皆様、いよいよ年末も差し迫りましたが、いかがお過ごしでしょうか?
勝原白貫堂では只今正月限定の「花びら餅」の製造真っ盛りです。この花びら餅を作り終えると今年もおわったな、という和菓子屋ならではの恒例です。最近はこういう行事菓子の風習が薄れて「正月らしさ」が味わえなくなったのは残念な事です。若い人たちにも慣習としてつなげていくような風潮が出てくることを祈ります。
さて、前置きはともかく、少しづつですが御器ねぶり小豆で粒餡を作る研究をしています。
御器ねぶり小豆は普通の小豆と比べて特異な特徴があります。
右が市販の北海道産小豆で上が茹でたもので下が元の豆、左が御器ねぶり小豆で同じく上が茹でたもので下が元の豆です。
見て頂いたら分かる様に、御器ねぶり小豆は北海道産の小豆に比べて、色が濃く、粒も小さいです。この事から同じグラム数だと皮の比率が多くなる事が分かります。
まず最初は製餡のテキスト通りの方法で粒餡をつくってみました。すると、生臭みが強く雑味が出てしまいました。どうやら御器ねぶり小豆は野生種ならではの灰汁が強い様です。
そこで、弊社でも導入している餡練り機メーカーの株式会社カジワラ様にも協力して頂き、炊き方について情報を提供して頂きました。
各方面から協力を頂いてここまでの研究で分かったことをまとめますと、
・御器ねぶり小豆は渋が強いので、真っ先に渋を取る方が良い。
・浸け置きしたり、渋抜きしないで長く煮ると渋が水に溶けて実の中に入り込んでしまう。
・実が小さいので固くなりやすい。よって、しっかり水を吸わせる必要があるが、浸け置きは渋抜きをした後にする。
御器ねぶり小豆は下処理に工夫が必要ですが、うまく処理すると風味は北海道産の小豆より力強い後味が感じられ、大地の力を感じさせるものでした。
引き続き御器ねぶり小豆のパフォーマンスが出るような製造方法について研究しています。