスについて正しく理解し、人権の観点から行動することを忘れてはなりません。隔離の歴史を歩んだハンセン病療養所はいま、高齢の入所者たちをウイルスから守りつつ、このまま「隔離で終わらせない」ための模索をしています。かかわった者として、なんとかしてかかわりつづけたいです。おあずけになった20回目の「大島青松園コンサート」ができる日を待ちわびながら。
もう一度、みなさん、ありがとうございます!
写真は2つとも桃山龍太さん撮影です。2013年、大島青松園での塔和子さんを偲ぶ会と、2012年、大島青松園コンサートにて。大~好きな二人。
沢知恵