皆さんこんにちは。
階段王になる男、渡辺良治です。
レースから1週間以上たってしまいお届けするのが遅くなり大変申し訳ありません。
前回はレースがスタートするところまでまとめましたので、早速続きをお届けしたいと思います。
久々の一斉スタートだったせいもあり、スタートダッシュに失敗しましたがまぁそれも想定内です。
2階までのやや長めのストレートの階段でうまくインコーナーを突き、2位に付けることに成功しました。
(左側が亮亮選手。職業は学校の先生だそうです。)
先頭は最大のライバル、亮亮選手でした。珍しく序盤から突っ込んできます。
彼は他のレースと比べてこの北京大会では突出してタイムが良いのです。
なので彼も「勝ち」を狙ってきているのでしょう。踊り場でちらっと見える彼の表情からも必死の形相がうかがえました。
「これは抜くのに少し時間がかかるなぁ」
と考え後ろにピッタリ付いていると・・・。キマシタ、例の荒い息遣い。
恒例のオマール選手の序盤からのツッコミです。
まぁ当然中盤待たずに落ちてくるのですが、下手に粘って接触するのもエネルギーロスなので8階あたりで外側に避けて先に行かせました(^^;)
3番手で進むというのは少々予定外でしたが、こういうこともあるかなぁなどと心には十分余裕がありました。とにかく今回は順位が最優先でタイムは二の次だ!と考えれば幾分気は楽になりました。
とりあえずStyle:Pを駆使し、歩かず走って登り続けます。
10階あたりではすでにペースが遅いと感じられるほどの状況でしたが、とはいえまだ無理に前を追い越すには前二人にペースアップされてしまいそうな気配を感じたのでしばらくはスローペースに付き合うことにしました。
そうこうすると15階の最初のロングターンゾーンに到達。
ここは廊下に出て10mほど直進した後にほぼ180度ターンして次の階段に向かうので直進でスピードを出しすぎないことが肝心です。
3回目ともなるとコースが完全に頭に入っているので落ち着いて対処し再び階段へ。
ここで再び前の様子を観察。
流石に少し疲れが見えてきたのか息もより荒くなり、余裕のない表情をしていたので、意を決して18階付近でアタックを決行!!
一気にダッシュしてオマール、そして亮亮を抜き去りました。
ようやくトップに立ったので自分のペースで進めるぞ~と喜びましたが、やはり急激なペースアップは疲れるものですね。
一気に息が上がった気がしました。
なので、そこからは後ろを見ながらの安全運転です。
再び追い抜かれるわけにはいかないのでペースを落とすことはしませんが、じわりじわりと差をつける程度のペースで決して無理はしないで進みました。
20階を少し過ぎたあたりからは手すりを両手でつかんで足の疲労を抑えるelb走法も積極的に織り交ぜながらすすみました。
次なるロングターンゾーンの31階に到達するころにはまだかろうじて後続の気配は感じるくらいの差でした。
ここまでは順調です。あとは大撃沈さえしなければ行けるかな?という手ごたえを掴めました。
ここから次ぎのロングターンゾーンの42階までは、基本的にStyle:Pで走りつつ、踊り場の手前では一段づつ2,3歩登るという省エネ走法をメインに進みました。
これだとかなりペースは落ちるのですが、その分呼吸はかなり楽になります。
そうすると後ろとの差を感じる捜索能力をフルに発揮できるというメリットがあります。
そのおかげで、後続はさらに離れていくことが分かりました。おそらく後ろからは自分はすでに形も見えなければ音も聞こえないレベルでしょうか。
42階に到達し、15階と同じような180度ターンを決め再び階段へ。
まだちょうど中間点なので、気は抜けませんが後は自分の走りに集中すれば良いだけです。
疲れ具合を確認し、残りのレースプランを再考します。
脚も心肺機能もまだ少し余裕があるので、今のペースを維持してもし後ろに追いつかれたらペースアップして引き離せるよう常に一定の余力を残しながら進むことにしました。
そこからおそそ20階分はStyle:Pとelb走法をだいたい半々で使用し、とにかくオーバーペースにだけは気を付けて進みました。
一点気づいたのは今回の手すりの形状や微妙な階段の段差の低さによりelb走法が少しやりづらくペースが遅くなること。
去年のマーク選手のようにずっと走った方が速いのだろうということが判明しました。
ですが、足の筋肉の温存にはなっているし、今さら無理しても仕方ないのでStyle:Pと織り交ぜながら進みます。
62階の最後のロングターンゾーンに到着するころにはさすがに疲労困憊に近い状態でした。
この競技、よほどゆっくりのペースにしない限り多少ペースを落としても疲れ具合はほとんど変わらないのかもしれません・・・。
それでも後ろからの気配は全くなく、2階位差がついていることはわかりました。後でリザルトを確認するとこの時点で15秒差でした。
ここまで来てもまだやることは変わりません。
後ろを警戒しつつ激落ちだけはしないように淡々と進みます。
elb走法による早歩きを使う頻度がだいぶ多くなり胸が少し閉まることによる息苦しさを強く感じる一番きつい時間帯が続きます・・・(;´Д`)
こんな時はゴールテープを切る自分の姿を想像したりそのあとの好きなものを食べる至福の瞬間を想像して苦しさを紛らわせて進みます…。
そうしてようやく75階付近に到達。
ここまできたらもう出し惜しみなしです!!1分少々なら仮に足が終わっても気合だけで動き続きけることが出来るはずなのでとにかく走ります!!
