雪景色 × ラブストーリー × 水
新潟と言えば雪国です。 山間部では、毎年大変な積雪量を記録し、気温も低く、毎日の雪おろし作業は、大変な肉体労働で、吹雪ともなれば、交通機関は麻痺し、家に閉じ込められてしまいます。 その冬の厳しさと美しさを映像に閉じ込めたいと思います。 ▲前作「彼」のスチール写真より 開拓時代。 村の言い伝えとなる悲恋が、物語の主軸となります。 少年のかなわぬ恋心は、結果的に村を救うことになります。 人間の生活に最も大切な“水”がもう一つのテーマです。 人間の体の60%が水であることは、よく知られています。 雪解け水は川となり、海に注ぎ、蒸発して雲となり、雨や雪となって大地に吸収される。 この循環の中で、人間は自然に生かされているのです。 水の汚染が進行しています。 近い将来、世界中で水の奪い合いが始まるだろうと言われています。 今こそ水を大事にする時なのです。PVあらすじ
起:豪雪地帯のある村の藁葺き屋根の家では、囲炉裏を囲んで祖母が孫に、 この村に伝わる伝説を話していました。「ある村に、“田吾作どん”という 知恵遅れの少年が住んでいました。 でも、村人は誰も彼を馬鹿にはしませんでした。昔は、村に必ずそういう子がいました。 その村では、長い凶作が続き、どの家の生活も苦しいものでした。 田子作どんの家も、貧しい農家でしたが、田吾作どんは、家の手伝いもせずに、 たんぼの中を駆け回ったり、黙って夕陽を眺めていたり、トンボを追いかけたりの毎日でした。」 承:ある秋の日、田吾作どんは、村の娘に恋をしました。田吾作どんは、 自分の気持ちをうまく伝える事が出来ずに、一人悶々とし、黙って物 陰からそっと娘を見つめる事しかできなかったのです。 娘には、許嫁がいました。もちろん、娘が田吾作どんの気持ちになど 気付くはずもなく、また、気付いても結果は同じ事だったでしょう。 その娘の祝言の日、田んぼの中の婚礼の行列を、田吾作どんは、成す 術もなく、見つめていました 転:田吾作どんは、山の頂きの岩の上で号泣しました。すると、辺りの 雲行きが怪しくなり、雨が降り始めました。やがて、雨は雪に変わり、 吹雪となっても田吾作どんの慟哭は止まりません。 吹雪は一ヶ月も吹き荒れ、村をすっぽり覆い尽くしてしまいました。 田吾作どんは、あの祝言の夜から、行方不明で、両親が捜索に行きた くても、この吹雪では身動き出来ませんでした。また、探しに行った としても、この寒さでは、生きてるはずもありませんでした。 結:やがて、春が来ました。しかし、奇妙なことに、雪が溶けても、 田吾作どんの死体は、どこからも発見されませんでした。 もっと驚いたのは、 凶作続きのこの村が、その年始めて豊作になってのです。 全ては、あの豪雪のおかげでした。 あの雪は春になり、大量の雪解け水となって、田畑を潤したのです。 この村には、澄んだ地下水が不足していたのです。 村人は、いつしかあの雪は、田吾作どんの涙が凍ったものだと、噂 するようになりました。田吾作どんは、この村の守り神となったのです。 村のはずれの神社に墓を作り、毎年秋になると、田吾作祭で、豊作に感謝するのです。 現代の藁葺き屋根の家の囲炉裏の回りでは、祖母が話の最後に、孫に言った。 「だから今でも、この村では、吹雪になる事を、『また、田吾作どんが振られた』 と言って、豊作が約束された事を喜ぶように なったんじゃ。おしまい」制作スタッフ
▲前作「彼」のメイキング写真より 製作・監督・脚本・編集 猪浦直樹支援金用途
◆人件費 : 520,000円 ◆制作費: 300,000円 ◆機材費: 30,000円 ◆仕上げ費: 80,000円 ◆予備費:100,000円制作スケジュール
2014年3月:スタッフィング 2014年4月:ロケハン 2014年5月:キャスティング 2014年6月:台本最終稿完成 2014年7月:絵コンテ完成 2014年8月:俳優リハーサル 2014年9月:美術打ち合わせ 2014年10月:衣裳合わせ 2014年11月:撮影 2014年12月:編集・仕上げ 2015年1月:完成起案者情報
▲〈前作「彼」予告編〉 代表 : 猪浦直樹 ・「世にも奇妙な物語~マジシャンのポケット~」(フジテレビ)で、脚本家デビュー。 ・「佐藤さんから、電話がありました。」(神戸Kiss-FM)* 第二回神戸ラブストーリー脚本大賞優秀賞入選作品 ・「暑中お見舞い申し上げます。」* 東京ビデオフェスティバル2002 ビデオケーション賞受賞 ・ 伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2009短編部門で、「彼」が審査員奨励賞受賞。 ・第十三回伊参スタジオ映画祭短編セレクションで、「彼」上映。新潟から見直す、人間にとって大切なもの
