札幌伝統野菜「札幌大球」応援隊・隊長の日原康貴と申します。このページをご覧いただき、ありがとうございます。
この応援隊は、古くから食べ継がれている大型キャベツ・札幌大球をさらに未来へと受け継いでいくために、農政のスペシャリストや大学教授、フードライターなどの有志が集まって結成した団体です。この活動のために平成27(2015)年から「札幌伝統野菜『札幌大球』オーナー制度」を行っています。3年目になったこの活動、今年はもっと多くの方に札幌大球を知って味わってほしいと考え、このクラウドファンディングのプロジェクトに挑戦することにしました。ご支援、宜しくお願いいたします。
1球当たりの重量が8〜20kg、球径が40〜50㎝と普通に見かけるキャベツ(約1〜1.5Kg)よりもかなり大きいキャベツです。大きいのですが、葉の枚数は他の品種と同じで、約70枚。その分肉厚で繊維質がしっかりとしています。
その肉厚と繊維質しっかりの特徴が生かされるのが、漬物としての利用です。北海道の冬の保存食といえば、にしん漬やいずしといった、野菜と魚を一緒に漬け込んだもの。これらの原料として、札幌大球はぴったりなのです!
各家庭が冬に備えて自家製の漬物を作っていた頃には、10~11月の収穫期には八百屋の店先に札幌大球が山積みされ、その光景は晩秋の風物詩になっていました。
また、冬の寒さが厳しい北海道では、大きいことが非常に大切。貯蔵していて外側が凍って食べられなくなっても、内部は大丈夫だからです。北海道ではこの札幌大球が冬期間の貴重なビタミン源として重宝されてきました。
開拓使とともにさまざまな作物が導入された北海道では、明治4(1871)年からキャベツの栽培が始まりました。海外からいろいろな品種が導入される一方、北海道内でも品種改良が行われるようになりました。そんな中から、貯蔵に適していて漬物にも向いている札幌大球が生まれ、長年にわたって北海道の人々に愛されてきました。
昭和10(1935)年頃には1000haもの畑で作られていた札幌大球ですが、戦後はどんどん生産量が減少。その理由は農家の高齢化でした。札幌大球はその大きさゆえに、茎を切り離しての収穫や運搬などの作業負担が非常に大きく、それに耐えられない農家が増えてきたのです。
また消費も減っていきました。かつてのように、札幌や北海道の各家庭で冬用の漬物を作ることが少なくなったからです。一方漬物の加工業者は、通常のキャベツとは扱いが全く異なる札幌大球を使うことがありませんでした。
平成元(1989)年以降では、平成5(1993)年をピークに生産量は減り、主生産地の石狩市厚田地区に平成19(2007)年で15戸あった生産農家は、平成25(2013)年には5戸になってしまいました…。札幌大球継承の最大のピンチを迎えたのです。
なんとかして札幌大球を未来に残すことはできないか。そのためには新たな栽培を行い、失われつつある札幌大球の消費を復活させることが必要ではないか。札幌市で農業政策を担当していた三部英二さんの尽力によって、札幌大球が平成27(2015)年に味の箱舟<食の世界遺産>(スローフード協会)に登録されたことをきっかけに、私達は有志で札幌伝統野菜「札幌大球」応援隊を結成、札幌大球オーナー制度をスタートさせました。
▲農業政策のスペシャリスト、三部英二さん。もちろん札幌伝統野菜「札幌大球」応援隊の隊員です。
オーナー制度は次のような仕組みです。JAさっぽろにご協力いただき、札幌市清田区の農地で、地域の農家の皆さんに新たに札幌大球の栽培を始めていただけることになりました。そこで、オーナーになっていただいた方からの資金を元に、安定した価格で計画的に札幌大球を栽培、これを使って「にしん漬」にしてオーナーにお届けすることにしたのです。
スタートからの2年間では毎年約2000球の札幌大球を出荷、その半分が株式会社北彩庵(北日本フードグループ)でにしん漬になります。ご支援をいただいているオーナー数は、初年度は210口(1口4000円)、昨年は250口となり、今年も早くから多くの方のお申込みをいただいています。
札幌の伝統野菜を復活させようとするこの取り組みはメディアの注目も集め、札幌市清田区の畑での収穫時期には、取材が殺到するようになりました。
またにしん漬けにならない残り半分の札幌大球は、札幌のお好み焼き店「風月」の各店で11月に期間限定メニューとして登場、昨年は17日間で売り切れになるほどの人気でした。
また札幌大球のサポートは大学にまで広がっています。札幌保健医療大学保健医療学部栄養学科教授の荒川義人先生も、「札幌大球」応援隊の隊員です。
▲荒川義人先生。栄養学に留まらず食に関する造詣が深く、さまざまな食や農関連のコンテストの審査員をすることも
管理栄養士を育てる札幌保健医療大学保健医療学部栄養学科では、「作物を作るところから知っていることが、管理栄養士にも大事」という荒川先生の考えから、大学の敷地内で札幌大球を含む野菜の栽培を行っています。
このように、オーナー制度や隊員の活動で、徐々に札幌大球の認知度は高まってきました。でも三部さんによれば、札幌大球の安定的な生産のためには、今の三倍以上の作付面積が必要になります。もっともっと多くの方の消費による支援が必要なのです!
