子どもたちは、責任を内面化している
『子どもに貧困を押しつける国・日本』(山野良一,光文紅新書,2014)を読む
子どもの貧困は見ようとしなければ見えないものになっている。本書は、その「見えにくさ」を少しでも解消することを目的としたものです。
子どもの貧困は、世代間で連鎖することが運命的に決まっているものでは絶対にない。親子の間で貧困が受け継がれてしまう確率が統計的に高いという、相対的なものでしかない。社会の支援が十分にあれば、連鎖を抜け出すことは可能だと本書は指摘します。子どもの貧困が見えてくることで、社会の問題として認知されていくことが必要だと言うのです。
労働単位の低さは、子育て家庭にとって、「時間」という問題に関連しているという点に加えて、私に見えていなかったのは、次の点です。
子どもにとって、貧困は恥ずかしさであると同様に、「どうしようもない」ことだという点です。しかも、子どもたちは、親の状況を誰よりもよく知っています。だからできるだけ、親には迷惑をかけずにいたいと願っています。そうすることが自分を守ることにもつながるからです。親たちに優しくすれば、親たちはいつか自分にも優しくしてくれるかもしれない―――と。しかし、親を取り巻く社会状況は、それを簡単には許してくれません。そうであるならば、彼らは、恥ずかしさや怒りを外ではなく内に向かって、自分自身にぶつけて、心を傷つけてしまうのではないか。しかも、繰り返しネガディブな感情を内向きに処理し続けることで、結局、自分の無力さや孤立無援の状況を受け入れざるをえなくなってしまう。そのことが、自分を大事にする感覚や意欲、いわゆる自己肯定感を傷つけ、自己評価の低下をもたらしてしまうのではないかと指摘しています。学力面でも、落ち着いた家庭環境や学習環境でないことを、親や環境のせいにすることなく、「勉強はかったるい」と無気力さを装いながら、「どうせおれの頭が悪いからだ」と責任を内面化して、自らを傷つけることで自己評価を低くしているのではないかと指摘しています。(199−202頁,参照)
子どもの貧困は,学習権や将来の夢を考える自由までもを奪っている。しかも,子どもたちはそうした事態を受け入れている。支援するにあたって,大事にしたい視点です。
宮崎大学大学院教育学研究科 准教授 竹内元
雪を知らない南国宮崎の
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