新潟は雪深くて大変と言う方が多いでしょう。 ですが、それゆえに豊潤な水によって、 お米や農作物に恵まれる事ができます。 不便なもの、格好悪い事の中にこそ、 真実が隠れているものです。 人間にとって、本当に大切なものを描きたいと思います。最新の活動報告
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2014/04/28 04:20私などのプロジェクトに応援して頂き感激です。 映画の製作は、資金ができ次第開始いたします。 本当に、ありがとうございました。 もっと見る
アンドレイ・タルコフスキー VOL.4 「惑星ソラリス」(1972)
2014/04/24 00:17この作品は大好きで、何度も見ている。 オープニングから、川の流れ。ソラリスは、海だ。回想の故郷では、家の中でも水がしたたり落ちている。この監督は、理屈ではなく水があると落ち着くのだろう。 潜在意識が物質化するという原作者スタニスラフ・レムのアイディアは素晴らしい。特に、自分が惹かれるのは、死んだ妻が現れるというモチーフだ。ヒッチコックの「めまい」にも似た男の哀しい性がたまらない。 この作品は"映画"についての物語だ、という批評を読んだが、面白いと思った。ヒッチコックは、「裏窓」で、映画とは覗きだ、と描いていたが、ソラリスのスクリーンに映し出すのは、自分の心で、フィクションを現実といつのまにか混同している観客は、主人公というわけだ。 後年、スティーブン・ソダーバーグが、ジョージ・クルーニー主演でリメイクしているが、確かに主演男優は、ジョージ・クルーニーに似ている。 "罪悪感"がテーマだと思う。タルコフスキーは、SFをやりたいわけではなく、宇宙空間という特殊な場所で、人間心理を描き尽くしたかったのだと思う。 黒澤明監督は、この映画の撮影中モス・フィルムの招待で、偶然ソ連にいたらしい。 「(前略)私は、この作品を、夜遅く、モスクワの試写室で見たのだが、見ているうちに、地球へ早く帰りたい、という気持ちで胸苦しくなった。科学の進歩は、人間を一体どこへ連れて行ってしまうのだろう。その、空恐ろしい気持ちをこの映画は見事に掴んで見せている。(中略)タルコフスキーは難解だという人が多いが、私はそうは思わない。タルコフスキーの感性が並はずれて鋭いだけだ。(後略)」 — 黒澤明・1977年5月13日朝日新聞夕刊より 観る度に、違う発見がある、間違いなく名作だ。 もっと見る
アンドレイ・タルコフスキー VOL.3 アンドレイ・ルブリョフ
2014/04/22 01:45水を美しく撮りたいので観始めた"水の魔術師"タルコフスキーの三作目。初見。モノクロ(一部カラー)。戦争映画の次は、壮大な歴史劇だった。 実在した画家の一代記。オープニングから、川と雨で始まり、ラストも雨の川と馬だった。川の流れは、葦の揺れで表現し、雨の降らし方は美しい。 内容は、"芸術家の使命"がテーマだと思われる。後半の鐘作りの指揮を取る若者に自分を投影していた。まだ若く自信もないのに、はったりでスタッフを怒鳴りつけ鐘を完成させると、地べたに倒れ込んでしまう。そして、鳴り響く鐘の音は、庶民の心に平安をもたらす。 新作を撮る前に、「七人の侍」と「雨月物語」を必ず観るというだけあって、タタール人の襲撃のシーンは、「七人の侍」の夜盗の村襲撃のシーンを彷彿とさせる。 イメージフォーラム1987・3月増刊 No.80 追悼・増補版「タルコフスキー、好きッ!」に、タルコフスキーのこんな文章を見つけました。 水— この地上でもっとも美しいもの「たしかに私の映画のなかには、たくさんの水が出て来ます。水や河や小川が、私に非常に多くのことを語りかけてくるのです。私はこういう水がたいへん好きです。(中略) ロシアでは、イタリアよりもはるかに多く、大量の水を見ることができます。私は水が物として好きなのです。なによりも水は、謎めいた物質です。御存知のように、水はH2Oという単純な分子ひとつで構成されています。しかしこのことでさえたいして重要ではありません。問題は水がとてもダイナミックだしいうことです。水は動きを、深さを、変化や色彩を、反映を伝えます。これは地上でもっとも美しいもののひとつです。水よりも美しいものは、存在しません。水のなかにその姿を映しだすことのなかった現象は、自然のなかにはひとつとして存在しません・・・おそらく、水を示すためにひとつの側面だけを取り出すことは、正しくないでしょう。私には水のない映画など、考えることができません。」 本当に水が好きなようだ。ロシアの大自然で育ったから、自然の中で人間を描くという視点を失わないのだろう。 もっと見る