ウズベキスタンの新型コロナウイルス感染症対策レポート
初感染確認
ウズベキスタンにおける初の感染者は3月15日フランスから帰国者に確認されました。首相が委員長を担うコロナウイルス特別委員会が設立され段階的に政策を実施し、感染確認後水際対策として国際便運航の停止、出入国の制限等の対策を行いました。
水際対策
外国からの入国者を対象に全面的隔離の実施に加え、初感染確認後、入国制限、市中移動の制限、公共交通機関の運航の停止、夜間外出制限、曜日別の外出制限を実施し、世界でも初と言われている1万5千人を収容できる隔離施設を建設するなど、感染者の国内での広がりを防止する措置を講じました。
ウズベキスタンのコロナ対策で特徴的なのは隔離期間が14日間あり、その間の治療は全て国家負担である事です。上記の政策を素早く実施できたため感染者の広がりを抑制しました。また死者も感染から3ヶ月は世界的に見ても低い水準を保持しました。様々な政策にも関わらず、感染者はタシケントをはじめ、全国に広がり、今現在では増加傾向は弱まったものの新規感染者は3桁を維持しています。
感染状況:
保健省が発表している情報によると2020年9月6日現在時点での感染者は53,447人、快復者49,832人、死者444人。上記のデータからも読み取れるように感染者・死者ともの約5割以上がタシケント州で発生しています。
一般生活への影響:
感染状況の収束が見えないまま半年が経ち、人々は「With Corona」生活にも慣れてきていると言えます。それは毎日の食材をバザールではなく、自宅までの配送サービスの利用、オンラインでの授業、テレワークなど環境が整えられ始めました。ウズベキスタン人の生活面での一番大きな変化は結婚式です。通常は500人~600人が参加するのが通常のウズベキスタンの結婚式ですが、政府の規制により最大参加人数に30人までの制限が設けられました。若者が6割を占めるウズベキスタンではコロナの収束を待つことはできず、30人限定の結婚式は通常化しつつあります。
経済への影響:
世界的な不況はウズベキスタンにも影響を及ぼしています。輸出は18%減り、3月入ってから中小企業の85%がビジネスを止めざるを得なくなりました。徐々にロックダウンが緩和され、経済活動も復活してきています。IMFによるとこの間でもウズベキスタンのGDPは1.8%成長しました。このような状況下で低収入の家族を対象に政府から支援金が支払われました。また企業向けには免税措置が取られています。コロナの前は経済の柱になると信じられていた観光業ですが、大きな打撃を受けたままです。観光発展庁主催でオンライン観光やオンラインウズベク料理講座が開かれているものの、実経済への還元はコロナ終息後になるとの見込みです。そんな中ウズベキスタンの野菜や果物が輸出への期待が高まっています。
学業への影響:
ウズベキスタンの人口は現在約3,400万人で、そのおよそ60%を27歳以下の人口が占めています。若者が多いからこそ大学や専門学校へ進学を希望している者も多くいます。長年国立大学が主な進学先でしたが、近年私立大学も進学先として注目されています。
例年8月1日は全国一斉の大学試験日でしたが、今年はコロナの影響で遅れて開催。感染予防の観点から100万人以上のウズベキスタンの若者は全国大学受験をスタジアムで受けました。パンデミックは生活のあらゆる場面で困難を生じさせており、人々は一つひとつ乗り越えてきています。2年生、3年生、4年生は大学の授業はオンライン及びリモートで開催しています。しかしインターネット環境が整備されていない学生もいるため、急遽なインフラ整備が求められています。
さらに、塾や語学学校は運営を再開できていません。また、大学における日本語クラブのような活動も続けることができなくなってしまいました。そんな中、ウズベキスタンにおける日本語教育の灯を消さないために我々が提供している日本語講座は、ウズベキスタンにおける若者の支えになっています。
続々と集まりつつある皆さまからのご支援のお陰で、ウズベキスタンと日本の未来に明るい希望を感じます。
皆様の引き続きのご支援宜しくお願い申し上げます。
まだ不透明な状況は続くが引き続き世界人口一体となって乗り越えていければと切に思います。
UYAJ(在日ウズベキスタン青年協会)会長
ジュラベク・ハサノフ