このオーナー制度のリターンはにしん漬です。なぜこれまでもリターンがにしん漬だったのか、特に北海道出身ではない方は疑問に思うでしょう。ひょっとしたら、この漬物自体をご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。にしん漬は、身欠きにしんと大根やキャベツなど野菜を麹(こうじ)で漬け込んだもの。漁師町だけではなく、北海道全域で食べられている北海道民のソウルフード的存在です。
麹にはタンパク質をアミノ酸に分解する働きがあって、身欠きにしんを柔らかくして、旨味を増してくれます。その旨味は、麹のほんのりとした甘みと一緒にキャベツや大根にも染み込んでいくのです。ご飯のおかずとしてだけではなく、このにしん漬でビールや日本酒を飲むのが大好きという人も、道産子には多いんですよ。
本来であれば、リターンとして札幌大球をまるごとお送りできればいいのかもしれませんが、なにせ大きいので、元のキャベツの料金の何倍もの梱包料や運送費がかかってしまうのです。それに、そんな大きなキャベツをどう扱えばいいのか、戸惑う方も…。それであればと、札幌大球を使ったにしん漬けに加工してお送りすることにしたのです。しかもこのにしん漬、札幌大球の特徴である肉厚さがプラスに働いて、非常に美味しいのです!
にしん漬に加工するのは、「札幌大球」応援隊の隊員でもある酒井秀彰さんが社長を務める、北海道で人気の漬物メーカー・株式会社北彩庵(北日本フードグループ)です。
▲酒井秀彰さん。北日本フードの高級漬物ブランド「北彩庵」の社長を務めます
札幌大球はその大きさのため、通常の工場の流れにはのらず、職人が手作業で札幌大球をカットして、漬け込んでいきます。
漬け込み期間も、その肉厚さゆえに、普通のキャベツの2倍の時間がかかります。そうしないと、葉が柔らかくならないのです。通常より非常に手間のかかる札幌大球のにしん漬ですが、普通のキャベツとは全く異なるしっかりとした歯ごたえは、北彩庵自慢のバランスの良い味付けと好相性。これまでのオーナーの皆さんにも、非常に好評でした。また身欠きにしんも小樽産を使用するなど、北海道産にもこだわっています。
にしん漬を知らない方は初めての美味しさを、知っている方は他のキャベツとの違いを、しみじみ味わっていただきたいと思います。また今後、にしん漬以外のリターンも、模索していきたいと考えています。
札幌伝統野菜「札幌大球」応援隊と関係者で、毎月札幌大球の生育具合を確認すべく、札幌市清田区の圃場(ほじょう)視察を行っています。最近では2017年7月27日に畑に行ってきました。
▲定植してから約1ヶ月。大分大きくなってきました!順調です
▲これから中心部が集まって、固くなっていく(結球)ところです
▲こちらは札幌大球の「種」。少し前までキャベツの花が咲いていました。自家採種で次年度の札幌大球を育てています
▲今回の視察メンバーです。中央の方がJAさっぽろの曽我さん、右から二番目がこの畑を所有者である吉田さん、一番右が北彩庵の酒井さん。私は一番左にいます
今年の10月下旬~11月上旬に収穫される札幌大球を使って、株式会社北彩庵(北日本フードグループ)が作った「にしん漬」をお送りします(発送は11月中旬を予定)。
【ちょっと食べてみたい!札幌大球コース お試し版】4000円コース 札幌大球使用にしん漬 200g×6パック
【 もっとたっぷり食べてみたい!札幌大球コース 】 8000円コース 札幌大球使用にしん漬 200g×12パック
【 大勢でたっぷり食べてみたい! 札幌大球コース 】12000円コース 札幌大球使用にしん漬 200g×18パック
【 いろんな人と一緒に食べてみたい! 札幌大球コース 】16000円コース 札幌大球使用にしん漬 200g×24パック
【 家族で!仲間で!会社でたっぷり!札幌大球コース 】20000円コース 札幌大球使用にしん漬 200g×30パック
※札幌大球は畑を特定しません。またにしんは小樽産の身欠きにしんを使用します。
また、今年もオーナーと友人・家族のみが参加できる3つのイベントを予定しています。オーナー様に別途ご案内をお送りします。希望者多数の場合は抽選にて、参加者を決定させていただきます。
・理解を深めよう!「札幌大球収穫見学(一部収穫体験)&お好み焼パーティー」…10月下旬札幌市内にて実施。定員30名。オーナーの他、同行者3名までOK。参加料:1名500円【当日支払】)
・北海道の食文化再発見!札幌大球を使った「にしん漬教室」…11月下旬札幌市内にて実施。定員20名。オーナーの他、同行者3名までOK。参加料:1名500円【当日支払】)
・オーナーさん同士のコミュニケーション!「お漬物バイキング交流会」…12月中旬、北海道神宮内「白鹿食堂」にて実施。オーナーの他、同行者3名までOK。参加料:1名500円【当日支払】)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
主旨にご賛同いただき、一人でも多くの皆さまのご支援をお待ちしております。よろしくお願いいたします。
札幌伝統野菜「札幌大球」応援隊・隊長 日原康貴
※札幌伝統野菜「札幌大球」応援隊の最新情報は、応援隊のFacebookページにてご覧ください。
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