後ろも気にせず自分の世界に没頭する本来のこの競技の姿を取り戻し、少しペースアップすることが出来たように思えます。
気づけば81階…。
去年マークに抜き去られた悪夢の場所をさっさと過ぎ去り82階から屋外へでると眩しい光に迎えられました。
螺旋階段を駆け抜けてゴールテープが見えた瞬間、思わず快晴の北京の空を見上げました。
珍しくポーズを決めてゴール!!頑張りました(^-^;
でも3秒でこうなりました(笑)
実は今年は中華人民共和国創立70周年ということでお偉いさんが来るのでゴール後に派手に倒れるのは良くないという噂だったのでちょっとだけゴール時に余力を残したんですがそれでもやっぱりキツイ!
100のキツサが99.5になったくらいしか余裕度に差はなかったですね(>_<)
それでも狙った通り、トップでフィニッシュできたのは素直に嬉しかったです!!
(男子トップ3、2位の亮亮選手と3位のシュウ選手。)
タイムは10分37秒(実際は10分33秒)とあまり振るわず一般ランナーに負ける可能性もあったので、最終リザルトを知るまでひやひやでしたが、セレモニー前にはリザルトも発表になり、総合でもトップで一安心ε-(´∀`*)ホッ
女子チャンピオンは女王スージーさん。そして一昨年も去年もお世話になった医療班の方とも再開し一緒に記念撮影してもらいました\(^o^)/
We are バーティカルファミリー!
上杉キャップも6位に入る上々の出来だったようです。
写真で見ると10分33秒でゴールしているのに、なぜか公式記録は37秒でした。
まぁ小さいことは気にしませんが(笑)
その後は一旦休憩と食事をとり、19時からはセレモニーが始まります。
セレモニー開始前には選手同士色々交流を深めました。
台湾から参加したチン・チュンロウ選手はまだ21歳で伸び盛りという事もあり、色々とトレーニング方法について聞かれましたので、惜しみなく全て話しました。
・・・が拙い英語でどこまで伝わったか(笑)
今後もどんどん意欲のある若手が出てきてほしいですね。もちろん日本の若者にも頑張ってほしいですが(^-^;
今季3つ目の「1st」の楯をゲットです!
「北京の階段王」!
この後はアフターパーティーでお酒を飲みすぎてついついダンスパーティーにも加わってしまいました(^-^;
流石に飲みすぎ食べ過ぎで翌日からしばらくおなかを壊してしまったのが大きな反省点です・・・。
その他、レースでも前半少しペースを抑えたくらいではなかなか後半にペースは上がらないことを改めて実感しました。
ピーターやマークに勝つためには前半から積極的に攻めることが欠かせませんね。
上海ではもっと積極的なレース展開をしようと思います。
でもそれもレースで色々試してみてわかることですので今回のレースも無意味ではないはずです。
何より落としてはいけないレースで、少し揺さぶりがあってもしっかり勝ち切れたことは自分の成長だと確信しています。
自分はまだまだ強くなれる!!
真の階段王にもまた一歩近づいた気がします。
そしてなんと!!
今回のレースを受けて世界ランキングは1位に浮上しました\(^o^)/
暫定とはいえ世界1位はとても誇らしいです!
この勢いでさらに精進を重ね、今年中には打倒ピーター、マークを達成して再び表彰台のてっぺんに立つことをみなさんにお約束します!
次回のレポートもご期待下さい!!
それではまた。
渡辺良治